質量 $m$ [kg] の物体 A が長さの無視できる糸で吊り下げられており、最下点から $h$ [m] の高さまで持ち上げられて静かに離される。物体 A は最下点で質量 $M$ [kg] の物体 B と衝突し、一体となる。以下の問いに答えよ。重力加速度は $g$ [m/s$^2$] とする。 (1) 最下点での衝突直前の物体 A の速さ $v$ [m/s] を求めよ。 (2) 物体 A と物体 B が衝突し、一体となった直後の速さ $V$ [m/s] を求めよ。 (3) 一体となったあと、A と B が最下点から上がった最高点の高さ $H$ [m] を求めよ。 (4) 衝突の際に失われたエネルギー $\Delta E$ を求めよ。この失われたエネルギーはどこへ行ったか。

応用数学力学エネルギー保存運動量保存衝突物理
2025/6/13

1. 問題の内容

質量 mm [kg] の物体 A が長さの無視できる糸で吊り下げられており、最下点から hh [m] の高さまで持ち上げられて静かに離される。物体 A は最下点で質量 MM [kg] の物体 B と衝突し、一体となる。以下の問いに答えよ。重力加速度は gg [m/s2^2] とする。
(1) 最下点での衝突直前の物体 A の速さ vv [m/s] を求めよ。
(2) 物体 A と物体 B が衝突し、一体となった直後の速さ VV [m/s] を求めよ。
(3) 一体となったあと、A と B が最下点から上がった最高点の高さ HH [m] を求めよ。
(4) 衝突の際に失われたエネルギー ΔE\Delta E を求めよ。この失われたエネルギーはどこへ行ったか。

2. 解き方の手順

(1) 物体 A が高さ hh から落下する際のエネルギー保存則を用いる。
位置エネルギーが運動エネルギーに変換されるので、
mgh=12mv2mgh = \frac{1}{2}mv^2
v=2ghv = \sqrt{2gh}
(2) 物体 A と物体 B の衝突は非弾性衝突なので、運動量保存則を用いる。
衝突直前の A の運動量は mvmv であり、B は静止しているので運動量は 0 である。
衝突後の運動量は (m+M)V(m+M)V であるから、
mv=(m+M)Vmv = (m+M)V
V=mm+Mv=mm+M2ghV = \frac{m}{m+M}v = \frac{m}{m+M}\sqrt{2gh}
(3) 一体となった物体が最高点まで上がる際のエネルギー保存則を用いる。
運動エネルギーが位置エネルギーに変換されるので、
12(m+M)V2=(m+M)gH\frac{1}{2}(m+M)V^2 = (m+M)gH
H=V22g=(mm+M2gh)22g=m2(m+M)22gh2g=m2(m+M)2hH = \frac{V^2}{2g} = \frac{(\frac{m}{m+M}\sqrt{2gh})^2}{2g} = \frac{m^2}{(m+M)^2} \frac{2gh}{2g} = \frac{m^2}{(m+M)^2} h
(4) 衝突の際に失われたエネルギー ΔE\Delta E は、衝突前後の運動エネルギーの差として計算される。
衝突前の A の運動エネルギーは 12mv2=mgh\frac{1}{2}mv^2 = mgh である。
衝突後の A と B の運動エネルギーは 12(m+M)V2=12(m+M)(mm+M2gh)2=12(m+M)m2(m+M)22gh=m2ghm+M\frac{1}{2}(m+M)V^2 = \frac{1}{2}(m+M) (\frac{m}{m+M}\sqrt{2gh})^2 = \frac{1}{2}(m+M) \frac{m^2}{(m+M)^2} 2gh = \frac{m^2gh}{m+M} である。
したがって、
ΔE=mghm2ghm+M=mgh(m+M)m2ghm+M=m2gh+Mmghm2ghm+M=Mmghm+M\Delta E = mgh - \frac{m^2gh}{m+M} = \frac{mgh(m+M) - m^2gh}{m+M} = \frac{m^2gh + Mmgh - m^2gh}{m+M} = \frac{Mmgh}{m+M}
失われたエネルギーは、衝突の際の熱エネルギーや音エネルギーなどに変換される。

3. 最終的な答え

(1) v=2ghv = \sqrt{2gh}
(2) V=mm+M2ghV = \frac{m}{m+M}\sqrt{2gh}
(3) H=m2(m+M)2hH = \frac{m^2}{(m+M)^2} h
(4) ΔE=Mmghm+M\Delta E = \frac{Mmgh}{m+M} 、失われたエネルギーは熱エネルギーや音エネルギーなどに変換される。

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