$n$ を2以上の整数とする。与えられた $n$ 次正方行列の階数（ランク）を $x$ の値に応じて求める問題です。行列は以下の通りです。 $ \begin{pmatrix} 1 & x & x & \cdots & x \\ x & 1 & x & \cdots & x \\ x & x & 1 & \cdots & x \\ \vdots & \vdots & \vdots & \ddots & \vdots \\ x & x & x & \cdots & 1 \end{pmatrix} $

1. 問題の内容

$n$ を2以上の整数とする。与えられた $n$ 次正方行列の階数（ランク）を $x$ の値に応じて求める問題です。行列は以下の通りです。

$$

\begin{pmatrix}

1 & x & x & \cdots & x \\

x & 1 & x & \cdots & x \\

x & x & 1 & \cdots & x \\

\vdots & \vdots & \vdots & \ddots & \vdots \\

x & x & x & \cdots & 1

\end{pmatrix}

$$

2. 解き方の手順

行列の階数を求めるために、行基本変形を行います。まず、2行目から $x$ 倍の1行目を引きます。3行目以降も同様に $x$ 倍の1行目を引きます。

$$

\begin{pmatrix}

1 & x & x & \cdots & x \\

0 & 1-x^2 & x-x^2 & \cdots & x-x^2 \\

0 & x-x^2 & 1-x^2 & \cdots & x-x^2 \\

\vdots & \vdots & \vdots & \ddots & \vdots \\

0 & x-x^2 & x-x^2 & \cdots & 1-x^2

\end{pmatrix}

$$

次に、2行目から $n$ 行目までの各行から、$\frac{x-x^2}{1-x^2} = \frac{x}{1+x}$ 倍の2行目を引きます。ただし，$x \neq \pm 1$とします。

$$

\begin{pmatrix}

1 & x & x & \cdots & x \\

0 & 1-x^2 & x-x^2 & \cdots & x-x^2 \\

0 & 0 & 1-x^2-\frac{(x-x^2)^2}{1-x^2} & \cdots & x-x^2-\frac{(x-x^2)^2}{1-x^2} \\

\vdots & \vdots & \vdots & \ddots & \vdots \\

0 & 0 & x-x^2-\frac{(x-x^2)^2}{1-x^2} & \cdots & 1-x^2-\frac{(x-x^2)^2}{1-x^2}

\end{pmatrix}

$$

上記を実行した結果、さらに複雑な計算になることが予想されるため、別の方法を検討します。

行列 $A$ を次のように表します。

$A = (1-x)I + xJ$

ここで、$I$ は $n$ 次の単位行列、$J$ は全ての要素が1の $n$ 次正方行列です。

$J$の固有値は、$n$ (重複度1) と 0 (重複度 $n-1$) です。

したがって、$A$ の固有値は、$1-x + xn = 1 + (n-1)x$ (重複度1) と $1-x$ (重複度 $n-1$) です。

行列の階数は、0でない固有値の数に等しくなります。

場合分け：

1. $1-x \neq 0$ かつ $1 + (n-1)x \neq 0$ のとき、すなわち $x \neq 1$ かつ $x \neq -\frac{1}{n-1}$ のとき、階数は $n$ です。

2. $x = 1$ のとき、行列は全ての要素が1の行列になるので、階数は1です。

3. $x = -\frac{1}{n-1}$ のとき、$1-x = 1+\frac{1}{n-1} = \frac{n}{n-1} \neq 0$ なので、階数は $n-1$ です。

3. 最終的な答え

$x \neq 1$ かつ $x \neq -\frac{1}{n-1}$ のとき、階数は $n$。

$x = 1$ のとき、階数は $1$。

$x = -\frac{1}{n-1}$ のとき、階数は $n-1$。