$p = n-1$ は4で割ると3余る素数、$F_p^* = F_p \setminus \{0\}$ とする。以下の4つのステップで問題を解く。 (1) $F_p$ 上の0でない平方数の集合を $S$ とおく。$|S| = (p-1)/2$ であることを示す。 (2) $-1$ は $F_p$ 上の平方数でないことを示す。 (3) $S + i := \{s+i \mid s \in S\}$ とおく。このとき $\{S+i \mid i \in F_p \}$ は、水準数 $p$, ブロックサイズ $(p-1)/2$, 会合数 $(p-3)/4$ の BIB デザインをなすことを示す。 (4) (3) の BIB デザインから、2水準でサイズ $n \times (n-1)$ の直交配列を構成する。

数論有限体素数平方数BIBデザイン直交配列
2025/6/16

1. 問題の内容

p=n1p = n-1 は4で割ると3余る素数、Fp=Fp{0}F_p^* = F_p \setminus \{0\} とする。以下の4つのステップで問題を解く。
(1) FpF_p 上の0でない平方数の集合を SS とおく。S=(p1)/2|S| = (p-1)/2 であることを示す。
(2) 1-1FpF_p 上の平方数でないことを示す。
(3) S+i:={s+isS}S + i := \{s+i \mid s \in S\} とおく。このとき {S+iiFp}\{S+i \mid i \in F_p \} は、水準数 pp, ブロックサイズ (p1)/2(p-1)/2, 会合数 (p3)/4(p-3)/4 の BIB デザインをなすことを示す。
(4) (3) の BIB デザインから、2水準でサイズ n×(n1)n \times (n-1) の直交配列を構成する。

2. 解き方の手順

(1) FpF_p^* は位数 p1p-1 の巡回群である。生成元を gg とすると、Fp={g0,g1,g2,...,gp2}F_p^* = \{g^0, g^1, g^2, ..., g^{p-2} \} と表せる。平方数は g2kg^{2k} の形をしているので、S={g0,g2,...,gp3}S = \{g^0, g^2, ..., g^{p-3} \} となり、 S=(p1)/2|S| = (p-1)/2 が示される。
(2) 1-1FpF_p 上の平方数であると仮定すると、ある xFpx \in F_p が存在して x2=1x^2 = -1 となる。FpF_p^* の生成元を gg とすると、x=gkx = g^k と書ける。よって、(gk)2=1(g^k)^2 = -1、つまり g2k=1g^{2k} = -1 となる。オイラーの規準より、g(p1)/21(modp)g^{(p-1)/2} \equiv -1 \pmod{p} であるから、g2kg(p1)/2(modp)g^{2k} \equiv g^{(p-1)/2} \pmod{p}。したがって、2k(p1)/2(modp1)2k \equiv (p-1)/2 \pmod{p-1} が成り立つ。これは (p1)/2(p-1)/2 が偶数であることを意味するが、p3(mod4)p \equiv 3 \pmod{4} より (p1)/2(p-1)/2 は奇数となり矛盾する。よって、1-1FpF_p 上の平方数ではない。
(3) {S+iiFp}\{S+i \mid i \in F_p \} が BIB デザインであることを示す。
- 水準数 pp は明らか。
- ブロックサイズは S=(p1)/2|S| = (p-1)/2 より (p1)/2(p-1)/2
- 各 i,jFp,iji, j \in F_p, i \neq j に対して、i,ji, j(p3)/4(p-3)/4 回会合することを示す。つまり、 (S+i)(S+j)=(p3)/4|(S+i) \cap (S+j)| = (p-3)/4 を示す。
k=ijk = i-j とおく。S+i={s+isS}S+i = \{s+i \mid s \in S\}S+j={s+jsS}S+j = \{s+j \mid s \in S\} であり、(S+i)(S+j)={s1,s2Ss1+i=s2+j}={s1,s2Ss1s2=ji=k}={s1,s2Ss2s1=k}|(S+i) \cap (S+j)| = |\{s_1, s_2 \in S \mid s_1 + i = s_2 + j\}| = |\{s_1, s_2 \in S \mid s_1 - s_2 = j - i = -k\}| = |\{s_1, s_2 \in S \mid s_2 - s_1 = k\}| となる。したがって、SS の元の差として kk が何回現れるかを数えればよい。k0k \neq 0 で、SS の元の差として (p3)/4(p-3)/4 回現れることが示されれば、BIB デザインである。
(4) BIB デザインからの直交配列の構成は、定理7.1に従えば良い。
BIBデザインの incidence matrix を NN とする。NN の行を直交配列の列とする。列は nn 個あり、各列は2つの水準(0か1)を持ち、各列の長さは n1n-1 である。incidence matrix のサイズは n×n(n1)/2n \times n(n-1)/2 であり、直交配列のサイズは n×n(n1)/2n \times n(n-1)/2 である。
問題文ではサイズ n×(n1)n \times (n-1) の直交配列を求められているので、BIB デザインにおけるブロック数を n1n-1 になるように制限すれば良い。しかしながら、一般的な BIB デザインから直交配列を構成する場合は、このような制限は必要ない。

3. 最終的な答え

(1) S=(p1)/2|S| = (p-1)/2
(2) 1-1FpF_p 上の平方数ではない。
(3) {S+iiFp}\{S+i \mid i \in F_p \} は、水準数 pp, ブロックサイズ (p1)/2(p-1)/2, 会合数 (p3)/4(p-3)/4 の BIB デザインをなす。
(4) (3)のBIBデザインから、2水準でサイズ n×(n1)n \times (n-1) の直交配列を構成できる (具体的な構成方法は定理7.1を参照)。

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