質量 $m$ の質点が $x$ 軸上を $F(x) = F_0 (e^{\frac{x_0 - x}{R}} - 1) e^{\frac{x_0 - x}{R}}$ の力を受けて運動している。ここで、$F_0$, $x_0$, $R$ は正の定数である。$|x_0 - x| \ll R$ として、以下の問いに答えよ。 (a) $F(x)$ を $x$ の関数としてグラフの概形を図示せよ。 (b) $F(x)$ を $\frac{x_0 - x}{R}$ の 1 次で近似せよ。 (c) $F(x)$ を $\frac{x_0 - x}{R}$ の 1 次で近似した場合における質点の運動方程式を書け。また、このとき質点はどのような運動をするか答えよ。(運動方程式を解かなくてもよい。)

応用数学力学運動テイラー展開近似単振動
2025/6/16

1. 問題の内容

質量 mm の質点が xx 軸上を F(x)=F0(ex0xR1)ex0xRF(x) = F_0 (e^{\frac{x_0 - x}{R}} - 1) e^{\frac{x_0 - x}{R}} の力を受けて運動している。ここで、F0F_0, x0x_0, RR は正の定数である。x0xR|x_0 - x| \ll R として、以下の問いに答えよ。
(a) F(x)F(x)xx の関数としてグラフの概形を図示せよ。
(b) F(x)F(x)x0xR\frac{x_0 - x}{R} の 1 次で近似せよ。
(c) F(x)F(x)x0xR\frac{x_0 - x}{R} の 1 次で近似した場合における質点の運動方程式を書け。また、このとき質点はどのような運動をするか答えよ。(運動方程式を解かなくてもよい。)

2. 解き方の手順

(a) グラフの概形
F(x)=F0(ex0xR1)ex0xRF(x) = F_0 (e^{\frac{x_0 - x}{R}} - 1) e^{\frac{x_0 - x}{R}} を考える。
x=x0x = x_0 のとき、F(x0)=F0(e01)e0=F0(11)=0F(x_0) = F_0(e^0 - 1)e^0 = F_0(1 - 1) = 0 となる。
x>x0x > x_0 のとき、x0x<0x_0 - x < 0 より、x0xR<0\frac{x_0 - x}{R} < 0 となるので、ex0xR<1e^{\frac{x_0 - x}{R}} < 1 である。したがって、ex0xR1<0e^{\frac{x_0 - x}{R}} - 1 < 0 かつ ex0xR>0e^{\frac{x_0 - x}{R}} > 0 であるから、F(x)<0F(x) < 0 となる。
x<x0x < x_0 のとき、x0x>0x_0 - x > 0 より、x0xR>0\frac{x_0 - x}{R} > 0 となるので、ex0xR>1e^{\frac{x_0 - x}{R}} > 1 である。したがって、ex0xR1>0e^{\frac{x_0 - x}{R}} - 1 > 0 かつ ex0xR>0e^{\frac{x_0 - x}{R}} > 0 であるから、F(x)>0F(x) > 0 となる。
xx \to \infty のとき、ex0xR0e^{\frac{x_0 - x}{R}} \to 0 なので、F(x)F0(1)×0=0F(x) \to F_0(-1) \times 0 = 0 となる。
xx \to -\infty のとき、ex0xRe^{\frac{x_0 - x}{R}} \to \infty なので、F(x)F(x) \to \infty となる。
したがって、F(x)F(x) のグラフは、x=x0x = x_0F(x)=0F(x) = 0 となり、x>x0x > x_0F(x)<0F(x) < 0x<x0x < x_0F(x)>0F(x) > 0 となるグラフとなる。
(b) 1 次近似
x0xR|x_0 - x| \ll R より、x0xR\frac{x_0 - x}{R} は小さい。
exe^x のテイラー展開は、ex=1+x+x22!+e^x = 1 + x + \frac{x^2}{2!} + \cdots である。
したがって、ex0xR1+x0xRe^{\frac{x_0 - x}{R}} \approx 1 + \frac{x_0 - x}{R} と近似できる。
F(x)=F0(ex0xR1)ex0xRF0(1+x0xR1)(1+x0xR)=F0x0xR(1+x0xR)F(x) = F_0 (e^{\frac{x_0 - x}{R}} - 1) e^{\frac{x_0 - x}{R}} \approx F_0 (1 + \frac{x_0 - x}{R} - 1) (1 + \frac{x_0 - x}{R}) = F_0 \frac{x_0 - x}{R} (1 + \frac{x_0 - x}{R})
x0xR\frac{x_0 - x}{R} の 1 次で近似するので、F(x)F0x0xRF(x) \approx F_0 \frac{x_0 - x}{R} となる。
(c) 運動方程式
運動方程式は、md2xdt2=F(x)m \frac{d^2 x}{dt^2} = F(x) である。
F(x)F0x0xRF(x) \approx F_0 \frac{x_0 - x}{R} なので、md2xdt2=F0x0xRm \frac{d^2 x}{dt^2} = F_0 \frac{x_0 - x}{R} となる。
md2xdt2=F0R(xx0)m \frac{d^2 x}{dt^2} = - \frac{F_0}{R} (x - x_0)
これは単振動の運動方程式である。平衡点は x=x0x = x_0 であり、角振動数は ω=F0mR\omega = \sqrt{\frac{F_0}{mR}} である。したがって、質点は x=x0x = x_0 の周りで単振動をする。

3. 最終的な答え

(a) x=x0x=x_0F(x)=0F(x)=0となり、x>x0x>x_0F(x)<0F(x)<0x<x0x<x_0F(x)>0F(x)>0となるグラフ
(b) F(x)F0x0xRF(x) \approx F_0 \frac{x_0 - x}{R}
(c) 運動方程式:md2xdt2=F0x0xRm \frac{d^2 x}{dt^2} = F_0 \frac{x_0 - x}{R}。質点は x=x0x = x_0 の周りで単振動をする。

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