二次正方行列 $A$ の固有値を $\lambda_1, \lambda_2$ とする。以下の命題をケーリー・ハミルトンの定理 $A^2 - (tr A)A + (det A)I = O$ を用いて証明する。 (1) $\lambda_1 + \lambda_2 = tr A$ かつ $\lambda_1 \lambda_2 = det A$ であることを示す。 (2) $A$ が正則行列であるための必要十分条件は、$\lambda_1 \neq 0$ かつ $\lambda_2 \neq 0$ であることを示す。 (3) $A^2 = O$ であるための必要十分条件は、$\lambda_1 = \lambda_2 = 0$ であることを示す。

代数学線形代数行列固有値固有ベクトルケーリー・ハミルトンの定理対角化
2025/6/22
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2. 二次正方行列 A の固有値に関する問題

1. **問題の内容**

二次正方行列 AA の固有値を λ1,λ2\lambda_1, \lambda_2 とする。以下の命題をケーリー・ハミルトンの定理 A2(trA)A+(detA)I=OA^2 - (tr A)A + (det A)I = O を用いて証明する。
(1) λ1+λ2=trA\lambda_1 + \lambda_2 = tr A かつ λ1λ2=detA\lambda_1 \lambda_2 = det A であることを示す。
(2) AA が正則行列であるための必要十分条件は、λ10\lambda_1 \neq 0 かつ λ20\lambda_2 \neq 0 であることを示す。
(3) A2=OA^2 = O であるための必要十分条件は、λ1=λ2=0\lambda_1 = \lambda_2 = 0 であることを示す。

2. **解き方の手順**

(1) ケーリー・ハミルトンの定理 A2(trA)A+(detA)I=OA^2 - (tr A)A + (det A)I = O において、AA の固有値 λ\lambda に対して、A2v=λ2vA^2 v = \lambda^2 vAv=λvAv = \lambda vIv=vIv = v が成り立つ。ただし、vvAA の固有ベクトルである。
したがって、固有値 λ1\lambda_1λ2\lambda_2 について、
λ12(trA)λ1+detA=0\lambda_1^2 - (tr A)\lambda_1 + det A = 0
λ22(trA)λ2+detA=0\lambda_2^2 - (tr A)\lambda_2 + det A = 0
これらは固有方程式 λ2(trA)λ+detA=0\lambda^2 - (tr A)\lambda + det A = 0 の解である。解と係数の関係より、λ1+λ2=trA\lambda_1 + \lambda_2 = tr A かつ λ1λ2=detA\lambda_1 \lambda_2 = det A が成り立つ。
(2) AA が正則行列である必要十分条件は detA0det A \neq 0 である。 (1) より detA=λ1λ2det A = \lambda_1 \lambda_2 であるから、AA が正則行列である必要十分条件は λ1λ20\lambda_1 \lambda_2 \neq 0 である。これは λ10\lambda_1 \neq 0 かつ λ20\lambda_2 \neq 0 と同値である。
(3) A2=OA^2 = O であるとする。(1)のケーリー・ハミルトンの定理より、
O=A2(trA)A+(detA)I=(trA)A+(detA)IO = A^2 - (tr A)A + (det A)I = -(tr A)A + (det A)I
ここで、A2=OA^2=OよりA2v=Ov=0A^2v = Ov = 0となる固有ベクトルvvが存在しないといけない。
(1)よりtrA=λ1+λ2tr A = \lambda_1 + \lambda_2およびdetA=λ1λ2det A = \lambda_1 \lambda_2であるから、
A2=OA^2 = Oであるとき, λ1=λ2=0\lambda_1 = \lambda_2 = 0であることが必要十分条件となる。

3. **最終的な答え**

(1) λ1+λ2=trA\lambda_1 + \lambda_2 = tr A かつ λ1λ2=detA\lambda_1 \lambda_2 = det A
(2) AA が正則行列であるための必要十分条件は λ10\lambda_1 \neq 0 かつ λ20\lambda_2 \neq 0
(3) A2=OA^2 = O であるための必要十分条件は λ1=λ2=0\lambda_1 = \lambda_2 = 0
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3. 対角化された行列に関する問題

1. **問題の内容**

正則行列 PP を用いて、行列 AAP1AP=[α00β]P^{-1}AP = \begin{bmatrix} \alpha & 0 \\ 0 & \beta \end{bmatrix} と対角化されたとする。以下の問いに答える。
(1) det(P1)=(detP)1det(P^{-1}) = (det P)^{-1} であることを示す。
(2) det(P1AP)=detAdet(P^{-1}AP) = det A であることを示す。
(3) α\alphaβ\betaAA の固有値であることを示す。

2. **解き方の手順**

(1) P1P=IP^{-1}P = I であるから、det(P1P)=det(I)=1det(P^{-1}P) = det(I) = 1。行列式の性質より、det(P1P)=det(P1)det(P)det(P^{-1}P) = det(P^{-1}) det(P)。したがって、det(P1)det(P)=1det(P^{-1}) det(P) = 1。よって、det(P1)=(detP)1det(P^{-1}) = (det P)^{-1}
(2) 行列式の性質より、det(P1AP)=det(P1)det(A)det(P)det(P^{-1}AP) = det(P^{-1}) det(A) det(P)。 (1) より、det(P1)=(detP)1det(P^{-1}) = (det P)^{-1} であるから、det(P1AP)=(detP)1det(A)det(P)=det(A)det(P^{-1}AP) = (det P)^{-1} det(A) det(P) = det(A)
(3) det(P1AP)=detAdet(P^{-1}AP) = det A であるから、det[α00β]=αβ=detAdet \begin{bmatrix} \alpha & 0 \\ 0 & \beta \end{bmatrix} = \alpha \beta = det A。対角行列の固有値は対角成分である。したがって、α\alphaβ\beta は行列 P1APP^{-1}AP の固有値である。 AAP1APP^{-1}AP は相似であるため、固有値は一致する。ゆえに、α\alphaβ\betaAA の固有値である。
あるいは、問題2(1)より、Aの固有値の積がdet Aであることと、対角化された行列の積がdet Aであることを示すことでも良い。

3. **最終的な答え**

(1) det(P1)=(detP)1det(P^{-1}) = (det P)^{-1}
(2) det(P1AP)=detAdet(P^{-1}AP) = det A
(3) α\alphaβ\betaAA の固有値である

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