正則行列 $P$ によって行列 $A$ が $P^{-1}AP = \begin{bmatrix} \alpha & 0 \\ 0 & \beta \end{bmatrix}$ と対角化されたとき、以下の3つの命題を証明します。 (1) $\det(P^{-1}) = (\det P)^{-1}$ (2) $\det(P^{-1}AP) = \det A$ (3) $\alpha$ と $\beta$ は $A$ の固有値である。
2025/6/22
## 問題3
1. 問題の内容
正則行列 によって行列 が と対角化されたとき、以下の3つの命題を証明します。
(1)
(2)
(3) と は の固有値である。
2. 解き方の手順
(1) の証明
演習問題06の問1(2)の結果を利用します。問1(2)の結果とは、正方行列 と に対して が成り立つというものです。
ここで、 (は単位行列)であることに注意します。両辺の行列式を取ると、
であるから、
であるから、
よって、
これで、 が証明されました。
(2) の証明
行列式の性質 を繰り返し利用します。
(1)の結果より であるから、
これで、 が証明されました。
(3) と は の固有値であることの証明
が成立します。
(2)より、 が成立します。
なので、 が成立します。
また、
ここで、 であることは、巡回置換性 (cyclic property) より導けます。
問題2(1) より、Aの固有値を とすると、 かつ が成立します。
したがって、 かつ が成立します。
よって、 は と一致します。つまり、 と は の固有値です。
3. 最終的な答え
(1)
(2)
(3) と は の固有値である。