問題は2つあります。 (1) $f(x) = \log(1+x)$ の $x=0$ における $n$ 次のテイラー展開を、剰余項も含めて求めよ。 (2) $\cos x$ の有限マクローリン展開とラグランジュの剰余項 $R_{2n+1}(x)$ を確認せよ。

解析学テイラー展開マクローリン展開剰余項微分
2025/6/28

1. 問題の内容

問題は2つあります。
(1) f(x)=log(1+x)f(x) = \log(1+x)x=0x=0 における nn 次のテイラー展開を、剰余項も含めて求めよ。
(2) cosx\cos x の有限マクローリン展開とラグランジュの剰余項 R2n+1(x)R_{2n+1}(x) を確認せよ。

2. 解き方の手順

(1) f(x)=log(1+x)f(x) = \log(1+x) のテイラー展開
f(x)=log(1+x)f(x) = \log(1+x)nn 次導関数を求めます。
f(x)=log(1+x)f(x) = \log(1+x)
f(x)=11+xf'(x) = \frac{1}{1+x}
f(x)=1(1+x)2f''(x) = -\frac{1}{(1+x)^2}
f(x)=2(1+x)3f'''(x) = \frac{2}{(1+x)^3}
f(4)(x)=6(1+x)4f^{(4)}(x) = -\frac{6}{(1+x)^4}
一般に、f(n)(x)=(1)n1(n1)!(1+x)nf^{(n)}(x) = (-1)^{n-1}\frac{(n-1)!}{(1+x)^n} (n1n \ge 1)
x=0x=0 での値を計算します。
f(0)=log(1+0)=0f(0) = \log(1+0) = 0
f(0)=1f'(0) = 1
f(0)=1f''(0) = -1
f(0)=2f'''(0) = 2
f(4)(0)=6f^{(4)}(0) = -6
一般に、f(n)(0)=(1)n1(n1)!f^{(n)}(0) = (-1)^{n-1}(n-1)! (n1n \ge 1)
テイラー展開は次のようになります。
f(x)=f(0)+k=1nf(k)(0)k!xk+Rn(x)f(x) = f(0) + \sum_{k=1}^{n} \frac{f^{(k)}(0)}{k!}x^k + R_n(x)
f(x)=0+k=1n(1)k1(k1)!k!xk+Rn(x)f(x) = 0 + \sum_{k=1}^{n} \frac{(-1)^{k-1}(k-1)!}{k!}x^k + R_n(x)
f(x)=k=1n(1)k1kxk+Rn(x)f(x) = \sum_{k=1}^{n} \frac{(-1)^{k-1}}{k}x^k + R_n(x)
f(x)=xx22+x33x44++(1)n1xnn+Rn(x)f(x) = x - \frac{x^2}{2} + \frac{x^3}{3} - \frac{x^4}{4} + \dots + (-1)^{n-1}\frac{x^n}{n} + R_n(x)
ラグランジュの剰余項は次のようになります。
Rn(x)=f(n+1)(θx)(n+1)!xn+1R_n(x) = \frac{f^{(n+1)}(\theta x)}{(n+1)!}x^{n+1} (0<θ<10 < \theta < 1)
Rn(x)=(1)nn!(1+θx)n+1(n+1)!xn+1R_n(x) = \frac{(-1)^n n!}{(1+\theta x)^{n+1}(n+1)!}x^{n+1}
Rn(x)=(1)nn+1xn+1(1+θx)n+1R_n(x) = \frac{(-1)^n}{n+1} \frac{x^{n+1}}{(1+\theta x)^{n+1}}
(2) cosx\cos x のマクローリン展開
cosx\cos x の導関数を求めます。
(cosx)=sinx(\cos x)' = -\sin x
(cosx)=cosx(\cos x)'' = -\cos x
(cosx)=sinx(\cos x)''' = \sin x
(cosx)(4)=cosx(\cos x)^{(4)} = \cos x
以下、周期的に繰り返されます。
cos(0)=1\cos(0) = 1
sin(0)=0-\sin(0) = 0
cos(0)=1-\cos(0) = -1
sin(0)=0\sin(0) = 0
マクローリン展開は次のようになります。
cosx=k=0nf(k)(0)k!xk+R2n+1(x)\cos x = \sum_{k=0}^{n} \frac{f^{(k)}(0)}{k!}x^k + R_{2n+1}(x)
cosx=1x22!+x44!x66!++(1)nx2n(2n)!+R2n+1(x)\cos x = 1 - \frac{x^2}{2!} + \frac{x^4}{4!} - \frac{x^6}{6!} + \dots + (-1)^n \frac{x^{2n}}{(2n)!} + R_{2n+1}(x)
ラグランジュの剰余項は次のようになります。
R2n+1(x)=f(2n+2)(θx)(2n+2)!x2n+2R_{2n+1}(x) = \frac{f^{(2n+2)}(\theta x)}{(2n+2)!} x^{2n+2} (0<θ<10 < \theta < 1)
f(2n+2)(x)f^{(2n+2)}(x)±cosx\pm \cos x または ±sinx\pm \sin x なので、絶対値は1以下です。
R2n+1(x)=f(2n+2)(θx)(2n+2)!x2n+2x2n+2(2n+2)!|R_{2n+1}(x)| = |\frac{f^{(2n+2)}(\theta x)}{(2n+2)!} x^{2n+2}| \le \frac{|x|^{2n+2}}{(2n+2)!}

3. 最終的な答え

(1) f(x)=log(1+x)=k=1n(1)k1kxk+(1)nn+1xn+1(1+θx)n+1f(x) = \log(1+x) = \sum_{k=1}^{n} \frac{(-1)^{k-1}}{k}x^k + \frac{(-1)^n}{n+1} \frac{x^{n+1}}{(1+\theta x)^{n+1}}
(2) cosx=k=0n(1)kx2k(2k)!+R2n+1(x)\cos x = \sum_{k=0}^{n} (-1)^k \frac{x^{2k}}{(2k)!} + R_{2n+1}(x), R2n+1(x)x2n+2(2n+2)!|R_{2n+1}(x)| \le \frac{|x|^{2n+2}}{(2n+2)!}

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