線形空間であることを示すには、線形空間の公理を満たすことを確認する必要があります。
まず、加法とスカラー倍が定義されていることを確認します。問題文で定義されているので、これはOKです。
次に、以下の8つの公理を満たすことを示します。
(1) 加法について閉じていること:f(x),g(x)∈R4[x] ならば f(x)+g(x)∈R4[x]。 f(x)+g(x)=∑k=04akxk+∑k=04bkxk=∑k=04(ak+bk)xk。 ak+bk は実数なので、f(x)+g(x) は次数が4次以下の多項式となり、f(x)+g(x)∈R4[x] です。 (2) 加法の結合法則:(f(x)+g(x))+h(x)=f(x)+(g(x)+h(x))。 多項式の加法は結合法則を満たすので、成立します。
(3) 加法の単位元(零元)の存在:任意の f(x) に対して、f(x)+0=f(x) となる 0 が存在。 0 を零多項式(全ての係数が0)とすると、これは成立します。 (4) 加法の逆元の存在:任意の f(x) に対して、f(x)+(−f(x))=0 となる −f(x) が存在。 −f(x)=∑k=04(−ak)xk とすると、これは成立します。 (5) 加法の交換法則:f(x)+g(x)=g(x)+f(x)。 多項式の加法は交換法則を満たすので、成立します。
(6) スカラー倍について閉じていること:f(x)∈R4[x]、 c∈R ならば cf(x)∈R4[x]。 cf(x)=c∑k=04akxk=∑k=04(cak)xk。 cak は実数なので、cf(x) は次数が4次以下の多項式となり、cf(x)∈R4[x] です。 (7) スカラー倍の分配法則 1:c(f(x)+g(x))=cf(x)+cg(x)。 c(f(x)+g(x))=c∑k=04(ak+bk)xk=∑k=04c(ak+bk)xk=∑k=04(cak+cbk)xk cf(x)+cg(x)=∑k=04cakxk+∑k=04cbkxk=∑k=04(cak+cbk)xk。 よって、成立します。
(8) スカラー倍の分配法則 2:(c+d)f(x)=cf(x)+df(x)。 (c+d)f(x)=(c+d)∑k=04akxk=∑k=04(c+d)akxk=∑k=04(cak+dak)xk cf(x)+df(x)=∑k=04cakxk+∑k=04dakxk=∑k=04(cak+dak)xk。 よって、成立します。
(9) スカラー倍の結合法則:(cd)f(x)=c(df(x))。 (cd)f(x)=(cd)∑k=04akxk=∑k=04(cd)akxk=∑k=04c(dak)xk c(df(x))=c(∑k=04dakxk)=∑k=04cdakxk=∑k=04c(dak)xk。 よって、成立します。
(10) 単位元とのスカラー倍:1f(x)=f(x)。 1f(x)=1∑k=04akxk=∑k=041akxk=∑k=04akxk=f(x)。 よって、成立します。