(i) 例4.4.2の中で、$c \in \mathbb{R}$ と $\boldsymbol{x} \in \mathbb{R}^2$ に対して、$\phi_\theta(c\boldsymbol{x}) = c \cdot \phi_\theta(\boldsymbol{x})$ を示してください。 (ii) $\phi(x, y) = (x - 2y, 0)^T$ で定義される写像 $\phi: \mathbb{R}^2 \to \mathbb{R}^3$ は線形写像か判定してください。 (iii) $\phi(x, y) = (x^2, y)^T$ で定義される写像 $\phi: \mathbb{R}^2 \to \mathbb{R}^2$ は線形写像か判定してください。

代数学線形写像線形変換ベクトル写像
2025/6/19

1. 問題の内容

(i) 例4.4.2の中で、cRc \in \mathbb{R}xR2\boldsymbol{x} \in \mathbb{R}^2 に対して、ϕθ(cx)=cϕθ(x)\phi_\theta(c\boldsymbol{x}) = c \cdot \phi_\theta(\boldsymbol{x}) を示してください。
(ii) ϕ(x,y)=(x2y,0)T\phi(x, y) = (x - 2y, 0)^T で定義される写像 ϕ:R2R3\phi: \mathbb{R}^2 \to \mathbb{R}^3 は線形写像か判定してください。
(iii) ϕ(x,y)=(x2,y)T\phi(x, y) = (x^2, y)^T で定義される写像 ϕ:R2R2\phi: \mathbb{R}^2 \to \mathbb{R}^2 は線形写像か判定してください。

2. 解き方の手順

(i) これは問題文に「例4.4.2の中で」とあるため、例4.4.2を参照して解答します。例4.4.2では、ϕθ\phi_\theta が原点周りの角度 θ\theta の回転を表す線形変換であることが示されています。線形変換の性質から、ϕθ(cx)=cϕθ(x)\phi_\theta(c\boldsymbol{x}) = c \cdot \phi_\theta(\boldsymbol{x}) が成り立ちます。
(ii) 写像 ϕ(x,y)=(x2y,0)T\phi(x, y) = (x - 2y, 0)^T が線形写像であるかどうかを確認します。線形写像であるためには、以下の2つの条件を満たす必要があります。
* ϕ(x+y)=ϕ(x)+ϕ(y)\phi(\boldsymbol{x} + \boldsymbol{y}) = \phi(\boldsymbol{x}) + \phi(\boldsymbol{y})
* ϕ(cx)=cϕ(x)\phi(c\boldsymbol{x}) = c\phi(\boldsymbol{x})
x=(x1,y1)T\boldsymbol{x} = (x_1, y_1)^Ty=(x2,y2)T\boldsymbol{y} = (x_2, y_2)^T とすると、
ϕ(x+y)=ϕ(x1+x2,y1+y2)=((x1+x2)2(y1+y2),0)T=(x12y1+x22y2,0)T\phi(\boldsymbol{x} + \boldsymbol{y}) = \phi(x_1 + x_2, y_1 + y_2) = ((x_1 + x_2) - 2(y_1 + y_2), 0)^T = (x_1 - 2y_1 + x_2 - 2y_2, 0)^T
ϕ(x)+ϕ(y)=(x12y1,0)T+(x22y2,0)T=(x12y1+x22y2,0)T\phi(\boldsymbol{x}) + \phi(\boldsymbol{y}) = (x_1 - 2y_1, 0)^T + (x_2 - 2y_2, 0)^T = (x_1 - 2y_1 + x_2 - 2y_2, 0)^T
したがって、ϕ(x+y)=ϕ(x)+ϕ(y)\phi(\boldsymbol{x} + \boldsymbol{y}) = \phi(\boldsymbol{x}) + \phi(\boldsymbol{y}) が成り立ちます。
次に、cRc \in \mathbb{R} に対して、
ϕ(cx)=ϕ(cx1,cy1)=(cx12cy1,0)T=(c(x12y1),0)T=c(x12y1,0)T=cϕ(x)\phi(c\boldsymbol{x}) = \phi(cx_1, cy_1) = (cx_1 - 2cy_1, 0)^T = (c(x_1 - 2y_1), 0)^T = c(x_1 - 2y_1, 0)^T = c\phi(\boldsymbol{x})
したがって、ϕ(cx)=cϕ(x)\phi(c\boldsymbol{x}) = c\phi(\boldsymbol{x}) が成り立ちます。
以上の2つの条件を満たすため、ϕ(x,y)=(x2y,0)T\phi(x, y) = (x - 2y, 0)^T は線形写像です。
(iii) 写像 ϕ(x,y)=(x2,y)T\phi(x, y) = (x^2, y)^T が線形写像であるかどうかを確認します。線形写像であるためには、ϕ(x+y)=ϕ(x)+ϕ(y)\phi(\boldsymbol{x} + \boldsymbol{y}) = \phi(\boldsymbol{x}) + \phi(\boldsymbol{y})ϕ(cx)=cϕ(x)\phi(c\boldsymbol{x}) = c\phi(\boldsymbol{x}) を満たす必要があります。
x=(x1,y1)T\boldsymbol{x} = (x_1, y_1)^Ty=(x2,y2)T\boldsymbol{y} = (x_2, y_2)^T とすると、
ϕ(x+y)=ϕ(x1+x2,y1+y2)=((x1+x2)2,y1+y2)T=(x12+2x1x2+x22,y1+y2)T\phi(\boldsymbol{x} + \boldsymbol{y}) = \phi(x_1 + x_2, y_1 + y_2) = ((x_1 + x_2)^2, y_1 + y_2)^T = (x_1^2 + 2x_1x_2 + x_2^2, y_1 + y_2)^T
ϕ(x)+ϕ(y)=(x12,y1)T+(x22,y2)T=(x12+x22,y1+y2)T\phi(\boldsymbol{x}) + \phi(\boldsymbol{y}) = (x_1^2, y_1)^T + (x_2^2, y_2)^T = (x_1^2 + x_2^2, y_1 + y_2)^T
一般的に、(x1+x2)2x12+x22(x_1 + x_2)^2 \neq x_1^2 + x_2^2 なので、ϕ(x+y)ϕ(x)+ϕ(y)\phi(\boldsymbol{x} + \boldsymbol{y}) \neq \phi(\boldsymbol{x}) + \phi(\boldsymbol{y}) です。
例えば、x1=1x_1 = 1x2=1x_2 = 1 の場合、(1+1)2=4(1+1)^2 = 4 であり、12+12=21^2 + 1^2 = 2 であるため、等号は成立しません。
したがって、ϕ(x,y)=(x2,y)T\phi(x, y) = (x^2, y)^T は線形写像ではありません。

3. 最終的な答え

(i) ϕθ(cx)=cϕθ(x)\phi_\theta(c\boldsymbol{x}) = c \cdot \phi_\theta(\boldsymbol{x}) (線形変換の性質より)
(ii) 線形写像である
(iii) 線形写像ではない

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