$V = \mathbb{R}[x]_2$ は2次以下の実数係数多項式全体のなすベクトル空間である。 $f_1(x) = 1 - x + x^2$, $f_2(x) = -1 + 2x + 2x^2$, $f_3(x) = 1 - 2x - x^2$ の3つの多項式が $V$ の基底であることを示す。
2025/6/27
1. 問題の内容
は2次以下の実数係数多項式全体のなすベクトル空間である。
, , の3つの多項式が の基底であることを示す。
2. 解き方の手順
ベクトル空間 の基底であることを示すためには、与えられたベクトルが線形独立であり、かつ を張ることを示す必要がある。 の次元は3なので、線形独立性を示せば、それが基底であることが示される。
まず、線形独立性を示す。
を仮定する。ここで は実数である。
これを展開すると、
この式が に関わらず成り立つためには、各係数が0でなければならない。
したがって、以下の連立方程式が得られる。
\begin{align*}
c_1 - c_2 + c_3 &= 0 \\
-c_1 + 2c_2 - 2c_3 &= 0 \\
c_1 + 2c_2 - c_3 &= 0
\end{align*}
この連立方程式を行列で表現すると、
\begin{pmatrix}
1 & -1 & 1 \\
-1 & 2 & -2 \\
1 & 2 & -1
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
c_1 \\ c_2 \\ c_3
\end{pmatrix}
=
\begin{pmatrix}
0 \\ 0 \\ 0
\end{pmatrix}
この係数行列の行列式を計算する。
$\begin{vmatrix}
1 & -1 & 1 \\
-1 & 2 & -2 \\
1 & 2 & -1
\end{vmatrix} = 1(2(-1) - (-2)(2)) - (-1)((-1)(-1) - (-2)(1)) + 1((-1)(2) - 2(1)) = 1(0) + 1(3) + 1(-4) = -1 \neq 0$
行列式が0でないので、この連立方程式の解は のみである。
したがって、 は線形独立である。
の次元は3であり、3つの線形独立なベクトルが存在するため、これらは の基底をなす。
3. 最終的な答え
, , は の基底である。