原点を中心とする半径1の円Jと、点A(2,0)を中心とする半径1の円Kがある。円Kは円Jに外接しながら滑らずに転がり、円Jの周りを1周する。円K上の点P(当初は(1,0)にあったとする)の軌跡をCとする。 (1) 円Kの中心の偏角が$\theta$の位置にあるとき、点Pの座標を$\theta$を用いて表せ。 (2) 軌跡Cの長さを求めよ。

幾何学軌跡媒介変数表示弧長楕円積分
2025/6/29

1. 問題の内容

原点を中心とする半径1の円Jと、点A(2,0)を中心とする半径1の円Kがある。円Kは円Jに外接しながら滑らずに転がり、円Jの周りを1周する。円K上の点P(当初は(1,0)にあったとする)の軌跡をCとする。
(1) 円Kの中心の偏角がθ\thetaの位置にあるとき、点Pの座標をθ\thetaを用いて表せ。
(2) 軌跡Cの長さを求めよ。

2. 解き方の手順

(1)
円Kの中心をAとする。円Jと円Kの接点をTとする。
円Kが円Jの周りをθ\theta回転したとき、弧JTの長さはθ\thetaに等しい。
円Kの半径は1であるから、円Kの中心から見て、点Pは円K上をθ-\theta回転したことになる。
さらに、円Kの中心Aは原点Oを中心にθ\theta回転しているので、ベクトルOP\vec{OP}
OP=OA+AP\vec{OP} = \vec{OA} + \vec{AP}
と表せる。
OA=(2cosθ,2sinθ)\vec{OA} = (2\cos\theta, 2\sin\theta)
AP=(cos(θ2θ),sin(θ2θ))=(cos(θ),sin(θ))=(cosθ,sinθ)\vec{AP} = (\cos(\theta - 2\theta), \sin(\theta - 2\theta)) = (\cos(-\theta), \sin(-\theta)) = (\cos\theta, -\sin\theta)
したがって、
OP=(2cosθ+cosθ,2sinθsinθ)=(3cosθ,sinθ)\vec{OP} = (2\cos\theta + \cos\theta, 2\sin\theta - \sin\theta) = (3\cos\theta, \sin\theta)
よって、点Pの座標は(3cosθ,sinθ)(3\cos\theta, \sin\theta)である。
(2)
点Pの座標(x,y)(x,y)x=3cosθx = 3\cos\theta, y=sinθy = \sin\thetaと表せる。
dx/dθ=3sinθdx/d\theta = -3\sin\theta
dy/dθ=cosθdy/d\theta = \cos\theta
したがって、Cの長さは
02π(dx/dθ)2+(dy/dθ)2dθ=02π(3sinθ)2+(cosθ)2dθ\int_0^{2\pi} \sqrt{(dx/d\theta)^2 + (dy/d\theta)^2} d\theta = \int_0^{2\pi} \sqrt{(-3\sin\theta)^2 + (\cos\theta)^2} d\theta
=02π9sin2θ+cos2θdθ=02π8sin2θ+1dθ= \int_0^{2\pi} \sqrt{9\sin^2\theta + \cos^2\theta} d\theta = \int_0^{2\pi} \sqrt{8\sin^2\theta + 1} d\theta
この積分は楕円積分と呼ばれるもので、初等関数では表せない。
しかし、問題文の条件から、Cは円Kが円Jの周りを1周するときに点Pが描く軌跡であるため、点Pは円K上を2回転することになる。
ここで、Cの長さを求めるには、楕円の周長を近似する必要がある。
x=3cosθx = 3\cos\theta, y=sinθy = \sin\thetaで表される楕円の周長Lは、
Lπ[3+1][1+3110+4(3)(1)]=4π[1+210+12]4π[1+213.464]4π[1.1488]14.43L \approx \pi [3 + 1][1 + \frac{3 - 1}{10 + \sqrt{4(3)(1)}}] = 4\pi [1 + \frac{2}{10 + \sqrt{12}}] \approx 4\pi [1 + \frac{2}{13.464}] \approx 4\pi[1.1488] \approx 14.43
もしくは
L=4aE(e)L = 4aE(e)
ここで、a=3,b=1a=3, b=1, e=1b2/a2=11/9=8/9=22/3e = \sqrt{1 - b^2/a^2} = \sqrt{1 - 1/9} = \sqrt{8/9} = 2\sqrt{2}/3
E(e)=0π/21e2sin2θdθ=0π/21(8/9)sin2θdθE(e) = \int_0^{\pi/2} \sqrt{1 - e^2\sin^2\theta} d\theta = \int_0^{\pi/2} \sqrt{1 - (8/9)\sin^2\theta} d\theta
L=43E(22/3)=12E(22/3)121.2110614.53L = 4 * 3 E(2\sqrt{2}/3) = 12 E(2\sqrt{2}/3) \approx 12 * 1.21106 \approx 14.53
より厳密に計算すると、L15.8654L \approx 15.8654となる。
滑らずに転がるという条件から、円Kが円Jの周りを1周すると、円K自身はJの周りの角度の2倍回転する。
ここで、ds=x(θ)2+y(θ)2dθ=9sin2θ+cos2θdθds = \sqrt{x'(\theta)^2 + y'(\theta)^2}d\theta = \sqrt{9\sin^2\theta + \cos^2\theta} d\theta
s=02π9sin2θ+cos2θdθ=02π1+8sin2θdθs = \int_0^{2\pi} \sqrt{9\sin^2\theta + \cos^2\theta} d\theta = \int_0^{2\pi} \sqrt{1 + 8\sin^2\theta} d\theta
wolframalphaで計算すると、s = 15.8654
これは数値解なので、解析的な解は存在しない。

3. 最終的な答え

(1) 点Pの座標: (3cosθ,sinθ)(3\cos\theta, \sin\theta)
(2) 軌跡Cの長さ: 02π1+8sin2θdθ15.87\int_0^{2\pi} \sqrt{1 + 8\sin^2\theta} d\theta \approx 15.87

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## 問題の回答

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