ある財の市場需要曲線が $X = -P + 200$ で表され、当初は参入規制があり供給曲線が $X = (1/2)P - 10$ であった。参入規制が撤廃された後の供給曲線は $X = P - 20$ となる。参入規制の有無によって、均衡価格、取引量、総余剰、生産者余剰がどのように変化するかを分析する問題です。

1. 問題の内容

ある財の市場需要曲線が $X = -P + 200$ で表され、当初は参入規制があり供給曲線が $X = (1/2)P - 10$ であった。参入規制が撤廃された後の供給曲線は $X = P - 20$ となる。参入規制の有無によって、均衡価格、取引量、総余剰、生産者余剰がどのように変化するかを分析する問題です。

2. 解き方の手順

(1) 参入規制がある場合

需要曲線と供給曲線を連立させて、均衡価格と取引量を求めます。

需要曲線：$X = -P + 200$

供給曲線：$X = (1/2)P - 10$

連立すると、$-P + 200 = (1/2)P - 10$ となります。

この式を整理すると、$(3/2)P = 210$ となり、$P = 140$ が得られます。

これを需要曲線に代入すると、$X = -140 + 200 = 60$ が得られます。

(2) 参入規制がない場合

需要曲線と供給曲線を連立させて、均衡価格と取引量を求めます。

需要曲線：$X = -P + 200$

供給曲線：$X = P - 20$

連立すると、$-P + 200 = P - 20$ となります。

この式を整理すると、$2P = 220$ となり、$P = 110$ が得られます。

これを需要曲線に代入すると、$X = -110 + 200 = 90$ が得られます。

(3) 総余剰の計算

総余剰は、消費者余剰と生産者余剰の合計です。消費者余剰は、需要曲線の下側の面積から均衡価格までの長方形の面積を引いたものです。生産者余剰は、均衡価格までの長方形の面積から供給曲線の下側の面積を引いたものです。

規制があるとき：

需要曲線と縦軸の交点：$X = 0$ のとき $P = 200$

供給曲線と縦軸の交点：$X = 0$ のとき $P = 20$

消費者余剰：$(200 - 140) \times 60 / 2 = 1800$

生産者余剰：$(140 - 20) \times 60 / 2 = 3600$

総余剰：$1800 + 3600 = 5400$

規制がないとき：

需要曲線と縦軸の交点：$X = 0$ のとき $P = 200$

供給曲線と縦軸の交点：$X = 0$ のとき $P = 20$

消費者余剰：$(200 - 110) \times 90 / 2 = 4050$

生産者余剰：$(110 - 20) \times 90 / 2 = 4050$

総余剰：$4050 + 4050 = 8100$

(4) 生産者余剰の変化

規制があるとき、生産者余剰は3600。規制がないとき、生産者余剰は4050。既存の生産者が規制の撤廃に反対するのは、価格が下がり、また参入者が増えて生産者余剰が減ることが考えられます。ただし、この計算では撤廃によって生産者余剰が増加してしまっています。もともとの生産者の余剰が減ることを示すためには、供給曲線が規制撤廃によってどう変化したか、または、もともとの生産者の供給量が規制撤廃後にどのように変化したかを示す必要があります。問題文より、規制がある時の供給曲線 $X = (1/2)P - 10$ であった生産者が、規制撤廃後の供給曲線 $X = P - 20$ で生産を行うようになったと仮定します。規制がある時の生産者余剰は3600でした。規制撤廃後の価格$P=110$で、規制がある時の供給曲線で生産を継続する場合、$X = (1/2)110 - 10 = 45$となります。この時の生産者余剰は$(110-20) \times 45 / 2 + (110-20) \times (60-45) = 2025 + 1350 = 3375$ となり、規制がある時よりも減ってしまいます。

3. 最終的な答え

(1) 140

(2) 60

(3) 110

(4) 90

(5) 5400

(6) 8100

(7) 3600

(8) 3375