$n$次正方行列 $A$ に対して、$A$ のすべての小行列 $X$ の中で、$|X| \neq 0$ となるものの最大の次数を $m(A)$ とする。 1. $n$ 次正方行列の標準形 $B$ に対して、$m(B) = \text{rank } B$ であることを示す。
2025/6/19
1. 問題の内容
次正方行列 に対して、 のすべての小行列 の中で、 となるものの最大の次数を とする。
1. $n$ 次正方行列の標準形 $B$ に対して、$m(B) = \text{rank } B$ であることを示す。
2. $A$ を基本変形しても $m(A)$ の値は変わらないことを示す。これにより、$A$ の標準形を $B = PAQ$ としたとき、$m(A) = m(B)$ を示す。
3. $m(A) = \text{rank } A$ を示す。
また、次正方行列の階数が以下であるならば、の余因子行列は零行列であることを示す (ヒント: 6 を用いる)。
2. 解き方の手順
**問題6**
1. 標準形 $B$ は、対角成分に $1$ が $\text{rank } B$ 個並び、残りの成分がすべて $0$ であるような行列である。
の 次の小行列として、左上の の単位行列を選ぶことができる。その行列式は である。
一方、 の 次以上の小行列は、必ず少なくとも1つの行または列がすべて になるため、その行列式は である。
したがって、 である。
2. $A$ を基本変形しても $m(A)$ の値は変わらないことを示す。基本変形は正則行列を左または右から掛けることに対応する。正則行列を掛けても、小行列の次数は変わらない。行列式が非ゼロとなる最大の次数も変わらない。したがって、$m(A)$ の値は変わらない。
の標準形を としたとき、 を示す。 と は正則行列であり、基本変形の繰り返しによって が に変換される。したがって、 である。
3. $m(A) = \text{rank } A$ を示す。
2. より $m(A) = m(B)$ である。また、
1. より $m(B) = \text{rank } B$ である。標準形 $B$ の階数 $\text{rank } B$ は、$A$ の階数 $\text{rank } A$ に等しい。したがって、$m(A) = \text{rank } A$ である。
**問題7**
次正方行列 の階数が 以下であるならば、 の余因子行列 は零行列であることを示す。
問題6より、 である。 であるから、 となる。
余因子行列の各成分は、 の 次の小行列の行列式に符号を付けたものである。 なので、 の 次の小行列の行列式はすべて である。
したがって、余因子行列 のすべての成分は であり、 は零行列である。
3. 最終的な答え
**問題6**
1. $m(B) = \text{rank } B$
2. $m(A) = m(B)$
3. $m(A) = \text{rank } A$
**問題7**
の余因子行列 は零行列である。