$a$を正の定数とし、$i$を虚数単位とする。複素数$z$に関する2つの方程式 $z^3 = -8i$ ...① $z^2 - 2az + 8 = 0$ ...② を考える。 (1) ①を満たす$z$について、$z$の極形式を$z = r(\cos\theta + i\sin\theta)$ ($r > 0$, $0 \le \theta < 2\pi$)と表すとき、$r$, $\theta$の値を求めよ。 (2) ②が異なる2つの虚数解$\alpha$, $\beta$をもち、複素数平面上で3点0, $\alpha$, $\beta$を頂点とする三角形の面積が4であるとする。ただし、$(\alpha$の虚部$) > (\beta$の虚部$)$とする。 (i) $a$の値と$\alpha$, $\beta$を求めよ。 (ii) 偏角を0以上$2\pi$未満の値で考えるとき、①の解のうち偏角が最大であるものを$\gamma$とする。複素数平面上で3点$\alpha$, $\beta$, $\gamma^n$を頂点とする三角形の内部に原点が存在するような正の整数$n$を求めよ。

1. 問題の内容

$a$を正の定数とし、$i$を虚数単位とする。複素数$z$に関する2つの方程式

$z^3 = -8i$ ...①

$z^2 - 2az + 8 = 0$ ...②

を考える。

(1) ①を満たす$z$について、$z$の極形式を$z = r(\cos\theta + i\sin\theta)$ ($r > 0$, $0 \le \theta < 2\pi$)と表すとき、$r$, $\theta$の値を求めよ。

(2) ②が異なる2つの虚数解$\alpha$, $\beta$をもち、複素数平面上で3点0, $\alpha$, $\beta$を頂点とする三角形の面積が4であるとする。ただし、$(\alpha$の虚部$) > (\beta$の虚部$)$とする。

(i) $a$の値と$\alpha$, $\beta$を求めよ。

(ii) 偏角を0以上$2\pi$未満の値で考えるとき、①の解のうち偏角が最大であるものを$\gamma$とする。複素数平面上で3点$\alpha$, $\beta$, $\gamma^n$を頂点とする三角形の内部に原点が存在するような正の整数$n$を求めよ。

2. 解き方の手順

(1)

まず、$-8i$を極形式で表すと、$8(\cos \frac{3\pi}{2} + i\sin \frac{3\pi}{2})$となる。

$z^3 = -8i$より、$z^3 = 8(\cos \frac{3\pi}{2} + i\sin \frac{3\pi}{2})$.

$z = r(\cos \theta + i\sin \theta)$とおくと、$z^3 = r^3(\cos 3\theta + i\sin 3\theta)$.

したがって、$r^3 = 8$より、$r = 2$.

$3\theta = \frac{3\pi}{2} + 2k\pi$ ($k$は整数)より、$\theta = \frac{\pi}{2} + \frac{2k\pi}{3}$.

$0 \le \theta < 2\pi$であるから、

$k = 0$のとき、$\theta = \frac{\pi}{2}$

$k = 1$のとき、$\theta = \frac{\pi}{2} + \frac{2\pi}{3} = \frac{7\pi}{6}$

$k = 2$のとき、$\theta = \frac{\pi}{2} + \frac{4\pi}{3} = \frac{11\pi}{6}$

したがって、$r = 2$, $\theta = \frac{\pi}{2}, \frac{7\pi}{6}, \frac{11\pi}{6}$.

(2) (i)

②の解を求める。$z^2 - 2az + 8 = 0$より、$z = \frac{2a \pm \sqrt{4a^2 - 32}}{2} = a \pm \sqrt{a^2 - 8}$.

②が異なる2つの虚数解を持つので、$a^2 - 8 < 0$つまり、$a^2 < 8$.

$\alpha = a + i\sqrt{8 - a^2}$, $\beta = a - i\sqrt{8 - a^2}$とすると、

3点0, $\alpha$, $\beta$を頂点とする三角形の面積は、$\frac{1}{2} \times 2\sqrt{8 - a^2} \times a = a\sqrt{8 - a^2}$.

これが4に等しいので、$a\sqrt{8 - a^2} = 4$.

$a^2(8 - a^2) = 16$より、$-a^4 + 8a^2 - 16 = 0$.

$a^4 - 8a^2 + 16 = 0$より、$(a^2 - 4)^2 = 0$より、$a^2 = 4$.

$a > 0$より、$a = 2$.

このとき、$\alpha = 2 + 2i$, $\beta = 2 - 2i$.

(2) (ii)

①の解は、$z = 2i$, $z = 2(\cos \frac{7\pi}{6} + i\sin \frac{7\pi}{6}) = -\sqrt{3} - i$, $z = 2(\cos \frac{11\pi}{6} + i\sin \frac{11\pi}{6}) = \sqrt{3} - i$.

偏角が最大のものは$2i$なので、$\gamma = 2i$.

$\gamma^n = (2i)^n$.

$\alpha = 2 + 2i$, $\beta = 2 - 2i$, $\gamma^n = (2i)^n$を頂点とする三角形の内部に原点が存在する条件を考える。

3点が同一直線上にないことが前提。

$n = 1$のとき、$\gamma = 2i$. $\alpha = 2+2i$, $\beta = 2-2i$。

$\vec{0\alpha} = (2, 2)$, $\vec{0\beta} = (2, -2)$, $\vec{0\gamma} = (0, 2)$.

原点が三角形の内部にあるためには、$s\vec{0\alpha} + t\vec{0\beta} = \vec{0\gamma}$となる$s > 0, t > 0$ かつ $s+t < 1$ が存在する必要がある。

$(2s+2t, 2s-2t) = (0, 2)$.

$2s+2t = 0$より、$s = -t$. これは、$s > 0$, $t > 0$に矛盾。

$n=2$のとき、$\gamma^2 = -4$. $\alpha = 2+2i$, $\beta = 2-2i$。このとき三角形は実軸に対称. 原点が含まれない。

$n=3$のとき、$\gamma^3 = -8i$.

$n=4$のとき、$\gamma^4 = 16$.

$n=5$のとき、$\gamma^5 = 32i$.

$n=6$のとき、$\gamma^6 = -64$.

$\alpha$, $\beta$, $\gamma^n$が定める三角形の内部に原点があるためには、$0 = x\alpha + y\beta + z\gamma^n$ ($x + y + z = 1$, $x, y, z > 0$)となる必要がある。

原点が内部にあるためには、$n = 3$。

$\alpha = 2+2i, \beta = 2-2i, \gamma^3 = -8i$。

$\alpha$, $\beta$, $\gamma^3$が定める三角形は内部に原点を含む。

したがって、$n = 3$。

3. 最終的な答え

(1) $r = 2$, $\theta = \frac{\pi}{2}, \frac{7\pi}{6}, \frac{11\pi}{6}$

(2) (i) $a = 2$, $\alpha = 2 + 2i$, $\beta = 2 - 2i$

(2) (ii) $n = 3$