まず、被積分関数 e−∣sint∣ が周期 π を持つ偶関数であることに注目します。つまり、以下の性質が成り立ちます。 * e−∣sin(t+π)∣=e−∣sint∣ * e−∣sin(−t)∣=e−∣sint∣ したがって、積分範囲を [0,2π] から [0,π] に縮小し、さらに [0,π/2] に縮小することで、計算を簡単化できます。 ∫02πe−∣sint∣dt=2∫0πe−∣sint∣dt=4∫0π/2e−∣sint∣dt 区間 [0,π/2] では、sint は常に非負なので、∣sint∣=sint となります。よって、積分は以下のようになります。 4∫0π/2e−sintdt この積分は初等関数では表せませんが、修正ベッセル関数を用いて表現できます。
修正ベッセル関数 I0(x) は次のように定義されます。 I0(x)=π1∫0πexcosθdθ 変数変換を行います。t=2π−θ とすると、dt=−dθ であり、積分範囲は θ:2π→0 となります。 sint=sin(2π−θ)=cosθ となるので、積分は以下のようになります。 4∫0π/2e−sintdt=4∫π/20e−cosθ(−dθ)=4∫0π/2e−cosθdθ ここで、I0(−1)=π1∫0πe−cosθdθ であることと、∫0π/2e−cosθdθ=2πI0(−1) であることに注意すると、 4∫0π/2e−cosθdθ=4⋅2πI0(−1)=2πI0(−1) ここで、I0(−1)=I0(1)が成立するので、 I0(1)=π1∫0πecosθdθ となります。数値計算をすると、I0(1)≈1.266065877520082 となります。 したがって、2πI0(1)≈2π(1.266065877520082)≈7.954926521