1から$n$までの番号が書かれた$n$枚のカードが入った箱がある。ただし、$n \ge 2$は自然数とする。 (1) その箱から同時に2枚取り出すとき、書かれた番号の和が$n$以下となる確率を求めよ。 (2) その箱から1枚取り出し、それを箱に戻してから、もう一度1枚取り出すとき、書かれた番号の和が$n$以下となる確率を求めよ。

確率論・統計学確率組み合わせ期待値
2025/6/30

1. 問題の内容

1からnnまでの番号が書かれたnn枚のカードが入った箱がある。ただし、n2n \ge 2は自然数とする。
(1) その箱から同時に2枚取り出すとき、書かれた番号の和がnn以下となる確率を求めよ。
(2) その箱から1枚取り出し、それを箱に戻してから、もう一度1枚取り出すとき、書かれた番号の和がnn以下となる確率を求めよ。

2. 解き方の手順

(1)
全事象は、nn枚のカードから2枚を同時に取り出す組み合わせの数なので、nC2=n(n1)2_nC_2 = \frac{n(n-1)}{2}通り。
事象の和がnn以下となる組み合わせを考える。
取り出す2枚のカードの番号をi,ji, j(ただしi<ji<j)とすると、i+jni + j \le nとなる。
i=1i=1のとき、jj22からn1n-1までとれる。jnij \le n - iより、jj22からn1n-1までのnin-iまで、nin-i個とれる。ただし、i<ji < jである必要があるから、n1n-1個。
i=2i=2のとき、jj33からn2n-2までとれる。jn2j \le n - 2より、jj33からn2n-2までのn22+1=n3+1=ni1+1=n3n - 2 - 2 + 1 = n-3 + 1 = n - i - 1 + 1 = n -3個とれる。
...
iiの最大値は、nii+1n - i \ge i + 1より、2i+1n2i + 1 \le n, 2in12i \le n - 1, in12i \le \frac{n-1}{2}
最大のiikkとすると、i+jni + j \le n, i<ji < jなので、iiが取りうる最大の整数k=n12k = \lfloor \frac{n-1}{2} \rfloorの場合を考える。
i=ki = kのとき、jnkj \le n - kより、j=k+1,k+2,,nkj = k+1, k+2, \dots, n-kとなる。jjの個数はnkk=n2kn - k - k = n - 2k個。
場合の数を計算する。
i+jni + j \le nとなる組(i,j)(i, j)の数を求める。i<ji < jとする。
i=1i = 1のとき、jj2,3,,n12, 3, \dots, n-1n2n-2個。
i=2i = 2のとき、jj3,4,,n23, 4, \dots, n-2n4n-4個。
i=3i = 3のとき、jj4,5,,n34, 5, \dots, n-3n6n-6個。
...
i=ki = kのとき、jjk+1,k+2,,nkk+1, k+2, \dots, n-kn2kn-2k個。
nnが偶数のとき、n=2kn = 2kk=n2k = \frac{n}{2}より、ik12i \le k - \frac{1}{2}なので、i=k1i = k-1のとき、n2(k1)=n2(n21)=nn+2=2n - 2(k-1) = n - 2(\frac{n}{2}-1) = n - n + 2 = 2個。
nnが奇数のとき、n=2k+1n = 2k+1k=n12k = \frac{n-1}{2}より、n2k=n2(n12)=nn+1=1n - 2k = n - 2(\frac{n-1}{2}) = n - n + 1 = 1個。
求める確率はi=1(n1)/2(n2i)n(n1)2=2i=1(n1)/2(n2i)n(n1)\frac{\sum_{i=1}^{\lfloor (n-1)/2 \rfloor} (n-2i)}{\frac{n(n-1)}{2}} = \frac{2 \sum_{i=1}^{\lfloor (n-1)/2 \rfloor} (n-2i)}{n(n-1)}
i=1k(n2i)=i=1kn2i=1ki=nk2k(k+1)2=nkk(k+1)=k(nk1)\sum_{i=1}^{k} (n-2i) = \sum_{i=1}^{k} n - 2 \sum_{i=1}^{k} i = nk - 2 \cdot \frac{k(k+1)}{2} = nk - k(k+1) = k(n-k-1)
したがって、k=n12k = \lfloor \frac{n-1}{2} \rfloorのとき、求める確率は2k(nk1)n(n1)\frac{2k(n-k-1)}{n(n-1)}
nnが偶数のとき、k=n22k = \frac{n-2}{2}なので、確率は2(n22)(nn221)n(n1)=(n2)(2nn+222)n(n1)=(n2)(n2)n(n1)=n22(n1)\frac{2(\frac{n-2}{2})(n - \frac{n-2}{2} - 1)}{n(n-1)} = \frac{(n-2)(\frac{2n - n + 2 - 2}{2})}{n(n-1)} = \frac{(n-2)(\frac{n}{2})}{n(n-1)} = \frac{n-2}{2(n-1)}
nnが奇数のとき、k=n12k = \frac{n-1}{2}なので、確率は2(n12)(nn121)n(n1)=(n1)(2nn+122)n(n1)=(n1)(n12)n(n1)=n12n\frac{2(\frac{n-1}{2})(n - \frac{n-1}{2} - 1)}{n(n-1)} = \frac{(n-1)(\frac{2n - n + 1 - 2}{2})}{n(n-1)} = \frac{(n-1)(\frac{n-1}{2})}{n(n-1)} = \frac{n-1}{2n}
(2)
全事象はn×n=n2n \times n = n^2通り。
取り出す2枚のカードの番号をi,ji, jとすると、i+jni + j \le nとなる。
i=1i=1のとき、jj11からn1n-1まで、n1n-1個とれる。
i=2i=2のとき、jj11からn2n-2まで、n2n-2個とれる。
...
i=n1i=n-1のとき、jj11から11まで、11個とれる。
i=ni=nのとき、i+jni + j \le nを満たすjjはないので、00個。
場合の数はi=1n1(ni)=i=1n1ni=1n1i=n(n1)(n1)n2=2n(n1)n(n1)2=n(n1)2\sum_{i=1}^{n-1} (n-i) = \sum_{i=1}^{n-1} n - \sum_{i=1}^{n-1} i = n(n-1) - \frac{(n-1)n}{2} = \frac{2n(n-1) - n(n-1)}{2} = \frac{n(n-1)}{2}
求める確率はn(n1)2n2=n(n1)2n2=n12n\frac{\frac{n(n-1)}{2}}{n^2} = \frac{n(n-1)}{2n^2} = \frac{n-1}{2n}

3. 最終的な答え

(1) nnが偶数のときn22(n1)\frac{n-2}{2(n-1)}nnが奇数のときn12n\frac{n-1}{2n}
(2) n12n\frac{n-1}{2n}

「確率論・統計学」の関連問題

確率変数 $X$ の確率密度関数 $f(x)$ が与えられています。 $f(x) = \begin{cases} cx(4-x) & (0 \le x \le 4) \\ 0 & (x < 0, 4 ...

確率密度関数期待値分散積分
2025/7/6

50人の生徒が問題A, B, Cに挑戦しました。各問題を正解した人数、および2つの問題を正解した人数が与えられています。3つの問題をすべて正解した生徒の数を求めます。ただし、どの問題も解けなかった生徒...

集合包含と排除の原理確率
2025/7/6

50人の生徒が、問題A, B, Cを受けました。それぞれの問題を正解した人数、2つの問題を正解した人数、そしてどの問題も正解できなかった人数が与えられています。このとき、3問全てを正解した生徒の人数を...

集合ベン図包含と排除の原理場合の数
2025/7/6

2枚の硬貨を同時に投げるとき、次の確率を求めます。 (1) 表が2枚出る確率 (2) 表と裏が1枚ずつ出る確率

確率硬貨場合の数
2025/7/6

大人3人、子ども5人の中から4人を選ぶとき、次の選び方は何通りあるか。 (1) 大人2人と子ども2人を選ぶ。 (2) 大人が少なくとも1人は含まれるように選ぶ。

組み合わせ場合の数順列
2025/7/6

家から学校までの交通手段として、電車(30分)とバスの2つの選択肢があります。バスは確率 $1/3$ で遅延し、遅延しない場合は20分、遅延した場合は35分かかります。どちらの交通手段を選ぶ方が、期待...

期待値確率交通手段比較
2025/7/6

1個のサイコロを3回繰り返し投げるとき、5以上の目が出る回数の期待値を求めよ。

確率期待値二項分布サイコロ
2025/7/6

白球2個と赤球3個が入っている袋から同時に3個の球を取り出すとき、そこに含まれる白球の個数の期待値を求めよ。

期待値確率組み合わせ
2025/7/6

例題9において、同時に3個の球を取り出すとき、そこに含まれる白球の個数の期待値を求めよ。ただし、例題9の内容が不明なので、白球の割合がわかっているものとして解くことにします。ここでは、画像にある $8...

期待値確率組み合わせ
2025/7/6

問題19:1個のサイコロを3回繰り返し投げるとき、5以上の目が出る回数の期待値を求めよ。

期待値確率二項分布サイコロ
2025/7/6