整数 $n$ に対して、命題「$n^3 + 2n^2$ が3の倍数ならば、$n$ は3の倍数である」を対偶を利用して証明する。

数論整数の性質合同式倍数対偶
2025/6/16

1. 問題の内容

整数 nn に対して、命題「n3+2n2n^3 + 2n^2 が3の倍数ならば、nn は3の倍数である」を対偶を利用して証明する。

2. 解き方の手順

対偶を利用するため、まず与えられた命題の対偶を考える。
元の命題:「n3+2n2n^3 + 2n^2 が3の倍数ならば、nn は3の倍数である」
対偶:「nn が3の倍数でないならば、n3+2n2n^3 + 2n^2 は3の倍数でない」
この対偶を証明する。nn が3の倍数でないとき、nn はある整数 kk を用いて 3k+13k+1 または 3k+23k+2 と表される。
(i) n=3k+1n = 3k+1 のとき
\begin{align*}
n^3 + 2n^2 &= (3k+1)^3 + 2(3k+1)^2 \\
&= (27k^3 + 27k^2 + 9k + 1) + 2(9k^2 + 6k + 1) \\
&= 27k^3 + 27k^2 + 9k + 1 + 18k^2 + 12k + 2 \\
&= 27k^3 + 45k^2 + 21k + 3 \\
&= 3(9k^3 + 15k^2 + 7k + 1)
\end{align*}
これは3の倍数である。
(ii) n=3k+2n = 3k+2 のとき
\begin{align*}
n^3 + 2n^2 &= (3k+2)^3 + 2(3k+2)^2 \\
&= (27k^3 + 54k^2 + 36k + 8) + 2(9k^2 + 12k + 4) \\
&= 27k^3 + 54k^2 + 36k + 8 + 18k^2 + 24k + 8 \\
&= 27k^3 + 72k^2 + 60k + 16 \\
&= 27k^3 + 72k^2 + 60k + 15 + 1 \\
&= 3(9k^3 + 24k^2 + 20k + 5) + 1
\end{align*}
これは3の倍数ではない。
n=3k+1n = 3k+1 のとき、n3+2n2n^3 + 2n^2 は3の倍数である。これは対偶の否定になっている。
したがって、n3+2n2n^3 + 2n^2 が3の倍数でないならば、nn は3の倍数でない、を示す必要がある。
nn が3の倍数でないとき、n1(mod3)n \equiv 1 \pmod{3} または n2(mod3)n \equiv 2 \pmod{3} である。
(i) n1(mod3)n \equiv 1 \pmod{3} のとき、
n3+2n213+2(12)1+230(mod3)n^3 + 2n^2 \equiv 1^3 + 2(1^2) \equiv 1 + 2 \equiv 3 \equiv 0 \pmod{3}
したがって、n3+2n2n^3 + 2n^2 は3の倍数。
(ii) n2(mod3)n \equiv 2 \pmod{3} のとき、
n3+2n223+2(22)8+8161(mod3)n^3 + 2n^2 \equiv 2^3 + 2(2^2) \equiv 8 + 8 \equiv 16 \equiv 1 \pmod{3}
したがって、n3+2n2n^3 + 2n^2 は3の倍数ではない。
したがって、n3+2n2n^3 + 2n^2 が3の倍数でないならば、nn は3の倍数でない が成り立つ。

3. 最終的な答え

nn が3の倍数でないならば、n3+2n2n^3 + 2n^2 は3の倍数ではない。よって、対偶が真であるため、元の命題「n3+2n2n^3 + 2n^2 が3の倍数ならば、nn は3の倍数である」も真である。

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