行列が対角化可能かどうかを調べるには、まず固有値を求め、各固有値に対する固有空間の次元(固有空間の基底の数)を求めます。
- n x n 行列の場合、n個の線形独立な固有ベクトルが存在すれば、その行列は対角化可能です。
- 重複度を持つ固有値の場合、その固有値に対応する固有空間の次元が、固有値の重複度に等しい場合にのみ、対角化可能です。
(a) 行列 A=[1322] 特性方程式は ∣A−λI∣=0 です。 1−λ322−λ=(1−λ)(2−λ)−6=λ2−3λ−4=(λ−4)(λ+1)=0 固有値は λ1=4,λ2=−1 です。固有値は異なっているので、対角化可能です。 λ1=4 に対する固有ベクトルを求めます: (A−4I)v=0⇒[−332−2][xy]=[00]⇒−3x+2y=0⇒y=23x. 固有ベクトルは v1=[23] です。 λ2=−1 に対する固有ベクトルを求めます: (A+I)v=0⇒[2323][xy]=[00]⇒x+y=0⇒y=−x. 固有ベクトルは v2=[1−1] です。 P=[231−1] とすると、P−1AP=D=[400−1] です。 P−1=−51[−1−3−12]=51[131−2] 対角化は P−1AP=D で与えられます。 (b) 行列 A=[2−1−32] 特性方程式は ∣A−λI∣=0 です。 2−λ−1−32−λ=(2−λ)2−3=λ2−4λ+1=0 λ=24±16−4=24±12=2±3 固有値は λ1=2+3,λ2=2−3 です。固有値は異なっているので、対角化可能です。 λ1=2+3 に対する固有ベクトルを求めます: (A−(2+3)I)v=0⇒[−3−1−3−3][xy]=[00]⇒−3x−3y=0⇒x=−3y. 固有ベクトルは v1=[−31] です。 λ2=2−3 に対する固有ベクトルを求めます: (A−(2−3)I)v=0⇒[3−1−33][xy]=[00]⇒3x−3y=0⇒x=3y. 固有ベクトルは v2=[31] です。 P=[−3131] とすると、P−1AP=D=[2+3002−3] です。 P−1=−231[1−1−3−3]=231[−1133] 対角化は P−1AP=D で与えられます。 (c) 行列 A=300−21043−2 特性方程式は ∣A−λI∣=0 です。 3−λ00−21−λ043−2−λ=(3−λ)(1−λ)(−2−λ)=0 固有値は λ1=3,λ2=1,λ3=−2 です。固有値は異なっているので、対角化可能です。 λ1=3 に対する固有ベクトルを求めます: (A−3I)v=0⇒000−2−2043−5xyz=000⇒z=0,−2y=0⇒y=0. 固有ベクトルは v1=100 です。 λ2=1 に対する固有ベクトルを求めます: (A−I)v=0⇒200−20043−3xyz=000⇒z=0,2x−2y=0⇒x=y. 固有ベクトルは v2=110 です。 λ3=−2 に対する固有ベクトルを求めます: (A+2I)v=0⇒500−230430xyz=000⇒y=−z,5x+2z+4z=0⇒5x=−6z⇒x=−56z. 固有ベクトルは v3=−6−55 です。 P=100110−6−55 とすると、P−1AP=D=30001000−2 です。 (d) 行列 A=200−210−2−12 特性方程式は ∣A−λI∣=0 です。 2−λ00−21−λ0−2−12−λ=(2−λ)(1−λ)(2−λ)=0 固有値は λ1=2 (重複度 2), λ2=1 です。 λ1=2 に対する固有ベクトルを求めます: (A−2I)v=0⇒000−2−10−2−10xyz=000⇒−y−z=0⇒y=−z. 固有空間の次元は 2 である必要があります。x は任意であるため、固有ベクトルは 100 と 0−11 で表されます。 λ2=1 に対する固有ベクトルを求めます: (A−I)v=0⇒100−200−2−11xyz=000⇒z=0,x−2y=0⇒x=2y. 固有ベクトルは 210 です。 P=1000−11210 とすると、P−1AP=D=200020001 です。