無限集合 $X$ の部分集合 $A$ について、次の命題の真偽を判定し、正しい場合は証明、正しくない場合は反例を挙げよ。 (1) $A$ が有限集合ならば、$X-A$ は $X$ と対等である。 (2) $X-A$ が $X$ と対等ならば、$A$ は有限集合である。
2025/7/8
## 問題の回答
以下に、問題 11, 12, 13, 14, 15, 16, 17, 18, 19, 20 の回答を示します。
### 問題 11
1. **問題の内容**
無限集合 の部分集合 について、次の命題の真偽を判定し、正しい場合は証明、正しくない場合は反例を挙げよ。
(1) が有限集合ならば、 は と対等である。
(2) が と対等ならば、 は有限集合である。
2. **解き方の手順**
(1) これは正しい。
は無限集合なので、可算無限部分集合 を持つ。 は有限集合であるから、 と書ける。
から への写像 を次のように構成する。
* でないとき、。
*
*
このとき、 は全単射であり、 と は対等である。
(2) これは正しくない。
反例: (自然数全体の集合)、 (偶数全体の集合) とする。
このとき、 (奇数全体の集合) である。
明らかに、 は と対等( が全単射)であるが、 は無限集合である。
3. **最終的な答え**
(1) 正しい。
(2) 正しくない。反例は上記の通り。
### 問題 12
1. **問題の内容**
有理数全体の集合 について以下を示せ。
(1) は可算集合である。
(2) 直積集合 は と対等である。
(3) 直和集合 は と対等である。
2. **解き方の手順**
(1) は可算集合である。
正の有理数全体を とする。 は可算集合である。写像 , を考える。これは全射であるから, は可算集合である。同様に負の有理数全体も可算集合である。 は、正の有理数全体の集合、負の有理数全体の集合、 の合併であり、これらは可算集合である。したがって も可算集合である。
(2) は と対等である。
は可算集合であるから、 も可算集合である。
とおく。 は可算集合であるから、 から への全単射が存在する。
同様に、 から への全単射も存在する。
したがって、 と は対等である。
(3) は と対等である。
である。なぜなら、任意の に対して、 であり、 だからである。
したがって、 は と対等である。
3. **最終的な答え**
(1) は可算集合である。
(2) は と対等である。
(3) は と対等である。
### 問題 13
1. **問題の内容**
集合 が無限集合であるための必要十分条件は、 自身に対等な真部分集合を が含むことを示せ。
2. **解き方の手順**
() が無限集合であると仮定する。
が無限集合であるとき、 は可算無限部分集合 を含む。
の真部分集合 を考える。
を ならば , ならば と定義すると、 は全単射である。
したがって、 と は対等である。
() が自身に対等な真部分集合 を含むと仮定する。
が有限集合であると仮定すると、 の任意の真部分集合 は、 よりも要素の数が少ない。
したがって、 と は対等ではない。これは矛盾である。
したがって、 は無限集合である。
3. **最終的な答え**
集合 が無限集合であるための必要十分条件は、 自身に対等な真部分集合を が含む。
### 問題 14
1. **問題の内容**
実数全体の集合 は閉区間 と対等であることを示せ。
2. **解き方の手順**
まず、 で を考える。これは全単射である。したがって、 は と対等である。
次に、 と が対等であることを示す。そのため、 を考え、写像 を以下のように定義する。
, , (), ならば とする。
このとき、 は全単射である。したがって、 と は対等である。
推移律より、 と は対等である。
3. **最終的な答え**
実数全体の集合 は閉区間 と対等である。
### 問題 15
1. **問題の内容**
は非可算集合であることを示せ。
2. **解き方の手順**
カントールの対角線論法を用いる。
が可算集合であると仮定する。
すると、 の要素を と並べることができる。
各 を 10 進数で表す: ( は整数、 は 0 から 9 までの数字)。
新しい実数 を以下のように構成する:
if , if
このとき、 はどの とも異なる。なぜなら、 の 番目の桁は の 番目の桁と異なるからである。
したがって、 は に含まれるはずなのに、 のどれとも異なる。これは矛盾である。
したがって、 は非可算集合である。
3. **最終的な答え**
は非可算集合である。
### 問題 16
1. **問題の内容**
は と対等であることを示せ。
2. **解き方の手順**
まず、 を考えると、 は と対等であることは明らか。よって、 である。
次に、写像 を で定義する。これは全単射なので、 と は対等である。よって、。
カントールの対角線論法で示したように、 は と対等なので、 は と対等。 の任意の元は、 という無限小数で一意的に書ける。そこで、写像 を で定義することを考え、 番目の桁の後ろに を挿入する。この操作により、 となり、 となる。
3. **最終的な答え**
は と対等である。
### 問題 17
1. **問題の内容**
実数直線 は実数平面 と対等であることを示せ。
2. **解き方の手順**
問題 14 より、 は と対等である。したがって、 は と対等である。
の任意の元は、 という無限小数で一意的に書ける。
写像 を で定義する。つまり、二つの無限小数を交互に並べる。
この は全単射なので、 と は対等である。
したがって、 と は対等である。
3. **最終的な答え**
実数直線 は実数平面 と対等である。
### 問題 18
1. **問題の内容**
と をそれぞれ集合 と集合 のべき集合とする。次の命題が正しければ証明せよ。正しくない場合は反例を挙げよ。
(1)
(2)
2. **解き方の手順**
(1) これは正しくない。
反例: , とする。
,
(2) これは正しい。
() とする。
すると、 かつ 。
したがって、 かつ 。
したがって、。
したがって、。
() とする。
すると、。
したがって、 かつ 。
したがって、 かつ 。
したがって、。
3. **最終的な答え**
(1) 正しくない。反例は上記の通り。
(2) 正しい。
### 問題 19
1. **問題の内容**
集合 のべき集合 は より濃度が真に大きいことを示せ。
2. **解き方の手順**
であることは明らかである。なぜなら、 を で定義すると、 は単射だからである。
次に、 と仮定すると、 から への全単射 が存在する。
集合 を考える。 なので、 である。
は全射なので、 となる が存在する。
このとき、 であるか、 であるかのいずれかである。
もし ならば、 となり矛盾。
もし ならば、 となり矛盾。
したがって、 という仮定は誤りである。
よって、 である。
3. **最終的な答え**
集合 のべき集合 は より濃度が真に大きい。
### 問題 20
1. **問題の内容**
は のベキ集合 と対等であることを示せ。
2. **解き方の手順**
実数 を二進展開する。
の部分集合 を考える。
写像 を で定義する。
この写像は全単射である。
したがって、 と は対等である。
問題 14 より、 は と対等である。
したがって、 は と対等である。
3. **最終的な答え**
は のベキ集合 と対等である。