線形変換 $T: \mathbb{R}^2 \to \mathbb{R}^2$ があり、直線 $y = x$ 上の点は2倍に拡大され、直線 $y = -x$ 上の点は変化しない。この線形変換を表す2次正方行列を求める。

代数学線形変換行列ベクトル線形代数
2025/6/30

1. 問題の内容

線形変換 T:R2R2T: \mathbb{R}^2 \to \mathbb{R}^2 があり、直線 y=xy = x 上の点は2倍に拡大され、直線 y=xy = -x 上の点は変化しない。この線形変換を表す2次正方行列を求める。

2. 解き方の手順

まず、線形変換の性質から、基底ベクトルの行き先を考えることが重要です。ここでは、直線 y=xy=xy=xy=-x 上のベクトルを基底として利用します。
ベクトル v1=(11)\vec{v_1} = \begin{pmatrix} 1 \\ 1 \end{pmatrix} は直線 y=xy=x 上にあり、このベクトルは線形変換によって2倍されるので、
T(v1)=2v1=(22)T(\vec{v_1}) = 2\vec{v_1} = \begin{pmatrix} 2 \\ 2 \end{pmatrix}
ベクトル v2=(11)\vec{v_2} = \begin{pmatrix} 1 \\ -1 \end{pmatrix} は直線 y=xy=-x 上にあり、このベクトルは線形変換によって変化しないので、
T(v2)=v2=(11)T(\vec{v_2}) = \vec{v_2} = \begin{pmatrix} 1 \\ -1 \end{pmatrix}
次に、標準基底 e1=(10)\vec{e_1} = \begin{pmatrix} 1 \\ 0 \end{pmatrix}e2=(01)\vec{e_2} = \begin{pmatrix} 0 \\ 1 \end{pmatrix}v1\vec{v_1}v2\vec{v_2} の線形結合で表します。
e1=av1+bv2\vec{e_1} = a\vec{v_1} + b\vec{v_2}e2=cv1+dv2\vec{e_2} = c\vec{v_1} + d\vec{v_2} を満たす a,b,c,da, b, c, d を求めます。
(10)=a(11)+b(11)\begin{pmatrix} 1 \\ 0 \end{pmatrix} = a\begin{pmatrix} 1 \\ 1 \end{pmatrix} + b\begin{pmatrix} 1 \\ -1 \end{pmatrix} より、
a+b=1a + b = 1
ab=0a - b = 0
これを解くと、a=12,b=12a = \frac{1}{2}, b = \frac{1}{2} となります。
(01)=c(11)+d(11)\begin{pmatrix} 0 \\ 1 \end{pmatrix} = c\begin{pmatrix} 1 \\ 1 \end{pmatrix} + d\begin{pmatrix} 1 \\ -1 \end{pmatrix} より、
c+d=0c + d = 0
cd=1c - d = 1
これを解くと、c=12,d=12c = \frac{1}{2}, d = -\frac{1}{2} となります。
したがって、
e1=12v1+12v2\vec{e_1} = \frac{1}{2}\vec{v_1} + \frac{1}{2}\vec{v_2}
e2=12v112v2\vec{e_2} = \frac{1}{2}\vec{v_1} - \frac{1}{2}\vec{v_2}
ここで、線形変換 TT を適用すると、
T(e1)=12T(v1)+12T(v2)=12(2v1)+12v2=v1+12v2=(11)+12(11)=(3212)T(\vec{e_1}) = \frac{1}{2}T(\vec{v_1}) + \frac{1}{2}T(\vec{v_2}) = \frac{1}{2}(2\vec{v_1}) + \frac{1}{2}\vec{v_2} = \vec{v_1} + \frac{1}{2}\vec{v_2} = \begin{pmatrix} 1 \\ 1 \end{pmatrix} + \frac{1}{2}\begin{pmatrix} 1 \\ -1 \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} \frac{3}{2} \\ \frac{1}{2} \end{pmatrix}
T(e2)=12T(v1)12T(v2)=12(2v1)12v2=v112v2=(11)12(11)=(1232)T(\vec{e_2}) = \frac{1}{2}T(\vec{v_1}) - \frac{1}{2}T(\vec{v_2}) = \frac{1}{2}(2\vec{v_1}) - \frac{1}{2}\vec{v_2} = \vec{v_1} - \frac{1}{2}\vec{v_2} = \begin{pmatrix} 1 \\ 1 \end{pmatrix} - \frac{1}{2}\begin{pmatrix} 1 \\ -1 \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} \frac{1}{2} \\ \frac{3}{2} \end{pmatrix}
求める2次正方行列は、各列が T(e1)T(\vec{e_1})T(e2)T(\vec{e_2}) である行列になります。

3. 最終的な答え

(32121232)\begin{pmatrix} \frac{3}{2} & \frac{1}{2} \\ \frac{1}{2} & \frac{3}{2} \end{pmatrix}

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