与えられた6つの集合 $W_1, W_2, W_3, W_4, W_5, W_6$ が、それぞれ $\mathbb{R}^3$ の部分空間であるかどうかを判定し、部分空間である場合はそれを示し、部分空間でない場合は具体例を挙げる。

代数学線形代数部分空間ベクトル空間R3
2025/6/25

1. 問題の内容

与えられた6つの集合 W1,W2,W3,W4,W5,W6W_1, W_2, W_3, W_4, W_5, W_6 が、それぞれ R3\mathbb{R}^3 の部分空間であるかどうかを判定し、部分空間である場合はそれを示し、部分空間でない場合は具体例を挙げる。

2. 解き方の手順

部分空間であるための条件は、以下の3つを満たすことである。
(1) ゼロベクトルを含む。
(2) スカラー倍で閉じている。
(3) ベクトルの和で閉じている。
各集合について、上記の条件を満たすかどうかを調べ、部分空間であるか否かを判定する。
(1) W1={(x,y,z)R3x+y=0}W_1 = \{(x, y, z) \in \mathbb{R}^3 \mid x + y = 0\}
ゼロベクトル (0,0,0)(0, 0, 0)0+0=00 + 0 = 0 を満たすので、W1W_1 に含まれる。
(x,y,z)W1(x, y, z) \in W_1 ならば x+y=0x + y = 0。スカラー cc に対して、(cx,cy,cz)(cx, cy, cz) を考えると、cx+cy=c(x+y)=c0=0cx + cy = c(x + y) = c \cdot 0 = 0 なので、c(x,y,z)=(cx,cy,cz)W1c(x, y, z) = (cx, cy, cz) \in W_1
(x1,y1,z1),(x2,y2,z2)W1(x_1, y_1, z_1), (x_2, y_2, z_2) \in W_1 ならば x1+y1=0x_1 + y_1 = 0 かつ x2+y2=0x_2 + y_2 = 0。和 (x1+x2,y1+y2,z1+z2)(x_1 + x_2, y_1 + y_2, z_1 + z_2) を考えると、(x1+x2)+(y1+y2)=(x1+y1)+(x2+y2)=0+0=0(x_1 + x_2) + (y_1 + y_2) = (x_1 + y_1) + (x_2 + y_2) = 0 + 0 = 0 なので、(x1+x2,y1+y2,z1+z2)W1(x_1 + x_2, y_1 + y_2, z_1 + z_2) \in W_1
したがって、W1W_1 は部分空間である。
(2) W2={(x,y,z)R3x2y+z=0}W_2 = \{(x, y, z) \in \mathbb{R}^3 \mid x - 2y + z = 0\}
ゼロベクトル (0,0,0)(0, 0, 0)02(0)+0=00 - 2(0) + 0 = 0 を満たすので、W2W_2 に含まれる。
(x,y,z)W2(x, y, z) \in W_2 ならば x2y+z=0x - 2y + z = 0。スカラー cc に対して、(cx,cy,cz)(cx, cy, cz) を考えると、cx2(cy)+cz=c(x2y+z)=c0=0cx - 2(cy) + cz = c(x - 2y + z) = c \cdot 0 = 0 なので、c(x,y,z)=(cx,cy,cz)W2c(x, y, z) = (cx, cy, cz) \in W_2
(x1,y1,z1),(x2,y2,z2)W2(x_1, y_1, z_1), (x_2, y_2, z_2) \in W_2 ならば x12y1+z1=0x_1 - 2y_1 + z_1 = 0 かつ x22y2+z2=0x_2 - 2y_2 + z_2 = 0。和 (x1+x2,y1+y2,z1+z2)(x_1 + x_2, y_1 + y_2, z_1 + z_2) を考えると、(x1+x2)2(y1+y2)+(z1+z2)=(x12y1+z1)+(x22y2+z2)=0+0=0(x_1 + x_2) - 2(y_1 + y_2) + (z_1 + z_2) = (x_1 - 2y_1 + z_1) + (x_2 - 2y_2 + z_2) = 0 + 0 = 0 なので、(x1+x2,y1+y2,z1+z2)W2(x_1 + x_2, y_1 + y_2, z_1 + z_2) \in W_2
したがって、W2W_2 は部分空間である。
(3) W3={(x,y,z)R3x3y+2z=2}W_3 = \{(x, y, z) \in \mathbb{R}^3 \mid x - 3y + 2z = 2\}
ゼロベクトル (0,0,0)(0, 0, 0)03(0)+2(0)=020 - 3(0) + 2(0) = 0 \neq 2 を満たさないので、W3W_3 に含まれない。したがって、W3W_3 は部分空間ではない。
(4) W4={(0,0,2t)R3tR}W_4 = \{(0, 0, 2t) \in \mathbb{R}^3 \mid t \in \mathbb{R}\}
ゼロベクトル (0,0,0)(0, 0, 0)t=0t = 0 のとき得られるので、W4W_4 に含まれる。
(0,0,2t)W4(0, 0, 2t) \in W_4 ならば、スカラー cc に対して、(0,0,c(2t))=(0,0,2(ct))(0, 0, c(2t)) = (0, 0, 2(ct))ctct も実数なので、(0,0,2(ct))W4(0, 0, 2(ct)) \in W_4
(0,0,2t1),(0,0,2t2)W4(0, 0, 2t_1), (0, 0, 2t_2) \in W_4 ならば、和 (0,0,2t1+2t2)=(0,0,2(t1+t2))(0, 0, 2t_1 + 2t_2) = (0, 0, 2(t_1 + t_2))t1+t2t_1 + t_2 も実数なので、(0,0,2(t1+t2))W4(0, 0, 2(t_1 + t_2)) \in W_4
したがって、W4W_4 は部分空間である。
(5) W5={(x,y,z)R3yz0}W_5 = \{(x, y, z) \in \mathbb{R}^3 \mid y - z \geq 0\}
ゼロベクトル (0,0,0)(0, 0, 0)00=000 - 0 = 0 \geq 0 を満たすので、W5W_5 に含まれる。
(1,1,0)W5(1, 1, 0) \in W_5 だが、1(1,1,0)=(1,1,0)-1(1, 1, 0) = (-1, -1, 0)10=10-1 - 0 = -1 \geq 0 を満たさないので、W5W_5 に含まれない。したがって、W5W_5 は部分空間ではない。
(6) W6={(2t,0,3t)R3tR}W_6 = \{(2t, 0, 3t) \in \mathbb{R}^3 \mid t \in \mathbb{R}\}
ゼロベクトル (0,0,0)(0, 0, 0)t=0t = 0 のとき得られるので、W6W_6 に含まれる。
(2t,0,3t)W6(2t, 0, 3t) \in W_6 ならば、スカラー cc に対して、c(2t,0,3t)=(2(ct),0,3(ct))c(2t, 0, 3t) = (2(ct), 0, 3(ct))ctct も実数なので、(2(ct),0,3(ct))W6(2(ct), 0, 3(ct)) \in W_6
(2t1,0,3t1),(2t2,0,3t2)W6(2t_1, 0, 3t_1), (2t_2, 0, 3t_2) \in W_6 ならば、和 (2t1+2t2,0,3t1+3t2)=(2(t1+t2),0,3(t1+t2))(2t_1 + 2t_2, 0, 3t_1 + 3t_2) = (2(t_1 + t_2), 0, 3(t_1 + t_2))t1+t2t_1 + t_2 も実数なので、(2(t1+t2),0,3(t1+t2))W6(2(t_1 + t_2), 0, 3(t_1 + t_2)) \in W_6
したがって、W6W_6 は部分空間である。

3. 最終的な答え

部分空間であるものは、W1,W2,W4,W6W_1, W_2, W_4, W_6 である。
部分空間でないものは、W3,W5W_3, W_5 である。
W3W_3 は、ゼロベクトルを含まないため、部分空間ではない。
W5W_5 は、スカラー倍で閉じていないため、部分空間ではない(具体例:(1,1,0)W5(1, 1, 0) \in W_5 だが、1(1,1,0)W5-1(1, 1, 0) \notin W_5)。

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