零行列ではないべき零行列は対角化されないことを証明する問題です。

代数学線形代数行列べき零行列対角化証明
2025/7/10

1. 問題の内容

零行列ではないべき零行列は対角化されないことを証明する問題です。

2. 解き方の手順

まず、べき零行列の定義を確認します。行列 AA がべき零行列であるとは、ある正の整数 kk が存在して、Ak=0A^k = 0 となることをいいます。
次に、対角化可能性について考えます。行列 AA が対角化可能であるとは、正則行列 PP が存在して、P1AP=DP^{-1}AP = D が対角行列となることをいいます。
ここで、背理法を用います。
AA を零行列ではないべき零行列で、かつ対角化可能であると仮定します。
すると、P1AP=DP^{-1}AP = D となる正則行列 PP と対角行列 DD が存在します。
AA はべき零行列なので、ある正の整数 kk に対して Ak=0A^k = 0 が成り立ちます。
ここで、AkA^kPPDD を用いて表すことを試みます。
A=PDP1A = PDP^{-1} なので、
Ak=(PDP1)k=PDP1PDP1PDP1=PDkP1A^k = (PDP^{-1})^k = PDP^{-1}PDP^{-1} \dots PDP^{-1} = PD^kP^{-1}
となります。
Ak=0A^k = 0 であったので、PDkP1=0PD^kP^{-1} = 0 です。
両辺に左から P1P^{-1}、右から PP をかけると、Dk=P10P=0D^k = P^{-1}0P = 0 となります。
DD は対角行列であるため、DkD^k も対角行列であり、Dk=0D^k = 0 であることは、DD の対角成分がすべて0であることを意味します。
したがって、D=0D = 0 となります。
すると、A=PDP1=P0P1=0A = PDP^{-1} = P0P^{-1} = 0 となり、AA が零行列であることが導かれます。
これは、AA が零行列ではないという仮定に矛盾します。
したがって、零行列ではないべき零行列は対角化可能ではありません。

3. 最終的な答え

零行列ではないべき零行列は対角化されない。

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