問題は全部で5つあります。 1. ベクトル $\begin{bmatrix} 3 \\ 2 \end{bmatrix}$ と $\begin{bmatrix} a \\ 1 \end{bmatrix}$ が $\mathbb{R}^2$ の基底となるための $a$ の条件を求める。

1. 問題の内容

問題は全部で5つあります。

1. ベクトル $\begin{bmatrix} 3 \\ 2 \end{bmatrix}$ と $\begin{bmatrix} a \\ 1 \end{bmatrix}$ が $\mathbb{R}^2$ の基底となるための $a$ の条件を求める。

2. 行列 $A = \begin{bmatrix} 1 & 2 \\ 2 & 4 \end{bmatrix}$ の核 $\mathrm{Ker} A$ の基底を一つ求める。

3. ベクトル $\begin{bmatrix} 1 \\ 1 \\ 0 \end{bmatrix}$, $\begin{bmatrix} 2 \\ -1 \\ 1 \end{bmatrix}$, $\begin{bmatrix} 4 \\ 1 \\ 1 \end{bmatrix}$ が $\mathbb{R}^3$ の基底であるかどうかを判定する。

4. $\mathbb{R}^3$ 内の平面 $S = \{\begin{bmatrix} x_1 \\ x_2 \\ x_3 \end{bmatrix} | x_1 - x_2 + x_3 = 0\}$ について、以下の問いに答える。

(1) $S$ が $\mathbb{R}^3$ の部分空間であることを示す。

(2) $S$ の基底を二つ求める。

(3) $S$ の次元を答える。

5. 定理 2 ( $n$ 次元数ベクトル空間 $\mathbb{R}^n$ 内の $n$ 個の数ベクトル $a_1, \dots, a_n$ に対して、次の 6 つの命題は互いに同値である) を $n=2$ の場合に証明する。

2. 解き方の手順

以下に各問題の解き方を示します。

1. **問題 1:**

$\begin{bmatrix} 3 \\ 2 \end{bmatrix}$ と $\begin{bmatrix} a \\ 1 \end{bmatrix}$ が $\mathbb{R}^2$ の基底となるためには、これらのベクトルが線形独立である必要があります。つまり、

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\det \begin{bmatrix} 3 & a \\ 2 & 1 \end{bmatrix} \neq 0

$$$$

$3 - 2a \neq 0$ である必要があります。

2. **問題 2:**

$A = \begin{bmatrix} 1 & 2 \\ 2 & 4 \end{bmatrix}$ の核 $\mathrm{Ker} A$ は、$A\mathbf{x} = \mathbf{0}$ を満たすベクトル $\mathbf{x}$ の集合です。

$\begin{bmatrix} 1 & 2 \\ 2 & 4 \end{bmatrix} \begin{bmatrix} x \\ y \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} 0 \\ 0 \end{bmatrix}$

この連立一次方程式は $x + 2y = 0$ と同値です。よって、$x = -2y$ となり、$\begin{bmatrix} x \\ y \end{bmatrix} = y \begin{bmatrix} -2 \\ 1 \end{bmatrix}$ と表せます。したがって、$\mathrm{Ker} A$ の基底は $\begin{bmatrix} -2 \\ 1 \end{bmatrix}$ です。

3. **問題 3:**

ベクトル $\begin{bmatrix} 1 \\ 1 \\ 0 \end{bmatrix}$, $\begin{bmatrix} 2 \\ -1 \\ 1 \end{bmatrix}$, $\begin{bmatrix} 4 \\ 1 \\ 1 \end{bmatrix}$ が $\mathbb{R}^3$ の基底であるかどうかを判定するには、これらのベクトルを列ベクトルとする行列の行列式を計算します。

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\det \begin{bmatrix} 1 & 2 & 4 \\ 1 & -1 & 1 \\ 0 & 1 & 1 \end{bmatrix} = 1(-1 - 1) - 2(1 - 0) + 4(1 - 0) = -2 - 2 + 4 = 0

$$$$

行列式が 0 であるため、これらのベクトルは線形独立ではなく、$\mathbb{R}^3$ の基底ではありません。

4. **問題 4:**

(1) $S$ が $\mathbb{R}^3$ の部分空間であることを示すには、以下の 3 つの条件を満たすことを示す必要があります。

i. ゼロベクトル $\mathbf{0}$ が $S$ に含まれる。

ii. $S$ の任意の 2 つのベクトル $\mathbf{u}$ と $\mathbf{v}$ に対して、$\mathbf{u} + \mathbf{v}$ が $S$ に含まれる。

iii. $S$ の任意のベクトル $\mathbf{u}$ と任意のスカラー $c$ に対して、$c\mathbf{u}$ が $S$ に含まれる。

i. $\begin{bmatrix} 0 \\ 0 \\ 0 \end{bmatrix}$ について、$0 - 0 + 0 = 0$ なので、$\mathbf{0} \in S$。

ii. $\mathbf{u} = \begin{bmatrix} u_1 \\ u_2 \\ u_3 \end{bmatrix}, \mathbf{v} = \begin{bmatrix} v_1 \\ v_2 \\ v_3 \end{bmatrix} \in S$ とすると、$u_1 - u_2 + u_3 = 0$ かつ $v_1 - v_2 + v_3 = 0$。$\mathbf{u} + \mathbf{v} = \begin{bmatrix} u_1 + v_1 \\ u_2 + v_2 \\ u_3 + v_3 \end{bmatrix}$ について、$(u_1 + v_1) - (u_2 + v_2) + (u_3 + v_3) = (u_1 - u_2 + u_3) + (v_1 - v_2 + v_3) = 0 + 0 = 0$。よって、$\mathbf{u} + \mathbf{v} \in S$。

iii. $\mathbf{u} = \begin{bmatrix} u_1 \\ u_2 \\ u_3 \end{bmatrix} \in S$ とすると、$u_1 - u_2 + u_3 = 0$。$c\mathbf{u} = \begin{bmatrix} cu_1 \\ cu_2 \\ cu_3 \end{bmatrix}$ について、$cu_1 - cu_2 + cu_3 = c(u_1 - u_2 + u_3) = c(0) = 0$。よって、$c\mathbf{u} \in S$。

したがって、$S$ は $\mathbb{R}^3$ の部分空間です。

(2) $S$ の基底を求めるには、$x_1 - x_2 + x_3 = 0$ を満たすベクトルを求めます。$x_1 = x_2 - x_3$ より、$\begin{bmatrix} x_1 \\ x_2 \\ x_3 \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} x_2 - x_3 \\ x_2 \\ x_3 \end{bmatrix} = x_2 \begin{bmatrix} 1 \\ 1 \\ 0 \end{bmatrix} + x_3 \begin{bmatrix} -1 \\ 0 \\ 1 \end{bmatrix}$ と表せます。したがって、$S$ の基底は $\left\{ \begin{bmatrix} 1 \\ 1 \\ 0 \end{bmatrix}, \begin{bmatrix} -1 \\ 0 \\ 1 \end{bmatrix} \right\}$ です。

(3) $S$ の次元は、基底に含まれるベクトルの数なので、2 です。

5. **問題 5:** 定理 2 を $n=2$ の場合に証明する。

定理2は以下を述べています。

$a_1, a_2 \in \mathbb{R}^2$ について、以下の6つの命題は同値である。

1. $(a_1, a_2)$ は $\mathbb{R}^2$ の基底である。

2. $a_1, a_2$ は一次独立である。

3. $\text{span}\{a_1, a_2\} = \mathbb{R}^2$

4. $A=[a_1, a_2]$ は正則行列である。

5. $\text{rank}[a_1, a_2] = 2$

6. $\det[a_1, a_2] \neq 0$

以下に同値性を示します。

(1 $\Leftrightarrow$ 2): $\mathbb{R}^2$ の基底であることと、一次独立であることは同値である。

(2 $\Leftrightarrow$ 6): $a_1, a_2$ が一次独立 $\Leftrightarrow$ $c_1 a_1 + c_2 a_2 = 0 \Rightarrow c_1 = c_2 = 0$ $\Leftrightarrow$ $A [c_1, c_2]^T = 0$ の解が自明な解のみ $\Leftrightarrow$ $\det(A) \neq 0$.

(6 $\Leftrightarrow$ 4): 行列式が0でないことと、正則行列であることは同値である。

(4 $\Leftrightarrow$ 5): 正則行列であることと、ランクが2であることは同値である(2x2行列の場合)。

(3 $\Leftrightarrow$ 1): $\text{span}\{a_1, a_2\} = \mathbb{R}^2$ であり、$a_1, a_2$ は一次独立なので、$a_1, a_2$ は $\mathbb{R}^2$ の基底である。

3. 最終的な答え

1. $a \neq \frac{3}{2}$

2. $\begin{bmatrix} -2 \\ 1 \end{bmatrix}$

3. 基底ではない。

4. (1) $S$ は $\mathbb{R}^3$ の部分空間である。(証明は上記)

(2) $\left\{ \begin{bmatrix} 1 \\ 1 \\ 0 \end{bmatrix}, \begin{bmatrix} -1 \\ 0 \\ 1 \end{bmatrix} \right\}$

(3) 2

5. 上記参照