複素数 $z$ が次の2つの条件(a), (b)を同時に満たすとき、$z$ 全体の集合を複素数平面上に図示せよ。 (a) $2z$ と $\frac{2}{z}$ の実部はいずれも整数である。 (b) $|z| \ge 1$ である。

代数学複素数複素数平面絶対値実部図示
2025/6/17

1. 問題の内容

複素数 zz が次の2つの条件(a), (b)を同時に満たすとき、zz 全体の集合を複素数平面上に図示せよ。
(a) 2z2z2z\frac{2}{z} の実部はいずれも整数である。
(b) z1|z| \ge 1 である。

2. 解き方の手順

z=x+yiz = x + yixx, yy は実数)とおく。
条件(a)より、2z=2x+2yi2z = 2x + 2yi の実部 2x2x は整数である。
よって、2x=m2x = mmm は整数)と表せる。
したがって、x=m2x = \frac{m}{2} である。
また、2z=2x+yi=2(xyi)(x+yi)(xyi)=2(xyi)x2+y2=2xx2+y22yx2+y2i\frac{2}{z} = \frac{2}{x+yi} = \frac{2(x-yi)}{(x+yi)(x-yi)} = \frac{2(x-yi)}{x^2 + y^2} = \frac{2x}{x^2 + y^2} - \frac{2y}{x^2 + y^2}i である。
2z\frac{2}{z} の実部 2xx2+y2\frac{2x}{x^2 + y^2} も整数である。
よって、2xx2+y2=n\frac{2x}{x^2 + y^2} = nnn は整数)と表せる。
したがって、x2+y2=2xnx^2 + y^2 = \frac{2x}{n} である。
x=m2x = \frac{m}{2} を代入すると、m24+y2=mn\frac{m^2}{4} + y^2 = \frac{m}{n} である。
y2=mnm24y^2 = \frac{m}{n} - \frac{m^2}{4} となり、y=±mnm24y = \pm \sqrt{\frac{m}{n} - \frac{m^2}{4}} である。
条件(b)より、z1|z| \ge 1 であるから、x2+y21x^2 + y^2 \ge 1 である。
2xn1\frac{2x}{n} \ge 1 より、mn12\frac{m}{n} \ge \frac{1}{2} である。
mnm240\frac{m}{n} - \frac{m^2}{4} \ge 0 である必要があるので、mnm24\frac{m}{n} \ge \frac{m^2}{4} である。
m>0m > 0 のとき、1nm4\frac{1}{n} \ge \frac{m}{4} より、m4nm \le \frac{4}{n} である。
m<0m < 0 のとき、1nm4\frac{1}{n} \le \frac{m}{4} より、m4nm \ge \frac{4}{n} である。
x=m2x = \frac{m}{2} であり、x2+y2=2xnx^2 + y^2 = \frac{2x}{n} であるから、円の方程式(x1n)2+y2=(1n)2(x - \frac{1}{n})^2 + y^2 = (\frac{1}{n})^2である。
中心 (1n,0)(\frac{1}{n}, 0) 、半径 1n\frac{1}{|n|} の円である。
ただし、z1|z| \ge 1 を満たす部分である。
n=1n = 1 のとき、(x1)2+y2=1(x-1)^2 + y^2 = 1 となる。x=m2x = \frac{m}{2} を代入すると、(m21)2+y2=1(\frac{m}{2} - 1)^2 + y^2 = 1 となる。
y2=1(m21)2=1(m24m+1)=mm24y^2 = 1 - (\frac{m}{2} - 1)^2 = 1 - (\frac{m^2}{4} - m + 1) = m - \frac{m^2}{4} となる。
yy が実数であるためには、mm240m - \frac{m^2}{4} \ge 0 より、4mm204m - m^2 \ge 0m(4m)0m(4-m) \ge 0 より、0m40 \le m \le 4 である。
したがって、m=0,1,2,3,4m = 0, 1, 2, 3, 4 である。
m=0m=0 のとき x=0x=0, y=0y=0 となるが、z1|z| \ge 1 に反する。
m=1m=1 のとき x=1/2x=1/2, y=±3/2y = \pm \sqrt{3}/2z=11|z| = 1 \ge 1を満たす。
m=2m=2 のとき x=1x=1, y=±1y = \pm 1z=21|z| = \sqrt{2} \ge 1を満たす。
m=3m=3 のとき x=3/2x=3/2, y=±3/2y = \pm \sqrt{3}/2z=31|z| = \sqrt{3} \ge 1を満たす。
m=4m=4 のとき x=2x=2, y=0y = 0z=21|z| = 2 \ge 1を満たす。
n=1n = -1 のとき、(x+1)2+y2=1(x+1)^2 + y^2 = 1 となる。同様にx=m2x = \frac{m}{2} を代入する。
(m2+1)2+y2=1(\frac{m}{2} + 1)^2 + y^2 = 1 となる。y2=mm24y^2 = -m - \frac{m^2}{4} となり、m(m+4)0m(m+4) \le 0 より、4m0-4 \le m \le 0 である。
m=4,3,2,1,0m = -4, -3, -2, -1, 0 である。
m=0m=0 のとき x=0x=0, y=0y=0 となるが、z1|z| \ge 1 に反する。
m=1m=-1 のとき x=1/2x=-1/2, y=±3/2y = \pm \sqrt{3}/2z=11|z| = 1 \ge 1を満たす。
m=2m=-2 のとき x=1x=-1, y=±1y = \pm 1z=21|z| = \sqrt{2} \ge 1を満たす。
m=3m=-3 のとき x=3/2x=-3/2, y=±3/2y = \pm \sqrt{3}/2z=31|z| = \sqrt{3} \ge 1を満たす。
m=4m=-4 のとき x=2x=-2, y=0y = 0z=21|z| = 2 \ge 1を満たす。
m=0m=0 のとき、x=0x = 0 である。x2+y2=2xn=0x^2 + y^2 = \frac{2x}{n} = 0 より、y=0y = 0 となる。このとき、z=0|z| = 0 となり、z1|z| \ge 1 を満たさない。
したがって、x=0x = 0 は含まれない。
y=0y = 0 の場合、z=xz = x である。2x=m2x = m かつ 2xx2=2x=n\frac{2x}{x^2} = \frac{2}{x} = n が整数である必要がある。
x=m2x = \frac{m}{2} を代入すると、4m=n\frac{4}{m} = n となり、m=±1,±2,±4m = \pm 1, \pm 2, \pm 4 である。
m=1m=1, x=1/2x=1/2, 2/x=42/x = 4z=1/2<1|z|=1/2 < 1
m=2m=2, x=1x=1, 2/x=22/x = 2z=11|z|=1 \ge 1
m=4m=4, x=2x=2, 2/x=12/x = 1z=21|z|=2 \ge 1
m=1m=-1, x=1/2x=-1/2, 2/x=42/x = -4z=1/2<1|z|=1/2 < 1
m=2m=-2, x=1x=-1, 2/x=22/x = -2z=11|z|=1 \ge 1
m=4m=-4, x=2x=-2, 2/x=12/x = -1z=21|z|=2 \ge 1

3. 最終的な答え

複素数平面上の図示:
中心 (1n,0)(\frac{1}{n}, 0) 、半径 1n\frac{1}{|n|} の円で、円周上の点のうち、z1|z| \ge 1 を満たす部分。
(1,0)(1, 0), (2,0)(2, 0), (1,0)(-1, 0), (2,0)(-2, 0), (12,32)(\frac{1}{2}, \frac{\sqrt{3}}{2}), (12,32)(\frac{1}{2}, -\frac{\sqrt{3}}{2}), (12,32)(-\frac{1}{2}, \frac{\sqrt{3}}{2}), (12,32)(-\frac{1}{2}, -\frac{\sqrt{3}}{2}), (1,1)(1, 1), (1,1)(1, -1), (32,32)(-\frac{3}{2}, \frac{\sqrt{3}}{2}), (32,32)(-\frac{3}{2}, -\frac{\sqrt{3}}{2}), (32,32)(\frac{3}{2}, \frac{\sqrt{3}}{2}), (32,32)(\frac{3}{2}, -\frac{\sqrt{3}}{2})
半径1の円 (x1)2+y2=1(x-1)^2 + y^2 = 1z1|z| \ge 1 の部分と、半径1の円 (x+1)2+y2=1(x+1)^2 + y^2 = 1z1|z| \ge 1 の部分。点(1,0),(-1,0)。実軸上の±2。その他, 実軸上にない6点。

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