関数 $f(x) = \arctan(x)$ (または $\tan^{-1}x$)の $n$ 階導関数を $f^{(n)}(x)$ とするとき、$f^{(n)}(0)$ の値を求める問題です。

解析学導関数arctanテイラー展開微分
2025/7/15

1. 問題の内容

関数 f(x)=arctan(x)f(x) = \arctan(x) (または tan1x\tan^{-1}x)の nn 階導関数を f(n)(x)f^{(n)}(x) とするとき、f(n)(0)f^{(n)}(0) の値を求める問題です。

2. 解き方の手順

まず、f(x)=arctan(x)f(x) = \arctan(x) の導関数をいくつか計算して、規則性を見つけます。
f(x)=11+x2f'(x) = \frac{1}{1+x^2}
f(x)=2x(1+x2)2f''(x) = \frac{-2x}{(1+x^2)^2}
f(x)=2(1+x2)2+2x(2(1+x2)(2x))(1+x2)4=2(1+x2)+8x2(1+x2)3=6x22(1+x2)3f'''(x) = \frac{-2(1+x^2)^2 + 2x(2(1+x^2)(2x))}{(1+x^2)^4} = \frac{-2(1+x^2) + 8x^2}{(1+x^2)^3} = \frac{6x^2-2}{(1+x^2)^3}
x=0x=0 を代入すると、
f(0)=arctan(0)=0f(0) = \arctan(0) = 0
f(0)=11+02=1f'(0) = \frac{1}{1+0^2} = 1
f(0)=2(0)(1+02)2=0f''(0) = \frac{-2(0)}{(1+0^2)^2} = 0
f(0)=6(0)22(1+02)3=2f'''(0) = \frac{6(0)^2-2}{(1+0^2)^3} = -2
規則性を見つけるために、f(x)f'(x) をテイラー展開します。
f(x)=11+x2=1x2+x4x6+=k=0(1)kx2kf'(x) = \frac{1}{1+x^2} = 1 - x^2 + x^4 - x^6 + \cdots = \sum_{k=0}^{\infty} (-1)^k x^{2k}
これを積分することで、f(x)f(x) のテイラー展開が得られます。
f(x)=f(x)dx=k=0(1)kx2kdx=k=0(1)kx2k+12k+1+Cf(x) = \int f'(x) dx = \int \sum_{k=0}^{\infty} (-1)^k x^{2k} dx = \sum_{k=0}^{\infty} \frac{(-1)^k x^{2k+1}}{2k+1} + C
f(0)=0f(0) = 0 なので、C=0C=0 であり、
f(x)=xx33+x55x77+=k=0(1)kx2k+12k+1f(x) = x - \frac{x^3}{3} + \frac{x^5}{5} - \frac{x^7}{7} + \cdots = \sum_{k=0}^{\infty} \frac{(-1)^k x^{2k+1}}{2k+1}
テイラー展開の一般的な形は、f(x)=n=0f(n)(0)n!xnf(x) = \sum_{n=0}^{\infty} \frac{f^{(n)}(0)}{n!} x^n であるので、
f(x)f(x) のテイラー展開の係数と一致させます。
xnx^n の係数は f(n)(0)n!\frac{f^{(n)}(0)}{n!} なので、nn が奇数の場合、f(n)(0)n!=(1)(n1)/2n\frac{f^{(n)}(0)}{n!} = \frac{(-1)^{(n-1)/2}}{n} より、f(n)(0)=(1)(n1)/2(n1)!f^{(n)}(0) = (-1)^{(n-1)/2} (n-1)!
nn が偶数の場合は、f(n)(0)=0f^{(n)}(0) = 0
まとめると、
nn が奇数のとき、f(n)(0)=(1)n12(n1)!f^{(n)}(0) = (-1)^{\frac{n-1}{2}}(n-1)!
nn が偶数のとき、f(n)(0)=0f^{(n)}(0) = 0

3. 最終的な答え

$f^{(n)}(0) =
\begin{cases}
(-1)^{\frac{n-1}{2}} (n-1)! & \text{if } n \text{ is odd} \\
0 & \text{if } n \text{ is even}
\end{cases}$

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