次の3つの関数について、増減、凹凸を調べ、グラフの概形を描く問題です。 (1) $y = \tanh x$ (2) $y = e^{-\frac{1}{x}}$ (ただし、$x > 0$) (3) $y = 2\arctan x - x$

解析学関数の増減関数の凹凸グラフの概形微分tanharctan指数関数
2025/6/16
## 数学の問題

1. **問題の内容**

次の3つの関数について、増減、凹凸を調べ、グラフの概形を描く問題です。
(1) y=tanhxy = \tanh x
(2) y=e1xy = e^{-\frac{1}{x}} (ただし、x>0x > 0)
(3) y=2arctanxxy = 2\arctan x - x

2. **解き方の手順**

**(1) y=tanhxy = \tanh x の場合**
* **増減:**
まず、tanhx\tanh x の定義を確認します。
tanhx=sinhxcoshx=exexex+ex\tanh x = \frac{\sinh x}{\cosh x} = \frac{e^x - e^{-x}}{e^x + e^{-x}}
微分を計算します。
y=ddxtanhx=1cosh2x=1tanh2xy' = \frac{d}{dx} \tanh x = \frac{1}{\cosh^2 x} = 1 - \tanh^2 x
cosh2x>0\cosh^2 x > 0 なので、y>0y' > 0 となり、常に増加します。
* **凹凸:**
2階微分を計算します。
y=ddx(1tanh2x)=2tanhx1cosh2x=2sinhxcosh3xy'' = \frac{d}{dx} (1 - \tanh^2 x) = -2 \tanh x \cdot \frac{1}{\cosh^2 x} = -2\frac{\sinh x}{\cosh^3 x}
x>0x > 0 のとき、y<0y'' < 0 (上に凸)。
x<0x < 0 のとき、y>0y'' > 0 (下に凸)。
x=0x=0のとき、y=0y''=0
* **漸近線:**
limxtanhx=1\lim_{x \to \infty} \tanh x = 1
limxtanhx=1\lim_{x \to -\infty} \tanh x = -1
よって、y=1y = 1y=1y = -1 が漸近線です。
**(2) y=e1xy = e^{-\frac{1}{x}} (ただし、x>0x > 0) の場合**
* **増減:**
微分を計算します。
y=ddxe1x=e1x1x2y' = \frac{d}{dx} e^{-\frac{1}{x}} = e^{-\frac{1}{x}} \cdot \frac{1}{x^2}
x>0x > 0 において、e1x>0e^{-\frac{1}{x}} > 0 かつ 1x2>0\frac{1}{x^2} > 0 なので、y>0y' > 0 となり、常に増加します。
* **凹凸:**
2階微分を計算します。
y=ddx(e1x1x2)=e1x1x4e1x2x3=e1x12xx4y'' = \frac{d}{dx} (e^{-\frac{1}{x}} \cdot \frac{1}{x^2}) = e^{-\frac{1}{x}} \cdot \frac{1}{x^4} - e^{-\frac{1}{x}} \cdot \frac{2}{x^3} = e^{-\frac{1}{x}} \cdot \frac{1-2x}{x^4}
y=0y'' = 0 となるのは、12x=01-2x = 0 のときなので、x=12x = \frac{1}{2}
0<x<120 < x < \frac{1}{2} のとき、y>0y'' > 0 (下に凸)。
x>12x > \frac{1}{2} のとき、y<0y'' < 0 (上に凸)。
* **漸近線:**
limxe1x=e0=1\lim_{x \to \infty} e^{-\frac{1}{x}} = e^0 = 1
x=0x=0 に近づくと、y=e1xy=e^{-\frac{1}{x}} は、e=0e^{-\infty} = 0 に近づきます。
よって、y=1y = 1 が漸近線です。
**(3) y=2arctanxxy = 2\arctan x - x の場合**
* **増減:**
微分を計算します。
y=ddx(2arctanxx)=21+x21=2(1+x2)1+x2=1x21+x2y' = \frac{d}{dx} (2\arctan x - x) = \frac{2}{1+x^2} - 1 = \frac{2 - (1+x^2)}{1+x^2} = \frac{1-x^2}{1+x^2}
y=0y' = 0 となるのは、1x2=01-x^2 = 0 のときなので、x=±1x = \pm 1
x<1x < -1 または x>1x > 1 のとき、y<0y' < 0 (減少)。
1<x<1-1 < x < 1 のとき、y>0y' > 0 (増加)。
* **凹凸:**
2階微分を計算します。
y=ddx(1x21+x2)=2x(1+x2)(1x2)(2x)(1+x2)2=2x2x32x+2x3(1+x2)2=4x(1+x2)2y'' = \frac{d}{dx} (\frac{1-x^2}{1+x^2}) = \frac{-2x(1+x^2) - (1-x^2)(2x)}{(1+x^2)^2} = \frac{-2x - 2x^3 - 2x + 2x^3}{(1+x^2)^2} = \frac{-4x}{(1+x^2)^2}
x>0x > 0 のとき、y<0y'' < 0 (上に凸)。
x<0x < 0 のとき、y>0y'' > 0 (下に凸)。
* **漸近線:**
特に漸近線はありません。

3. **最終的な答え**

(1) y=tanhxy = \tanh x: 単調増加、(0,0)(0,0) を変曲点とするS字カーブ。y=1y=1y=1y=-1 が漸近線。
(2) y=e1xy = e^{-\frac{1}{x}} (x>0x > 0): 単調増加、x=1/2x=1/2 に変曲点、y=1y=1 が漸近線。
(3) y=2arctanxxy = 2\arctan x - x: x<1x<-1x>1x>1 で減少、1<x<1-1 < x < 1 で増加。 x=0x=0 に変曲点を持つ。

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