質量 $m_1$ の小球1が速度 $V$ で動く壁と衝突し、その後静止していた質量 $m_2$ の小球2と衝突する。小球1と小球2の衝突、小球1と壁の衝突は弾性衝突とする。以下の問に答えよ。 * 問1：壁と衝突した直後の小球1の速度を求めよ。 * 問2：小球どうしが衝突した直後の小球1の速度 $v_1$ と小球2の速度 $v_2$ を求めよ。 * 問3：小球1が再び壁と衝突するための $\frac{m_1}{m_2}$ に対する条件を求めよ。 * 問4：小球1と壁との2回の衝突で、壁が小球1にした仕事の和を求めよ。

1. 問題の内容

質量 $m_1$ の小球1が速度 $V$ で動く壁と衝突し、その後静止していた質量 $m_2$ の小球2と衝突する。小球1と小球2の衝突、小球1と壁の衝突は弾性衝突とする。以下の問に答えよ。

* 問1：壁と衝突した直後の小球1の速度を求めよ。

* 問2：小球どうしが衝突した直後の小球1の速度 $v_1$ と小球2の速度 $v_2$ を求めよ。

* 問3：小球1が再び壁と衝突するための $\frac{m_1}{m_2}$ に対する条件を求めよ。

* 問4：小球1と壁との2回の衝突で、壁が小球1にした仕事の和を求めよ。

2. 解き方の手順

問1：

壁は質量が非常に大きいので、小球1が壁と弾性衝突すると、小球1は速度の向きが反転し、速さは変わらない。したがって、壁と衝突した直後の小球1の速度は $-V$ である。

問2：

小球1と小球2の衝突において、運動量保存則とエネルギー保存則が成り立つ。衝突前の小球1の速度を $-V$、小球2の速度を0とする。衝突後の小球1の速度を $v_1$、小球2の速度を $v_2$ とすると、運動量保存則より、

$m_1 (-V) + m_2 (0) = m_1 v_1 + m_2 v_2$

$-m_1 V = m_1 v_1 + m_2 v_2$ (1)

エネルギー保存則より、

$\frac{1}{2} m_1 (-V)^2 + \frac{1}{2} m_2 (0)^2 = \frac{1}{2} m_1 v_1^2 + \frac{1}{2} m_2 v_2^2$

$m_1 V^2 = m_1 v_1^2 + m_2 v_2^2$ (2)

弾性衝突の公式より、

$v_1 = \frac{m_1 - m_2}{m_1 + m_2} (-V) = - \frac{m_1 - m_2}{m_1 + m_2}V$

$v_2 = \frac{2m_1}{m_1 + m_2} (-V) = -\frac{2m_1}{m_1 + m_2}V$

問3：

小球1が再び壁と衝突するためには、$v_1$ が正（右向き）でなければならない。

$v_1 > 0$ より、

$- \frac{m_1 - m_2}{m_1 + m_2}V > 0$

$\frac{m_1 - m_2}{m_1 + m_2} < 0$

$m_1 - m_2 < 0$

$m_1 < m_2$

$\frac{m_1}{m_2} < 1$

問4：

1回目の衝突で壁が小球1にした仕事 $W_1$ は、小球1の運動エネルギーの変化に等しい。衝突前後の小球1の速度は $V$ から $-V$ に変わるので、

$W_1 = \frac{1}{2} m_1 (-V)^2 - \frac{1}{2} m_1 V^2 = 0$

2回目の衝突で壁が小球1にした仕事 $W_2$ は、小球1の運動エネルギーの変化に等しい。衝突前の小球1の速度は $v_1 = - \frac{m_1 - m_2}{m_1 + m_2}V$、衝突後の小球1の速度は $-v_1 = \frac{m_1 - m_2}{m_1 + m_2}V$ なので、

$W_2 = \frac{1}{2} m_1 \left( \frac{m_1 - m_2}{m_1 + m_2}V \right)^2 - \frac{1}{2} m_1 \left( - \frac{m_1 - m_2}{m_1 + m_2}V \right)^2 = 0$

したがって、壁が小球1にした仕事の和は $W_1 + W_2 = 0$ である。

3. 最終的な答え

* 問1：$-V$

* 問2：$v_1 = - \frac{m_1 - m_2}{m_1 + m_2}V$, $v_2 = -\frac{2m_1}{m_1 + m_2}V$

* 問3：$\frac{m_1}{m_2} < 1$

* 問4：0