(1) $R^n$の中の点の集まり(図形)$X$が線形性を持つことの定義を述べる。 (2) $R^2$の中の曲線 $y=x^2$ が線形性を持たないことを示す。 (3) 4次元ベクトル $a = \begin{pmatrix} 2 \\ 1 \\ 0 \\ 1 \end{pmatrix}, b = \begin{pmatrix} -1 \\ 0 \\ 2 \\ 2 \end{pmatrix}$ の張る空間 $L = L(a, b)$ とはどのような点の集まりか、定義を述べる。 (4) 上の空間 $L$ が線形性をもつことを示す。

代数学線形性部分空間線形結合ベクトル空間
2025/7/10

1. 問題の内容

(1) RnR^nの中の点の集まり(図形)XXが線形性を持つことの定義を述べる。
(2) R2R^2の中の曲線 y=x2y=x^2 が線形性を持たないことを示す。
(3) 4次元ベクトル
a=(2101),b=(1022)a = \begin{pmatrix} 2 \\ 1 \\ 0 \\ 1 \end{pmatrix}, b = \begin{pmatrix} -1 \\ 0 \\ 2 \\ 2 \end{pmatrix}
の張る空間 L=L(a,b)L = L(a, b) とはどのような点の集まりか、定義を述べる。
(4) 上の空間 LL が線形性をもつことを示す。

2. 解き方の手順

(1) RnR^nの部分集合XXが線形性を持つとは、XXが部分空間であることである。すなわち、
(i) XXは零ベクトルを含む。
(ii) x,yXx, y \in X ならば x+yXx + y \in X
(iii) xX,cRx \in X, c \in R ならば cxXcx \in X
が成り立つことである。
(2) R2R^2の中の曲線 y=x2y = x^2 が線形性を持たないことを示す。
y=x2y = x^2 上の点 (1,1)(1, 1) を考える。もしこの曲線が線形性を持つならば、スカラー倍もその曲線上に存在しなければならない。
例えば、2(1,1)=(2,2)2(1, 1) = (2, 2)y=x2y = x^2 上にあるかどうかを調べる。
x=2x = 2 のとき、y=x2=22=4y = x^2 = 2^2 = 4 であるので、(2,4)(2, 4)y=x2y = x^2 上の点である。
(2,2)(2,4)(2, 2) \neq (2, 4) であるので、(2,2)(2, 2)y=x2y = x^2 上の点ではない。
したがって、y=x2y = x^2 は線形性を持たない。
原点を通るので条件(i)は満たす。
しかし、(1,1),(2,4) (1,1), (2,4) y=x2y = x^2 上の点だが、(1,1)+(2,4)=(3,5) (1,1) + (2,4) = (3,5) y=x2y = x^2 上の点ではない。 32=95 3^2 = 9 \neq 5 なので。
したがって、y=x2y = x^2 は線形性を持たない。
(3) 4次元ベクトル
a=(2101),b=(1022)a = \begin{pmatrix} 2 \\ 1 \\ 0 \\ 1 \end{pmatrix}, b = \begin{pmatrix} -1 \\ 0 \\ 2 \\ 2 \end{pmatrix}
の張る空間 L=L(a,b)L = L(a, b) とは、aabbの線形結合全体である。
すなわち、
L={ca+dbc,dR}={c(2101)+d(1022)c,dR}L = \{ca + db | c, d \in R \} = \{ c \begin{pmatrix} 2 \\ 1 \\ 0 \\ 1 \end{pmatrix} + d \begin{pmatrix} -1 \\ 0 \\ 2 \\ 2 \end{pmatrix} | c, d \in R \}
={(2cdc2dc+2d)c,dR} = \{ \begin{pmatrix} 2c - d \\ c \\ 2d \\ c + 2d \end{pmatrix} | c, d \in R \}
(4) 上の空間 LL が線形性をもつことを示す。
L={ca+dbc,dR}L = \{ca + db | c, d \in R \} が部分空間であることを示す。
(i) 零ベクトル (0000)\begin{pmatrix} 0 \\ 0 \\ 0 \\ 0 \end{pmatrix}0a+0b0a + 0b で表現できるので、LL に含まれる。
(ii) x,yLx, y \in L とする。
x=c1a+d1bx = c_1a + d_1b
y=c2a+d2by = c_2a + d_2b
x+y=(c1a+d1b)+(c2a+d2b)=(c1+c2)a+(d1+d2)bx + y = (c_1a + d_1b) + (c_2a + d_2b) = (c_1 + c_2)a + (d_1 + d_2)b
c1+c2R,d1+d2Rc_1 + c_2 \in R, d_1 + d_2 \in R であるので、x+yLx + y \in L
(iii) xL,kRx \in L, k \in R とする。
x=ca+dbx = ca + db
kx=k(ca+db)=(kc)a+(kd)bkx = k(ca + db) = (kc)a + (kd)b
kcR,kdRkc \in R, kd \in R であるので、kxLkx \in L
以上より、LL は線形性を持つ。

3. 最終的な答え

(1) RnR^n の部分集合 XX が線形性を持つとは、XX が部分空間であること。すなわち、
(i) XX は零ベクトルを含む。
(ii) x,yXx, y \in X ならば x+yXx + y \in X
(iii) xX,cRx \in X, c \in R ならば cxXcx \in X
が成り立つことである。
(2) y=x2y = x^2 は線形性を持たない。
(3) L={(2cdc2dc+2d)c,dR}L = \{ \begin{pmatrix} 2c - d \\ c \\ 2d \\ c + 2d \end{pmatrix} | c, d \in R \}
(4) 上記参照。

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