ある人が他の人に「総選挙がある」または「総選挙がない」という噂を伝えていく。噂を聞いた人が次に伝える際に、内容が変わる確率が与えられている。$n$ 人を経由した後の噂の状態を表すベクトル $x_n = \begin{bmatrix} \text{選挙ありの確率} \\ \text{選挙なしの確率} \end{bmatrix}$ を用いて、$x_n = Ax_{n-1}$ と表すとき、噂が次々に伝播していくと、「総選挙がある」と聞く人と「総選挙がない」と聞く人の割合がそれぞれ一定値に近づくことを示す。

確率論・統計学マルコフ連鎖確率行列
2025/7/5

1. 問題の内容

ある人が他の人に「総選挙がある」または「総選挙がない」という噂を伝えていく。噂を聞いた人が次に伝える際に、内容が変わる確率が与えられている。nn 人を経由した後の噂の状態を表すベクトル xn=[選挙ありの確率選挙なしの確率]x_n = \begin{bmatrix} \text{選挙ありの確率} \\ \text{選挙なしの確率} \end{bmatrix} を用いて、xn=Axn1x_n = Ax_{n-1} と表すとき、噂が次々に伝播していくと、「総選挙がある」と聞く人と「総選挙がない」と聞く人の割合がそれぞれ一定値に近づくことを示す。

2. 解き方の手順

(1) 行列 AA を求める。
問題文から、次の確率がわかる。
* 「総選挙がある」と聞いた人が、他者に「総選挙がある」と伝える確率は 0.8
* 「総選挙がある」と聞いた人が、他者に「総選挙がない」と伝える確率は 0.2
* 「総選挙がない」と聞いた人が、他者に「総選挙がある」と伝える確率は 0.3
* 「総選挙がない」と聞いた人が、他者に「総選挙がない」と伝える確率は 0.7
したがって、行列 AA
A=[0.80.30.20.7] A = \begin{bmatrix} 0.8 & 0.3 \\ 0.2 & 0.7 \end{bmatrix}
となる。
(2) 定常状態を求める。
定常状態では、xnx_n が一定の値に収束するため、xn=xn1=xx_n = x_{n-1} = x となる。
したがって、x=Axx = Ax を満たす xx を求める。
x=[x1x2] x = \begin{bmatrix} x_1 \\ x_2 \end{bmatrix}
とおくと、
[x1x2]=[0.80.30.20.7][x1x2] \begin{bmatrix} x_1 \\ x_2 \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} 0.8 & 0.3 \\ 0.2 & 0.7 \end{bmatrix} \begin{bmatrix} x_1 \\ x_2 \end{bmatrix}
より、
x1=0.8x1+0.3x2 x_1 = 0.8x_1 + 0.3x_2
x2=0.2x1+0.7x2 x_2 = 0.2x_1 + 0.7x_2
これらの式は、どちらも 0.2x1=0.3x20.2x_1 = 0.3x_2 となる。
また、x1+x2=1x_1 + x_2 = 1 であるから、
x1=1x2 x_1 = 1 - x_2
これを 0.2x1=0.3x20.2x_1 = 0.3x_2 に代入すると、
0.2(1x2)=0.3x2 0.2(1 - x_2) = 0.3x_2
0.20.2x2=0.3x2 0.2 - 0.2x_2 = 0.3x_2
0.5x2=0.2 0.5x_2 = 0.2
x2=0.20.5=25=0.4 x_2 = \frac{0.2}{0.5} = \frac{2}{5} = 0.4
したがって、x1=1x2=10.4=0.6x_1 = 1 - x_2 = 1 - 0.4 = 0.6 となる。

3. 最終的な答え

したがって、「総選挙がある」と聞く人の割合は 0.6、「総選挙がない」と聞く人の割合は 0.4 にそれぞれ一定値に近づく。

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