ロピタルの定理を用いて、以下の極限値を求めます。 a) $\lim_{x \to 0} \frac{\arctan x}{x}$ b) $\lim_{x \to 0} \frac{e^x - x - 1}{x^2}$

解析学極限ロピタルの定理微分arctan指数関数
2025/7/1

1. 問題の内容

ロピタルの定理を用いて、以下の極限値を求めます。
a) limx0arctanxx\lim_{x \to 0} \frac{\arctan x}{x}
b) limx0exx1x2\lim_{x \to 0} \frac{e^x - x - 1}{x^2}

2. 解き方の手順

a) limx0arctanxx\lim_{x \to 0} \frac{\arctan x}{x}
x0x \to 0 のとき、arctanx0\arctan x \to 0 かつ x0x \to 0 となるので、00\frac{0}{0} の不定形です。ロピタルの定理を適用します。arctanx\arctan x の微分は 11+x2\frac{1}{1+x^2} であり、xx の微分は 11 です。したがって、
limx0arctanxx=limx011+x21=limx011+x2\lim_{x \to 0} \frac{\arctan x}{x} = \lim_{x \to 0} \frac{\frac{1}{1+x^2}}{1} = \lim_{x \to 0} \frac{1}{1+x^2}
x0x \to 0 のとき、1+x211+x^2 \to 1 となるので、
limx011+x2=11+02=1\lim_{x \to 0} \frac{1}{1+x^2} = \frac{1}{1+0^2} = 1
b) limx0exx1x2\lim_{x \to 0} \frac{e^x - x - 1}{x^2}
x0x \to 0 のとき、exx1e001=101=0e^x - x - 1 \to e^0 - 0 - 1 = 1 - 0 - 1 = 0 かつ x20x^2 \to 0 となるので、00\frac{0}{0} の不定形です。ロピタルの定理を適用します。exx1e^x - x - 1 の微分は ex1e^x - 1 であり、x2x^2 の微分は 2x2x です。したがって、
limx0exx1x2=limx0ex12x\lim_{x \to 0} \frac{e^x - x - 1}{x^2} = \lim_{x \to 0} \frac{e^x - 1}{2x}
x0x \to 0 のとき、ex1e01=11=0e^x - 1 \to e^0 - 1 = 1 - 1 = 0 かつ 2x02x \to 0 となるので、再び 00\frac{0}{0} の不定形です。ロピタルの定理を再度適用します。ex1e^x - 1 の微分は exe^x であり、2x2x の微分は 22 です。したがって、
limx0ex12x=limx0ex2\lim_{x \to 0} \frac{e^x - 1}{2x} = \lim_{x \to 0} \frac{e^x}{2}
x0x \to 0 のとき、exe0=1e^x \to e^0 = 1 となるので、
limx0ex2=12\lim_{x \to 0} \frac{e^x}{2} = \frac{1}{2}

3. 最終的な答え

a) limx0arctanxx=1\lim_{x \to 0} \frac{\arctan x}{x} = 1
b) limx0exx1x2=12\lim_{x \to 0} \frac{e^x - x - 1}{x^2} = \frac{1}{2}

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