自然数全体の集合 $\mathbb{N}$ のベキ集合 $\mathcal{P}(\mathbb{N})$ が実数全体の集合 $\mathbb{R}$ と対等であることを示す問題です。つまり、全単射 $\mathcal{P}(\mathbb{N}) \to \mathbb{R}$ が存在することを示します。

解析学集合論ベキ集合対等全単射濃度Bernsteinの定理
2025/7/12

1. 問題の内容

自然数全体の集合 N\mathbb{N} のベキ集合 P(N)\mathcal{P}(\mathbb{N}) が実数全体の集合 R\mathbb{R} と対等であることを示す問題です。つまり、全単射 P(N)R\mathcal{P}(\mathbb{N}) \to \mathbb{R} が存在することを示します。

2. 解き方の手順

* P(N)\mathcal{P}(\mathbb{N}){0,1}N\{0,1\}^{\mathbb{N}} の対等性を示す。
P(N)\mathcal{P}(\mathbb{N}) の任意の元 AA に対して, 写像 f:N{0,1}f: \mathbb{N} \to \{0,1\} を次のように定義します.
f(n)=1f(n) = 1 if nAn \in A
f(n)=0f(n) = 0 if nAn \notin A
このとき, 写像 AfA \mapsto fP(N)\mathcal{P}(\mathbb{N}) から {0,1}N\{0,1\}^{\mathbb{N}} への全単射となります. つまり、P(N)\mathcal{P}(\mathbb{N}){0,1}N\{0,1\}^{\mathbb{N}} は対等です。
* {0,1}N\{0,1\}^{\mathbb{N}}[0,1][0,1] の対等性を示す。
{0,1}N\{0,1\}^{\mathbb{N}} の任意の元 (an)n=1(a_n)_{n=1}^{\infty} に対して, 実数 x[0,1]x \in [0,1] を次のように対応させます.
x=n=1an2nx = \sum_{n=1}^{\infty} \frac{a_n}{2^n}
この対応は全射ですが, 単射ではありません. 例えば, 0.1000=0.01110.1000\dots = 0.0111\dots のように二通りの二進小数表示を持つ実数があるからです。しかし, このような表現が一意でない実数は可算個しか存在しないので, 修正することで全単射を作ることができます。
例えば、以下の写像を考えます。
g:{0,1}N[0,1]g:\{0,1\}^{\mathbb{N}} \to [0,1]
g((an)n=1)=n=1an3ng((a_n)_{n=1}^{\infty}) = \sum_{n=1}^{\infty} \frac{a_n}{3^n}
この写像は単射です。なぜなら、異なる二進数列は異なる3進小数を与えるからです。また、この写像は [0,1][0,1] からカントール集合への全単射となります。
* [0,1][0,1]R\mathbb{R} の対等性を示す。
関数 h:(0,1)Rh: (0,1) \to \mathbb{R}h(x)=tan(π(x12))h(x) = \tan(\pi(x - \frac{1}{2})) で定義すると、hh は全単射です。また、(0,1)(0,1)[0,1][0,1] は対等なので、[0,1][0,1]R\mathbb{R} は対等です。
[0,1][0,1](0,1)(0,1)の対等性は、例えば以下の写像で示せます。
f:[0,1](0,1)f:[0,1] \to (0,1)
f(0)=1/3f(0) = 1/3
f(1)=2/3f(1) = 2/3
f(1/n)=1/(n+3),n2f(1/n) = 1/(n+3), n \ge 2
f(x)=xf(x) = x, それ以外
この写像は全単射です。
* P(N)\mathcal{P}(\mathbb{N})R\mathbb{R} の対等性を示す。
上記の議論から, P(N)\mathcal{P}(\mathbb{N}){0,1}N\{0,1\}^{\mathbb{N}} が対等であり, {0,1}N\{0,1\}^{\mathbb{N}} から [0,1][0,1] への単射が存在し, [0,1][0,1]R\mathbb{R} が対等であることがわかりました。
P(N)={0,1}N[0,1]=R|\mathcal{P}(\mathbb{N})| = |\{0,1\}^{\mathbb{N}}| \le |[0,1]| = |\mathbb{R}|
一方, R\mathbb{R} から P(N)\mathcal{P}(\mathbb{N}) への単射も存在します。例えば, R\mathbb{R} の各実数を二進小数展開し, それに対応する自然数の集合を考えれば良いです。
したがって, Bernsteinの定理より P(N)\mathcal{P}(\mathbb{N})R\mathbb{R} は対等であると言えます。

3. 最終的な答え

自然数全体の集合 N\mathbb{N} のベキ集合 P(N)\mathcal{P}(\mathbb{N}) は実数全体の集合 R\mathbb{R} と対等である。

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