無限集合 $X$ の部分集合 $A$ について、以下の2つの命題が正しいか否かを判断し、正しければ証明し、正しくなければ反例を挙げる。 (1) $A$ が有限集合ならば、$X-A$ は $X$ と対等である。 (2) $X-A$ が $X$ と対等ならば、$A$ は有限集合である。

離散数学集合論無限集合対等全単射証明反例
2025/7/9

1. 問題の内容

無限集合 XX の部分集合 AA について、以下の2つの命題が正しいか否かを判断し、正しければ証明し、正しくなければ反例を挙げる。
(1) AA が有限集合ならば、XAX-AXX と対等である。
(2) XAX-AXX と対等ならば、AA は有限集合である。

2. 解き方の手順

(1) AA が有限集合ならば、XAX-AXX と対等であることの証明:
XX が無限集合であり、AA が有限集合であると仮定する。AA の要素数を nn とする。
XX は無限集合であるため、可算無限部分集合 B={x1,x2,x3,...}B = \{x_1, x_2, x_3, ...\} を持つ。
A=A{x1,x2,...,xn}A' = A \cup \{x_1, x_2, ..., x_n\} とする。AA' は有限集合であり、n+An + |A| 個の要素を持つ。
f:XXAf: X \rightarrow X-A を以下のように定義する。
f(xi)=xi+nf(x_i) = x_{i+n} (xiBx_i \in B)
f(x)=xf(x) = x (xXBx \in X - B)
この ff が全単射であることを示す。
ff が単射であること:x,yXx, y \in X に対して、f(x)=f(y)f(x) = f(y) ならば x=yx=y であることを示す。
もし x,yBx, y \in B なら、x=xi,y=xjx = x_i, y = x_j と書ける。f(xi)=xi+n,f(xj)=xj+nf(x_i) = x_{i+n}, f(x_j) = x_{j+n}
xi+n=xj+nx_{i+n} = x_{j+n} なら、i+n=j+ni+n = j+n より i=ji = j。よって、xi=xjx_i = x_j
もし x,yXBx, y \in X-B なら、f(x)=x,f(y)=yf(x) = x, f(y) = yf(x)=f(y)f(x) = f(y) より x=yx = y
もし xB,yXBx \in B, y \in X-B なら、f(x)B,f(y)XBf(x) \in B, f(y) \in X-B。よって、f(x)f(y)f(x) \neq f(y)
したがって、ff は単射である。
ff が全射であること:任意の yXAy \in X-A に対して、f(x)=yf(x) = y となる xXx \in X が存在することを示す。
もし yXBy \in X-B なら、f(y)=yf(y) = y より、x=yx = y
もし yBy \in B なら、y=xky = x_k と書ける。AA は有限集合なので、ある番号以降の xkx_kXAX-A に属する。
y=xkXAy= x_k \in X-A なら、k>nk > n であれば、k=i+nk = i+n となる ii が存在する。x=xix = x_i とすれば、f(x)=xi+n=xk=yf(x) = x_{i+n} = x_k = y
したがって、ff は全射である。
よって、XXXAX-A は対等である。
(2) XAX-AXX と対等ならば、AA は有限集合であることの反例:
X={1,2,3,...}X = \{1, 2, 3, ...\} (自然数全体の集合) とする。
A={2,4,6,...}A = \{2, 4, 6, ...\} (偶数全体の集合) とする。
XA={1,3,5,...}X-A = \{1, 3, 5, ...\} (奇数全体の集合) となる。
XXXAX-A はどちらも可算無限集合なので対等である。
しかし、AA は有限集合ではない (無限集合である)。
したがって、この命題は正しくない。

3. 最終的な答え

(1) AA が有限集合ならば、XAX-AXX と対等である: 正しい。証明は上記参照。
(2) XAX-AXX と対等ならば、AA は有限集合である: 正しくない。反例は上記参照。

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