$R^3$ の部分空間 $W = \{ \begin{bmatrix} x \\ y \\ z \end{bmatrix} | x+y+z=0 \}$ を考える。 $3 \times 2$ 行列 $A = \begin{bmatrix} 1 & 0 \\ 0 & 1 \\ -1 & -1 \end{bmatrix}$ で決まる線形写像 $f_A: R^2 \rightarrow R^3$ を考える。$f_A$ が $R^2$ から $W$ への同型写像を与えることを示せ。

代数学線形代数線形写像同型写像部分空間行列次元全射単射
2025/7/12

1. 問題の内容

R3R^3 の部分空間 W={[xyz]x+y+z=0}W = \{ \begin{bmatrix} x \\ y \\ z \end{bmatrix} | x+y+z=0 \} を考える。
3×23 \times 2 行列 A=[100111]A = \begin{bmatrix} 1 & 0 \\ 0 & 1 \\ -1 & -1 \end{bmatrix} で決まる線形写像 fA:R2R3f_A: R^2 \rightarrow R^3 を考える。fAf_AR2R^2 から WW への同型写像を与えることを示せ。

2. 解き方の手順

同型写像であることを示すためには、次の3つの条件を示す必要があります。
(1) fAf_A が線形写像である。
(2) fAf_A の像が WW に含まれる。つまり、任意の vR2v \in R^2 に対して、fA(v)Wf_A(v) \in W である。
(3) fAf_A が全単射である。つまり、単射(kernelが{0}である)かつ全射である。
(1) fAf_A が線形写像であることの証明:
任意の v1,v2R2v_1, v_2 \in R^2 と スカラー cc について、
fA(v1+v2)=A(v1+v2)=Av1+Av2=fA(v1)+fA(v2)f_A(v_1 + v_2) = A(v_1 + v_2) = Av_1 + Av_2 = f_A(v_1) + f_A(v_2)
fA(cv1)=A(cv1)=c(Av1)=cfA(v1)f_A(cv_1) = A(cv_1) = c(Av_1) = c f_A(v_1)
したがって、fAf_A は線形写像である。
(2) fAf_A の像が WW に含まれることの証明:
任意の v=[xy]R2v = \begin{bmatrix} x \\ y \end{bmatrix} \in R^2 について、
fA(v)=Av=[100111][xy]=[xyxy]f_A(v) = A v = \begin{bmatrix} 1 & 0 \\ 0 & 1 \\ -1 & -1 \end{bmatrix} \begin{bmatrix} x \\ y \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} x \\ y \\ -x-y \end{bmatrix}
このとき、x+y+(xy)=0x + y + (-x-y) = 0 であるから、fA(v)Wf_A(v) \in W である。
したがって、Im(fAf_A) W\subset W
(3) fAf_A が全単射であることの証明:
(a) 単射であること:
fA(v)=0f_A(v) = 0 となる v=[xy]R2v = \begin{bmatrix} x \\ y \end{bmatrix} \in R^2 を考える。
fA(v)=[xyxy]=[000]f_A(v) = \begin{bmatrix} x \\ y \\ -x-y \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} 0 \\ 0 \\ 0 \end{bmatrix}
これは x=0x=0 かつ y=0y=0 を意味するので、v=[00]v = \begin{bmatrix} 0 \\ 0 \end{bmatrix} である。
したがって、ker(fAf_A) = {0} であり、fAf_A は単射である。
(b) 全射であること:
WW の任意の要素 w=[xyz]w = \begin{bmatrix} x \\ y \\ z \end{bmatrix} は、x+y+z=0x + y + z = 0 を満たす。
つまり、z=xyz = -x - y であるから、w=[xyxy]w = \begin{bmatrix} x \\ y \\ -x-y \end{bmatrix} と表せる。
ここで、v=[xy]R2v = \begin{bmatrix} x \\ y \end{bmatrix} \in R^2 を考えると、fA(v)=[xyxy]=wf_A(v) = \begin{bmatrix} x \\ y \\ -x-y \end{bmatrix} = w となる。
したがって、fAf_A は全射である。
WWの次元はx+y+z=0x+y+z=0よりz=xyz=-x-yで表されるので,基底は[101]\begin{bmatrix} 1 \\ 0 \\ -1 \end{bmatrix}[011]\begin{bmatrix} 0 \\ 1 \\ -1 \end{bmatrix}となり次元は2である。
R2R^2の次元も2なのでfAf_Aが全射であれば次元定理より同型写像である。
以上の(1), (2), (3) より、fAf_AR2R^2 から WW への同型写像を与える。

3. 最終的な答え

fAf_AR2R^2 から WW への同型写像である。

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