3次正方行列 $A$ が与えられたとき、ある数を対応させる関数 $F$ がどのような性質を満たせばよいかを考察する。特に、(1)として、$F$ が列に関する多重線形性を持つことを定式化する。ここで、$A = \begin{pmatrix} a_1 & b_1 & c_1 \\ a_2 & b_2 & c_2 \\ a_3 & b_3 & c_3 \end{pmatrix}$ であり、$F$ は $a_j, b_j, c_j, j=1,2,3$ の関数である。また、$a = (a_j), b = (b_j), c = (c_j) \in K^3$ とし、$e_j$ を $K^3$ の基本ベクトルとする。

代数学線形代数行列式多重線形性行列
2025/6/25

1. 問題の内容

3次正方行列 AA が与えられたとき、ある数を対応させる関数 FF がどのような性質を満たせばよいかを考察する。特に、(1)として、FF が列に関する多重線形性を持つことを定式化する。ここで、A=(a1b1c1a2b2c2a3b3c3)A = \begin{pmatrix} a_1 & b_1 & c_1 \\ a_2 & b_2 & c_2 \\ a_3 & b_3 & c_3 \end{pmatrix} であり、FFaj,bj,cj,j=1,2,3a_j, b_j, c_j, j=1,2,3 の関数である。また、a=(aj),b=(bj),c=(cj)K3a = (a_j), b = (b_j), c = (c_j) \in K^3 とし、eje_jK3K^3 の基本ベクトルとする。

2. 解き方の手順

行列式の列に関する多重線形性とは、各列に関して線形性を持つということである。つまり、AA の各列ベクトルに対して、以下の性質が成り立つ必要がある。
* **線形性:** ある列ベクトルが2つのベクトルの和で表されるとき、行列式はそれぞれのベクトルに対する行列式の和となる。
* **スカラー倍:** ある列ベクトルがスカラー倍されたとき、行列式もそのスカラー倍される。
これを定式化すると、以下のようになる。
F(a1,a2,a3)F(a_1, a_2, a_3) は3つの列ベクトル a1a_1, a2a_2, a3a_3 を持つ行列の行列式を表すとする。ここで、a1=αu+βva_1 = \alpha u + \beta v のように、列ベクトル a1a_1 が2つのベクトル uuvv の線形結合で表される場合を考える。多重線形性より、以下の式が成立する。
F(αu+βv,a2,a3)=αF(u,a2,a3)+βF(v,a2,a3)F(\alpha u + \beta v, a_2, a_3) = \alpha F(u, a_2, a_3) + \beta F(v, a_2, a_3)
同様に、a2a_2 または a3a_3 についても同様の線形性が成立する。
より一般的に、3次正方行列 AA の列ベクトルを a,b,ca, b, c とすると、F(a,b,c)=det(A)F(a, b, c) = det(A) は以下の性質を満たす。

1. $F(\alpha a + \beta a', b, c) = \alpha F(a, b, c) + \beta F(a', b, c)$

2. $F(a, \alpha b + \beta b', c) = \alpha F(a, b, c) + \beta F(a, b', c)$

3. $F(a, b, \alpha c + \beta c') = \alpha F(a, b, c) + \beta F(a, b, c')$

ここで、α,β\alpha, \beta はスカラーであり、a,a,b,b,c,ca, a', b, b', c, c' は3次元ベクトルである。

3. 最終的な答え

3次正方行列 AA の列ベクトルを a,b,ca, b, c とすると、F(a,b,c)=det(A)F(a, b, c) = det(A) が列に関して多重線形性を持つとは、以下の性質を満たすことである。

1. $F(\alpha a + \beta a', b, c) = \alpha F(a, b, c) + \beta F(a', b, c)$

2. $F(a, \alpha b + \beta b', c) = \alpha F(a, b, c) + \beta F(a, b', c)$

3. $F(a, b, \alpha c + \beta c') = \alpha F(a, b, c) + \beta F(a, b, c')$

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