三角形ABCがあり、内角A, B, C内にある傍心をそれぞれP, Q, Rとする。三角形ABC, PQRの面積をそれぞれS, Tとする。 (1) a = |BC|, b = |CA|, c = |AB| とするとき、P, Q, Rを中心とする傍接円の半径をr1, r2, r3とするとき、$\frac{r_1}{S}, \frac{r_2}{S}, \frac{r_3}{S}$をa, b, cを用いて表す。 (2) $x = \frac{-a+b+c}{2}, y = \frac{a-b+c}{2}, z = \frac{a+b-c}{2}$とするとき、$\frac{T}{S}$をx, y, zにより表す。 (3) 不等式$T \geq 4S$を証明せよ。また、等号が成立するのはどのようなときか答えよ。

幾何学三角形面積傍接円ヘロンの公式相加相乗平均
2025/7/16

1. 問題の内容

三角形ABCがあり、内角A, B, C内にある傍心をそれぞれP, Q, Rとする。三角形ABC, PQRの面積をそれぞれS, Tとする。
(1) a = |BC|, b = |CA|, c = |AB| とするとき、P, Q, Rを中心とする傍接円の半径をr1, r2, r3とするとき、r1S,r2S,r3S\frac{r_1}{S}, \frac{r_2}{S}, \frac{r_3}{S}をa, b, cを用いて表す。
(2) x=a+b+c2,y=ab+c2,z=a+bc2x = \frac{-a+b+c}{2}, y = \frac{a-b+c}{2}, z = \frac{a+b-c}{2}とするとき、TS\frac{T}{S}をx, y, zにより表す。
(3) 不等式T4ST \geq 4Sを証明せよ。また、等号が成立するのはどのようなときか答えよ。

2. 解き方の手順

(1)
ヘロンの公式より、S=s(sa)(sb)(sc)S = \sqrt{s(s-a)(s-b)(s-c)}、ただし、s=a+b+c2s = \frac{a+b+c}{2}
傍接円の半径について、S=(sa)r1=(sb)r2=(sc)r3S = (s-a)r_1 = (s-b)r_2 = (s-c)r_3
よって、r1=Ssa,r2=Ssb,r3=Sscr_1 = \frac{S}{s-a}, r_2 = \frac{S}{s-b}, r_3 = \frac{S}{s-c}
したがって、r1S=1sa=2b+ca,r2S=1sb=2a+cb,r3S=1sc=2a+bc\frac{r_1}{S} = \frac{1}{s-a} = \frac{2}{b+c-a}, \frac{r_2}{S} = \frac{1}{s-b} = \frac{2}{a+c-b}, \frac{r_3}{S} = \frac{1}{s-c} = \frac{2}{a+b-c}
(2)
三角形PQRについて、その面積Tは、T=abc2r=2RsT = \frac{abc}{2r} = 2Rsと表される。ここでRは三角形ABCの外接円の半径であり、r=Ssr = \frac{S}{s}は内接円の半径。
また、x=sa,y=sb,z=scx = s-a, y = s-b, z = s-cである。
S=s(sa)(sb)(sc)=(x+y+z)xyzS = \sqrt{s(s-a)(s-b)(s-c)} = \sqrt{(x+y+z)xyz}
TS=abc2rS=abc2SsS=abcs2S2=abcs2s(sa)(sb)(sc)=abc2xyz\frac{T}{S} = \frac{abc}{2rS} = \frac{abc}{2\frac{S}{s}S} = \frac{abcs}{2S^2} = \frac{abcs}{2s(s-a)(s-b)(s-c)} = \frac{abc}{2xyz}
正弦定理よりasinA=bsinB=csinC=2R\frac{a}{\sin A} = \frac{b}{\sin B} = \frac{c}{\sin C} = 2R
また、S=12absinCS = \frac{1}{2}ab\sin Cより、sinC=2Sab\sin C = \frac{2S}{ab}. cosC=a2+b2c22ab\cos C = \frac{a^2+b^2-c^2}{2ab}
TS=(y+z)(x+z)(x+y)2xyz\frac{T}{S} = \frac{(y+z)(x+z)(x+y)}{2xyz}
(3)
T4ST \geq 4Sを示す。
TS4\frac{T}{S} \geq 4
(y+z)(x+z)(x+y)2xyz4\frac{(y+z)(x+z)(x+y)}{2xyz} \geq 4
(y+z)(x+z)(x+y)8xyz(y+z)(x+z)(x+y) \geq 8xyz
相加相乗平均の不等式より、
y+z2yz,x+z2xz,x+y2xyy+z \geq 2\sqrt{yz}, x+z \geq 2\sqrt{xz}, x+y \geq 2\sqrt{xy}
(y+z)(x+z)(x+y)8yzxzxy=8xyz(y+z)(x+z)(x+y) \geq 8\sqrt{yz}\sqrt{xz}\sqrt{xy} = 8xyz
よって、T4ST \geq 4S
等号が成立するのは、x=y=zx=y=zのとき、つまり、a=b=ca=b=cのとき。三角形ABCが正三角形のとき。

3. 最終的な答え

(1) r1S=2b+ca,r2S=2a+cb,r3S=2a+bc\frac{r_1}{S} = \frac{2}{b+c-a}, \frac{r_2}{S} = \frac{2}{a+c-b}, \frac{r_3}{S} = \frac{2}{a+b-c}
(2) TS=(y+z)(x+z)(x+y)2xyz\frac{T}{S} = \frac{(y+z)(x+z)(x+y)}{2xyz}
(3) T4ST \geq 4S. 等号成立はa=b=ca=b=cのとき。すなわち、三角形ABCが正三角形のとき。

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