質量 $m_1$ の小球1と質量 $m_2$ の小球2が $x$ 軸上を運動する。初め、小球1は $x=0$ に、小球2は $x>0$ に静止している。壁が速度 $V$ で $x$ 軸上を正方向に運動し、小球1と衝突する。小球1と小球2は弾性衝突する。壁は常に速度 $V$ で運動する。以下の問いに答える。 問1: 壁と衝突した直後の小球1の速度を求めよ。 問2: 小球同士が衝突した直後の小球1の速度 $v_1$ と小球2の速度 $v_2$ を求めよ。 問3: しばらくして小球1が再び壁と衝突するための $\frac{m_1}{m_2}$ に対する条件を求めよ。 問4: 小球1と壁との2回の衝突で、壁が小球1にした仕事の和を求めよ。

応用数学力学運動量保存弾性衝突仕事
2025/7/8

1. 問題の内容

質量 m1m_1 の小球1と質量 m2m_2 の小球2が xx 軸上を運動する。初め、小球1は x=0x=0 に、小球2は x>0x>0 に静止している。壁が速度 VVxx 軸上を正方向に運動し、小球1と衝突する。小球1と小球2は弾性衝突する。壁は常に速度 VV で運動する。以下の問いに答える。
問1: 壁と衝突した直後の小球1の速度を求めよ。
問2: 小球同士が衝突した直後の小球1の速度 v1v_1 と小球2の速度 v2v_2 を求めよ。
問3: しばらくして小球1が再び壁と衝突するための m1m2\frac{m_1}{m_2} に対する条件を求めよ。
問4: 小球1と壁との2回の衝突で、壁が小球1にした仕事の和を求めよ。

2. 解き方の手順

問1:
壁は速度 VV で運動しており、小球1と壁との衝突は弾性衝突であるから、相対速度の関係より、衝突後の小球1の速度を v1v_1' とすると、
(v1V)=V0-(v_1' - V) = V - 0
v1+V=V-v_1' + V = V
v1=2Vv_1' = 2V
問2:
小球1と小球2の衝突は弾性衝突なので、運動量保存則と反発係数の式が成り立つ。
運動量保存則より、
m1(2V)+m2(0)=m1v1+m2v2m_1 (2V) + m_2 (0) = m_1 v_1 + m_2 v_2
2m1V=m1v1+m2v2(1)2 m_1 V = m_1 v_1 + m_2 v_2 \qquad (1)
反発係数の式より、
v1v22V0=1-\frac{v_1 - v_2}{2V - 0} = 1
v2v1=2V(2)v_2 - v_1 = 2V \qquad (2)
(2)式より、v2=v1+2Vv_2 = v_1 + 2V なので、(1)式に代入して
2m1V=m1v1+m2(v1+2V)2 m_1 V = m_1 v_1 + m_2 (v_1 + 2V)
2m1V=(m1+m2)v1+2m2V2 m_1 V = (m_1 + m_2) v_1 + 2 m_2 V
(m1+m2)v1=2(m1m2)V(m_1 + m_2) v_1 = 2 (m_1 - m_2) V
v1=2(m1m2)m1+m2Vv_1 = \frac{2 (m_1 - m_2)}{m_1 + m_2} V
次に、
v2=v1+2V=2(m1m2)m1+m2V+2V=2(m1m2)+2(m1+m2)m1+m2Vv_2 = v_1 + 2V = \frac{2 (m_1 - m_2)}{m_1 + m_2} V + 2V = \frac{2 (m_1 - m_2) + 2 (m_1 + m_2)}{m_1 + m_2} V
v2=4m1m1+m2Vv_2 = \frac{4 m_1}{m_1 + m_2} V
問3:
小球1が再び壁と衝突するためには、小球1が小球2と衝突した後に、壁に追いつかなければならない。
すなわち、v1<Vv_1 < V でなければならない。
2(m1m2)m1+m2V<V\frac{2 (m_1 - m_2)}{m_1 + m_2} V < V
2(m1m2)m1+m2<1\frac{2 (m_1 - m_2)}{m_1 + m_2} < 1
2(m1m2)<m1+m22 (m_1 - m_2) < m_1 + m_2
2m12m2<m1+m22 m_1 - 2 m_2 < m_1 + m_2
m1<3m2m_1 < 3 m_2
m1m2<3\frac{m_1}{m_2} < 3
問4:
1回目の衝突では、壁が小球1に与えた仕事は、小球1の運動エネルギーの変化に等しい。
W1=12m1(2V)212m1(0)2=2m1V2W_1 = \frac{1}{2} m_1 (2V)^2 - \frac{1}{2} m_1 (0)^2 = 2 m_1 V^2
2回目の衝突では、小球1の速度は v1=2(m1m2)m1+m2Vv_1 = \frac{2 (m_1 - m_2)}{m_1 + m_2} V である。
壁との衝突後の小球1の速度を v1v_1'' とすると、
(v1V)=Vv1-(v_1'' - V) = V - v_1
v1+V=Vv1-v_1'' + V = V - v_1
v1=v1=2(m1m2)m1+m2Vv_1'' = v_1 = \frac{2 (m_1 - m_2)}{m_1 + m_2} V
したがって、壁が小球1に与えた仕事は
W2=12m1v1212m1v12=0W_2 = \frac{1}{2} m_1 v_1''^2 - \frac{1}{2} m_1 v_1^2 = 0
したがって、壁が小球1にした仕事の和は
W=W1+W2=2m1V2+0=2m1V2W = W_1 + W_2 = 2 m_1 V^2 + 0 = 2 m_1 V^2

3. 最終的な答え

問1: 2V2V
問2: v1=2(m1m2)m1+m2Vv_1 = \frac{2(m_1 - m_2)}{m_1 + m_2} V, v2=4m1m1+m2Vv_2 = \frac{4m_1}{m_1 + m_2} V
問3: m1m2<3\frac{m_1}{m_2} < 3
問4: 2m1V22 m_1 V^2

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