4次正方行列 $A = (a_{ij})$ の行列式を列に関する多重線形性・退化性・交代性を用いて展開した場合、消える項を消すと項数はいくつか。また、与えられた各項がこれらの項の1つとして現れるかどうかを判定する。

代数学行列式多重線形性退化性交代性置換
2025/7/4

1. 問題の内容

4次正方行列 A=(aij)A = (a_{ij}) の行列式を列に関する多重線形性・退化性・交代性を用いて展開した場合、消える項を消すと項数はいくつか。また、与えられた各項がこれらの項の1つとして現れるかどうかを判定する。

2. 解き方の手順

行列式は列に関して多重線形性、交代性を持ちます。また、同じ列ベクトルが2つ以上あると0になるという退化性を持ちます。4次正方行列の行列式を展開すると、一般には 4!=244! = 24 個の項が現れます。しかし、多重線形性と退化性を考慮すると、0になる項が出てきます。
行列式を det(A)det(A) と書くと、
det(A)=σS4sgn(σ)a1σ(1)a2σ(2)a3σ(3)a4σ(4)det(A) = \sum_{\sigma \in S_4} sgn(\sigma) a_{1\sigma(1)}a_{2\sigma(2)}a_{3\sigma(3)}a_{4\sigma(4)}
ここで、S4S_4 は4次の置換群、sgn(σ)sgn(\sigma) は置換 σ\sigma の符号です。
多重線形性とは、ある列が2つのベクトルの和で書けるとき、行列式も2つの行列式の和で書けるという性質です。
交代性とは、2つの列を交換すると行列式の符号が変わるという性質です。
退化性とは、2つの列が等しいとき、行列式は0になるという性質です。
4次正方行列の場合、σ(i)=σ(j)\sigma(i) = \sigma(j)となる iji \neq j が存在するとき、その項は退化性により0になります。例えば、a11a21a33a44a_{11}a_{21}a_{33}a_{44} のように、1列目が2回使われている項は0になります。したがって、全ての aiσ(i)a_{i\sigma(i)} において、σ(i)\sigma(i) が全て異なっていなければなりません。つまり、σ\sigma は置換でなければなりません。
しかし、問題文で多重線形性と退化性のみを考慮すると書いてあるので、交代性は考慮しません。したがって置換である必要はなく、σ(i)\sigma(i) が重複していても構いません。退化性によって0になるものを除外して、残りの項の数を数える必要があります。
a1ia2ja3ka4la_{1i}a_{2j}a_{3k}a_{4l} という項を考えます。退化性によって0にならないためには、i,j,k,li, j, k, l の中に同じ数字が2つ以上含まれてはいけません。i,j,k,li, j, k, l はそれぞれ1から4のいずれかの値を取るので、1,2,3,41, 2, 3, 4から重複を許して4つ選ぶ組み合わせの総数は 44=2564^4 = 256 です。しかし、この中には i,j,k,li, j, k, l の中に同じ数字が2つ以上含まれているものも含まれます。これを取り除く必要があります。
多重線形性と退化性を考えると、例えば a11a22a33a44a_{11}a_{22}a_{33}a_{44} は残りますが、a11a21a33a44a_{11}a_{21}a_{33}a_{44} は消えます。しかし、多重線形性だけを考えると、a11a21a33a44a_{11}a_{21}a_{33}a_{44} は残るので、退化性によって消える項を数える必要があります。
ai1j1ai2j2ai3j3ai4j4a_{i_1j_1} a_{i_2j_2} a_{i_3j_3} a_{i_4j_4} において、j1,j2,j3,j4j_1, j_2, j_3, j_4 がすべて異なるときのみゼロになりません。このとき j1,j2,j3,j4j_1, j_2, j_3, j_4 の並び方は 4!=244! = 24 通りあります。したがって残るのは24個です。
(1) a42a13a23a32a_{42}a_{13}a_{23}a_{32}: 3が2回使われているので、多重線形性だけなら現れるが、退化性により消える (1)。
(2) a31a24a12a43a_{31}a_{24}a_{12}a_{43}: 1, 2, 3, 4 がそれぞれ1回ずつ使われているので、現れる (2)。
(3) a23a12a31a44a_{23}a_{12}a_{31}a_{44}: 1, 2, 3, 4 がそれぞれ1回ずつ使われているので、現れる (2)。
(4) a23a33a41a12a_{23}a_{33}a_{41}a_{12}: 3が2回使われているので、多重線形性だけなら現れるが、退化性により消える (1)。

3. 最終的な答え

項数は 24 個。
(1) 1
(2) 2
(3) 2
(4) 1

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