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1. 問題の内容
問題は以下の3つです。
1. 一次変換 $f(\vec{x}) = A\vec{x}$ によって、ベクトル $\vec{e_1} = \begin{pmatrix} 1 \\ 0 \end{pmatrix}$ と $\vec{e_2} = \begin{pmatrix} 0 \\ 1 \end{pmatrix}$ を2辺とする正方形がどのような図形に写像されるかを図示する。$A = \begin{pmatrix} 1 & 4 \\ 2 & 2 \end{pmatrix}$ の場合と $A = \begin{pmatrix} 1 & 2 \\ 2 & 4 \end{pmatrix}$ の場合についてそれぞれ答える。
2. 平面上の変換 $f$ が1次変換であることの定義を行列を用いずに述べる。また、その定義に従って、$f(\vec{0}) = \vec{0}$ が成立することを示す。
3. 行列 $A = \begin{pmatrix} 5 & 8 \\ 1 & 3 \end{pmatrix}$ の固有値と固有ベクトルを求める。
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2. 解き方の手順
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1. 一次変換による正方形の像
一次変換によって正方形がどのように写像されるかを調べるには、正方形の頂点の像を調べればよい。正方形の頂点は , , , である。
**(1) の場合**
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これらの点を結ぶと平行四辺形になる。
**(2) の場合**
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これらの点は全て 上にあるので、線分になる。
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2. 1次変換の定義と性質
**(1) 1次変換の定義**
平面上の変換 が1次変換であるとは、任意のベクトル と任意の実数 に対して、以下の2つの性質を満たすことである。
*
*
**(2) の証明**
であるから、1次変換の定義より、
したがって、 が成立する。
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3. 固有値と固有ベクトルの計算
行列 の固有値 は、以下の固有方程式を解くことで求められる。
したがって、固有値は と である。
**(1) のときの固有ベクトル**
を満たすベクトル を求める。
より、 となる。よって、固有ベクトルは の定数倍である。
**(2) のときの固有ベクトル**
を満たすベクトル を求める。
より、 となる。よって、固有ベクトルは の定数倍である。
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3. 最終的な答え
1. 一次変換による正方形の像:解答欄に上記の平行四辺形と線分を図示する。(図は省略)
2. 1次変換の定義と性質:
* 定義:平面上の変換 が1次変換であるとは、任意のベクトル と任意の実数 に対して、 と が成り立つことである。
* 証明: より、
3. 固有値と固有ベクトル:
* 固有値:,
* 固有ベクトル: に対して の定数倍、 に対して の定数倍