関数 $f(x) = \frac{1}{1+x^2}$ について、$x=0$ から $x=1$ までの区間で、$x$軸と関数$f(x)$によって囲まれた図形Aの面積を、以下の3つの方法で近似的に求めます。 (1) $S_n$: 区間 $[0, 1]$ を $n=10$ 等分し、各区間において、関数値の最大値を持つ長方形でAを囲み、その面積の和を求めます。 (2) $T_n$: 区間 $[0, 1]$ を $n=10$ 等分し、各区間において、関数値の最小値を持つ長方形でAに含まれるように長方形を作成し、その面積の和を求めます。 (3) $U_n$: 区間 $[0, 1]$ を $n=10$ 等分し、各区間において、関数を直線で近似した台形を作成し、その面積の和を求めます。

解析学積分近似面積
2025/7/7

1. 問題の内容

関数 f(x)=11+x2f(x) = \frac{1}{1+x^2} について、x=0x=0 から x=1x=1 までの区間で、xx軸と関数f(x)f(x)によって囲まれた図形Aの面積を、以下の3つの方法で近似的に求めます。
(1) SnS_n: 区間 [0,1][0, 1]n=10n=10 等分し、各区間において、関数値の最大値を持つ長方形でAを囲み、その面積の和を求めます。
(2) TnT_n: 区間 [0,1][0, 1]n=10n=10 等分し、各区間において、関数値の最小値を持つ長方形でAに含まれるように長方形を作成し、その面積の和を求めます。
(3) UnU_n: 区間 [0,1][0, 1]n=10n=10 等分し、各区間において、関数を直線で近似した台形を作成し、その面積の和を求めます。

2. 解き方の手順

(1) SnS_n の計算:
区間 [0,1][0, 1] を10等分すると、各区間の幅 Δx\Delta xΔx=1010=110\Delta x = \frac{1-0}{10} = \frac{1}{10} となります。
各区間の右端の点を xi=i10x_i = \frac{i}{10} (i=0,1,...,10i = 0, 1, ..., 10) とします。
f(x)=11+x2f(x) = \frac{1}{1+x^2} は区間 [0,1][0, 1] で減少関数なので、各区間で関数値が最大となるのは左端の点です。従って、SnS_n は次のように計算できます。
Sn=i=09f(xi)Δx=i=09f(i10)110=110i=0911+(i10)2=110i=09100100+i2=i=0910100+i2S_n = \sum_{i=0}^{9} f(x_i) \Delta x = \sum_{i=0}^{9} f(\frac{i}{10}) \frac{1}{10} = \frac{1}{10} \sum_{i=0}^{9} \frac{1}{1+(\frac{i}{10})^2} = \frac{1}{10} \sum_{i=0}^{9} \frac{100}{100+i^2} = \sum_{i=0}^{9} \frac{10}{100+i^2}
Sn=10100+02+10100+12+10100+22+...+10100+92=10100+10101+10104+10109+10116+10125+10136+10149+10164+10181S_n = \frac{10}{100+0^2} + \frac{10}{100+1^2} + \frac{10}{100+2^2} + ... + \frac{10}{100+9^2} = \frac{10}{100} + \frac{10}{101} + \frac{10}{104} + \frac{10}{109} + \frac{10}{116} + \frac{10}{125} + \frac{10}{136} + \frac{10}{149} + \frac{10}{164} + \frac{10}{181}
Sn0.1+0.099+0.096+0.092+0.086+0.08+0.074+0.067+0.061+0.0550.809S_n \approx 0.1 + 0.099 + 0.096 + 0.092 + 0.086 + 0.08 + 0.074 + 0.067 + 0.061 + 0.055 \approx 0.809
(2) TnT_n の計算:
同様に、区間 [0,1][0, 1] を10等分したとき、各区間で関数値が最小となるのは右端の点です。従って、TnT_n は次のように計算できます。
Tn=i=110f(xi)Δx=i=110f(i10)110=110i=11011+(i10)2=110i=110100100+i2=i=11010100+i2T_n = \sum_{i=1}^{10} f(x_i) \Delta x = \sum_{i=1}^{10} f(\frac{i}{10}) \frac{1}{10} = \frac{1}{10} \sum_{i=1}^{10} \frac{1}{1+(\frac{i}{10})^2} = \frac{1}{10} \sum_{i=1}^{10} \frac{100}{100+i^2} = \sum_{i=1}^{10} \frac{10}{100+i^2}
Tn=10100+12+10100+22+...+10100+102=10101+10104+10109+10116+10125+10136+10149+10164+10181+10200T_n = \frac{10}{100+1^2} + \frac{10}{100+2^2} + ... + \frac{10}{100+10^2} = \frac{10}{101} + \frac{10}{104} + \frac{10}{109} + \frac{10}{116} + \frac{10}{125} + \frac{10}{136} + \frac{10}{149} + \frac{10}{164} + \frac{10}{181} + \frac{10}{200}
Tn0.099+0.096+0.092+0.086+0.08+0.074+0.067+0.061+0.055+0.050.76T_n \approx 0.099 + 0.096 + 0.092 + 0.086 + 0.08 + 0.074 + 0.067 + 0.061 + 0.055 + 0.05 \approx 0.76
(3) UnU_n の計算:
区間 [0,1][0, 1] を10等分したとき、各区間 [i10,i+110]\left[\frac{i}{10}, \frac{i+1}{10}\right] における台形の面積は、
12(f(i10)+f(i+110))Δx\frac{1}{2}(f(\frac{i}{10}) + f(\frac{i+1}{10})) \Delta x で与えられます。従って、UnU_n は次のように計算できます。
Un=i=0912(f(i10)+f(i+110))110=120i=09(11+(i10)2+11+(i+110)2)=12(Sn+Tn)U_n = \sum_{i=0}^{9} \frac{1}{2} \left(f(\frac{i}{10}) + f(\frac{i+1}{10})\right) \frac{1}{10} = \frac{1}{20} \sum_{i=0}^{9} \left( \frac{1}{1+(\frac{i}{10})^2} + \frac{1}{1+(\frac{i+1}{10})^2} \right) = \frac{1}{2} (S_n + T_n)
Un=12(Sn+Tn)12(0.809+0.76)=1.56920.785U_n = \frac{1}{2} (S_n + T_n) \approx \frac{1}{2} (0.809 + 0.76) = \frac{1.569}{2} \approx 0.785

3. 最終的な答え

(1) Sn0.809S_n \approx 0.809
(2) Tn0.76T_n \approx 0.76
(3) Un0.785U_n \approx 0.785

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