正の整数 $n$ に対して、3次方程式 $x^3 + nx^2 - (n+2) = 0$ を考える。 (1) すべての正の整数 $n$ について、この方程式が正の解をただ1つ持つことを示す。 (2) 各正の整数 $n$ に対して、この方程式の正の解を $a_n$ とする。極限値 $\lim_{n \to \infty} a_n$ を求める。

1. 問題の内容

正の整数 $n$ に対して、3次方程式 $x^3 + nx^2 - (n+2) = 0$ を考える。

(1) すべての正の整数 $n$ について、この方程式が正の解をただ1つ持つことを示す。

(2) 各正の整数 $n$ に対して、この方程式の正の解を $a_n$ とする。極限値 $\lim_{n \to \infty} a_n$ を求める。

2. 解き方の手順

(1)

関数 $f(x) = x^3 + nx^2 - (n+2)$ を考える。

$f(0) = - (n+2) < 0$ である。

$f(2) = 8 + 4n - n - 2 = 3n + 6 > 0$ である。

中間値の定理より、$0 < x < 2$ の範囲に少なくとも1つの解が存在する。

$f'(x) = 3x^2 + 2nx > 0$ ($x > 0$) であるから、$f(x)$ は $x > 0$ で単調増加である。

したがって、$f(x) = 0$ は正の解をただ1つ持つ。

(2)

$x^3 + nx^2 = n + 2$

$a_n^3 + na_n^2 = n + 2$

$a_n^3/n + a_n^2 = 1 + 2/n$

$n \to \infty$ とすると、$a_n^3/n \to 0$ より、$a_n^2 \to 1$ となる。

$a_n > 0$ であるから、$a_n \to 1$ となる。

より厳密に示すため、以下のように考える。

$a_n^2 = \frac{n+2 - a_n^3}{n} = 1 + \frac{2 - a_n^3}{n}$

ここで、$a_n = 1 + \epsilon_n$ とおく。

$(1 + \epsilon_n)^2 = 1 + \frac{2 - (1 + \epsilon_n)^3}{n}$

$1 + 2\epsilon_n + \epsilon_n^2 = 1 + \frac{2 - (1 + 3\epsilon_n + 3\epsilon_n^2 + \epsilon_n^3)}{n}$

$2\epsilon_n + \epsilon_n^2 = \frac{1 - 3\epsilon_n - 3\epsilon_n^2 - \epsilon_n^3}{n}$

$2\epsilon_n + \epsilon_n^2 = \frac{1}{n} - \frac{3\epsilon_n}{n} - \frac{3\epsilon_n^2}{n} - \frac{\epsilon_n^3}{n}$

$2\epsilon_n (1 + \frac{1}{2} \epsilon_n) = \frac{1}{n} (1 - 3 \epsilon_n - 3 \epsilon_n^2 - \epsilon_n^3)$

$\epsilon_n = \frac{1}{2n} \frac{1 - 3 \epsilon_n - 3 \epsilon_n^2 - \epsilon_n^3}{1 + \frac{1}{2} \epsilon_n}$

$n \to \infty$ のとき、$\epsilon_n \to 0$ となる。

したがって、$a_n \to 1$ である。

3. 最終的な答え

(1) 方程式 $x^3 + nx^2 - (n+2) = 0$ は正の解をただ1つ持つ。

(2) $\lim_{n \to \infty} a_n = 1$