自然数 $n$ に対して、$2n^3 - 3n^2 + n$ が6の倍数であることを、(1) 数学的帰納法, (2) 連続する3整数の積が6の倍数であることの利用、の2通りの方法で証明する。

数論整数の性質倍数数学的帰納法因数分解合同式
2025/7/15

1. 問題の内容

自然数 nn に対して、2n33n2+n2n^3 - 3n^2 + n が6の倍数であることを、(1) 数学的帰納法, (2) 連続する3整数の積が6の倍数であることの利用、の2通りの方法で証明する。

2. 解き方の手順

(1) 数学的帰納法による証明
ステップ1: n=1n = 1 のとき
2(1)33(1)2+1=23+1=02(1)^3 - 3(1)^2 + 1 = 2 - 3 + 1 = 0 となり、0は6の倍数なので、n=1n = 1 のとき成立する。
ステップ2: n=kn = k のとき、2k33k2+k2k^3 - 3k^2 + k が6の倍数であると仮定する。すなわち、ある整数 mm を用いて 2k33k2+k=6m2k^3 - 3k^2 + k = 6m と表せると仮定する。
ステップ3: n=k+1n = k + 1 のとき
2(k+1)33(k+1)2+(k+1)2(k+1)^3 - 3(k+1)^2 + (k+1)
=2(k3+3k2+3k+1)3(k2+2k+1)+(k+1)= 2(k^3 + 3k^2 + 3k + 1) - 3(k^2 + 2k + 1) + (k+1)
=2k3+6k2+6k+23k26k3+k+1= 2k^3 + 6k^2 + 6k + 2 - 3k^2 - 6k - 3 + k + 1
=2k3+3k2+k= 2k^3 + 3k^2 + k
=(2k33k2+k)+6k2= (2k^3 - 3k^2 + k) + 6k^2
=6m+3k2+3k2=6m+3k(k+1)= 6m + 3k^2 + 3k^2 = 6m + 3k(k+1)
k(k+1)k(k+1) は連続する2つの整数の積なので、必ず偶数である。
したがって、k(k+1)=2lk(k+1) = 2lll は整数)と書ける。
よって、6m+3k(k+1)=6m+3(2l)=6m+6l=6(m+l)6m + 3k(k+1) = 6m + 3(2l) = 6m + 6l = 6(m+l) となり、6の倍数である。
したがって、n=k+1n = k+1 のときも成立する。
ステップ4: 数学的帰納法の原理より、2n33n2+n2n^3 - 3n^2 + n はすべての自然数 nn に対して6の倍数である。
(2) 連続する3整数の積の利用による証明
2n33n2+n=n(2n23n+1)=n(2n1)(n1)=(n1)n(2n1)2n^3 - 3n^2 + n = n(2n^2 - 3n + 1) = n(2n-1)(n-1) = (n-1)n(2n-1)
ここで、nn が偶数のとき、n=2kn = 2kkk は整数)とすると、
(n1)n(2n1)=(2k1)(2k)(4k1)=2k(2k1)(4k1)(n-1)n(2n-1) = (2k-1)(2k)(4k-1) = 2k(2k-1)(4k-1)
また、nn が奇数のとき、n=2k+1n = 2k+1kk は整数)とすると、
(n1)n(2n1)=(2k)(2k+1)(4k+1)=2k(2k+1)(4k+1)(n-1)n(2n-1) = (2k)(2k+1)(4k+1) = 2k(2k+1)(4k+1)
いずれの場合も 2k2k の項が存在するので、これは2の倍数である。
また、2n33n2+n=n(2n1)(n1)2n^3 - 3n^2 + n = n(2n-1)(n-1)において、nnを3で割った余りを考える。
i) nn が3の倍数のとき、n=3kn = 3k とすると、n(2n1)(n1)=3k(6k1)(3k1)n(2n-1)(n-1) = 3k(6k-1)(3k-1) となり、3の倍数。
ii) n1(mod3)n \equiv 1 \pmod{3} のとき、n1=3kn-1 = 3k とすると、n(2n1)(n1)=(3k+1)(6k+1)(3k)n(2n-1)(n-1) = (3k+1)(6k+1)(3k) となり、3の倍数。
iii) n2(mod3)n \equiv 2 \pmod{3} のとき、2n1=41=32n - 1 = 4 - 1 = 3 となり、n(2n1)(n1)=n(2n1)(n1)n(2n-1)(n-1) = n(2n-1)(n-1)は3の倍数。
したがって、2n33n2+n2n^3 - 3n^2 + n は2の倍数かつ3の倍数なので、6の倍数である。
別解:
2n33n2+n=n(n1)(2n1)=n(n1)(2n4+3)=2n(n1)(n2)+3n(n1)2n^3-3n^2+n = n(n-1)(2n-1) = n(n-1)(2n-4+3) = 2n(n-1)(n-2)+3n(n-1).
n(n1)(n2)n(n-1)(n-2)は連続する3整数の積なので6の倍数であり、n(n1)n(n-1)は連続する2整数の積なので2の倍数.
したがって、2n(n1)(n2)2n(n-1)(n-2)は12の倍数であり、3n(n1)3n(n-1)は6の倍数.
よって、2n33n2+n2n^3-3n^2+nは6の倍数。

3. 最終的な答え

2n33n2+n2n^3 - 3n^2 + n は6の倍数である。

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