次の条件によって定められる数列 $\{a_n\}$ の極限を求めます。 (1) $a_1 = 1$, $a_{n+1} = \frac{1}{3}a_n + 2$ ($n=1, 2, 3, \dots$) (2) $a_1 = 0$, $a_{n+1} = 1 - \frac{1}{2}a_n$ ($n=1, 2, 3, \dots$) (3) $a_1 = 1$, $a_{n+1} = 2a_n + 1$ ($n=1, 2, 3, \dots$)

1. 問題の内容

次の条件によって定められる数列 $\{a_n\}$ の極限を求めます。

(1) $a_1 = 1$, $a_{n+1} = \frac{1}{3}a_n + 2$ ($n=1, 2, 3, \dots$)

(2) $a_1 = 0$, $a_{n+1} = 1 - \frac{1}{2}a_n$ ($n=1, 2, 3, \dots$)

(3) $a_1 = 1$, $a_{n+1} = 2a_n + 1$ ($n=1, 2, 3, \dots$)

2. 解き方の手順

(1)

数列 $\{a_n\}$ の極限が存在すると仮定し、その極限値を $\alpha$ とします。

$a_{n+1} = \frac{1}{3}a_n + 2$ の両辺で $n \to \infty$ の極限を取ると、

$\alpha = \frac{1}{3}\alpha + 2$

$\alpha - \frac{1}{3}\alpha = 2$

$\frac{2}{3}\alpha = 2$

$\alpha = 3$

ここで、$a_{n+1} - 3 = \frac{1}{3}a_n + 2 - 3 = \frac{1}{3}a_n - 1 = \frac{1}{3}(a_n - 3)$ と変形できます。

数列 $\{a_n - 3\}$ は公比 $\frac{1}{3}$ の等比数列です。

$a_1 - 3 = 1 - 3 = -2$ より、$a_n - 3 = -2\left(\frac{1}{3}\right)^{n-1}$

よって、$a_n = 3 - 2\left(\frac{1}{3}\right)^{n-1}$

$n \to \infty$ のとき、$\left(\frac{1}{3}\right)^{n-1} \to 0$ であるから、$\lim_{n \to \infty} a_n = 3$

(2)

数列 $\{a_n\}$ の極限が存在すると仮定し、その極限値を $\alpha$ とします。

$a_{n+1} = 1 - \frac{1}{2}a_n$ の両辺で $n \to \infty$ の極限を取ると、

$\alpha = 1 - \frac{1}{2}\alpha$

$\alpha + \frac{1}{2}\alpha = 1$

$\frac{3}{2}\alpha = 1$

$\alpha = \frac{2}{3}$

ここで、$a_{n+1} - \frac{2}{3} = 1 - \frac{1}{2}a_n - \frac{2}{3} = \frac{1}{3} - \frac{1}{2}a_n = -\frac{1}{2}\left(a_n - \frac{2}{3}\right)$ と変形できます。

数列 $\{a_n - \frac{2}{3}\}$ は公比 $-\frac{1}{2}$ の等比数列です。

$a_1 - \frac{2}{3} = 0 - \frac{2}{3} = -\frac{2}{3}$ より、$a_n - \frac{2}{3} = -\frac{2}{3}\left(-\frac{1}{2}\right)^{n-1}$

よって、$a_n = \frac{2}{3} - \frac{2}{3}\left(-\frac{1}{2}\right)^{n-1}$

$n \to \infty$ のとき、$\left(-\frac{1}{2}\right)^{n-1} \to 0$ であるから、$\lim_{n \to \infty} a_n = \frac{2}{3}$

(3)

数列 $\{a_n\}$ の極限が存在すると仮定し、その極限値を $\alpha$ とします。

$a_{n+1} = 2a_n + 1$ の両辺で $n \to \infty$ の極限を取ると、

$\alpha = 2\alpha + 1$

$\alpha - 2\alpha = 1$

$-\alpha = 1$

$\alpha = -1$

ここで、$a_{n+1} + 1 = 2a_n + 1 + 1 = 2(a_n + 1)$ と変形できます。

数列 $\{a_n + 1\}$ は公比 $2$ の等比数列です。

$a_1 + 1 = 1 + 1 = 2$ より、$a_n + 1 = 2 \cdot 2^{n-1} = 2^n$

よって、$a_n = 2^n - 1$

$n \to \infty$ のとき、$2^n \to \infty$ であるから、$\lim_{n \to \infty} a_n = \infty$。

したがって、極限は存在しません。

3. 最終的な答え

(1) $3$

(2) $\frac{2}{3}$

(3) 存在しない