線形写像 $T: U \to V$ が与えられているとき、以下の2つを示す問題です。 (1) $Im(T)$ が $V$ の部分空間であること。 (2) $Ker(T)$ が $U$ の部分空間であること。

代数学線形代数線形写像部分空間
2025/6/30

1. 問題の内容

線形写像 T:UVT: U \to V が与えられているとき、以下の2つを示す問題です。
(1) Im(T)Im(T)VV の部分空間であること。
(2) Ker(T)Ker(T)UU の部分空間であること。

2. 解き方の手順

(1) Im(T)Im(T)VV の部分空間であることを示す。
Im(T)={vVuU,T(u)=v}Im(T) = \{v \in V \mid \exists u \in U, T(u) = v\} です。部分空間であるためには、以下の3つの条件を満たす必要があります。
(i) Im(T)Im(T) が空でないこと。
(ii) v1,v2Im(T)v_1, v_2 \in Im(T) ならば v1+v2Im(T)v_1 + v_2 \in Im(T) であること。
(iii) vIm(T)v \in Im(T) かつ cc がスカラーならば cvIm(T)cv \in Im(T) であること。
(i) UU の零ベクトルを 0U0_U とすると、T(0U)=0VT(0_U) = 0_V なので、0VIm(T)0_V \in Im(T)。したがって、Im(T)Im(T) は空ではありません。
(ii) v1,v2Im(T)v_1, v_2 \in Im(T) とすると、ある u1,u2Uu_1, u_2 \in U が存在して T(u1)=v1T(u_1) = v_1 かつ T(u2)=v2T(u_2) = v_2 となります。このとき、v1+v2=T(u1)+T(u2)=T(u1+u2)v_1 + v_2 = T(u_1) + T(u_2) = T(u_1 + u_2) となります。u1+u2Uu_1 + u_2 \in U なので、v1+v2Im(T)v_1 + v_2 \in Im(T) です。
(iii) vIm(T)v \in Im(T) とすると、ある uUu \in U が存在して T(u)=vT(u) = v となります。このとき、cv=cT(u)=T(cu)cv = cT(u) = T(cu) となります。cuUcu \in U なので、cvIm(T)cv \in Im(T) です。
したがって、Im(T)Im(T)VV の部分空間です。
(2) Ker(T)Ker(T)UU の部分空間であることを示す。
Ker(T)={uUT(u)=0V}Ker(T) = \{u \in U \mid T(u) = 0_V\} です。部分空間であるためには、以下の3つの条件を満たす必要があります。
(i) Ker(T)Ker(T) が空でないこと。
(ii) u1,u2Ker(T)u_1, u_2 \in Ker(T) ならば u1+u2Ker(T)u_1 + u_2 \in Ker(T) であること。
(iii) uKer(T)u \in Ker(T) かつ cc がスカラーならば cuKer(T)cu \in Ker(T) であること。
(i) T(0U)=0VT(0_U) = 0_V なので、0UKer(T)0_U \in Ker(T)。したがって、Ker(T)Ker(T) は空ではありません。
(ii) u1,u2Ker(T)u_1, u_2 \in Ker(T) とすると、T(u1)=0VT(u_1) = 0_V かつ T(u2)=0VT(u_2) = 0_V となります。このとき、T(u1+u2)=T(u1)+T(u2)=0V+0V=0VT(u_1 + u_2) = T(u_1) + T(u_2) = 0_V + 0_V = 0_V となるので、u1+u2Ker(T)u_1 + u_2 \in Ker(T) です。
(iii) uKer(T)u \in Ker(T) とすると、T(u)=0VT(u) = 0_V となります。このとき、T(cu)=cT(u)=c0V=0VT(cu) = cT(u) = c0_V = 0_V となるので、cuKer(T)cu \in Ker(T) です。
したがって、Ker(T)Ker(T)UU の部分空間です。

3. 最終的な答え

(1) Im(T)Im(T)VV の部分空間である。
(2) Ker(T)Ker(T)UU の部分空間である。

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