関数 $f: X \rightarrow Y$ と、$A, B \subset X$、$C, D \subset Y$ に対して、以下の2つの命題の逆が一般的に正しいかどうかを議論する。 (1) $A \subset B \Rightarrow f(A) \subset f(B)$ (2) $C \subset D \Rightarrow f^{-1}(C) \subset f^{-1}(D)$

1. 問題の内容

関数 $f: X \rightarrow Y$ と、$A, B \subset X$、$C, D \subset Y$ に対して、以下の2つの命題の逆が一般的に正しいかどうかを議論する。

(1) $A \subset B \Rightarrow f(A) \subset f(B)$

(2) $C \subset D \Rightarrow f^{-1}(C) \subset f^{-1}(D)$

2. 解き方の手順

(1) $A \subset B \Rightarrow f(A) \subset f(B)$ の逆は、$f(A) \subset f(B) \Rightarrow A \subset B$ である。

この逆が一般的に正しいかどうかを考える。

$f(A) \subset f(B)$ が成り立つとき、$A \subset B$ が成り立たない例を挙げれば、この逆は正しくないことが示せる。

例えば、$f(x) = x^2$、$A = \{-1\}$、$B = \{1\}$ を考えると、$f(A) = \{1\}$、$f(B) = \{1\}$ となり、$f(A) \subset f(B)$ は成り立つが、$A \subset B$ は成り立たない。

ただし、$f$ が単射であれば、$f(A) \subset f(B) \Rightarrow A \subset B$ は成り立つ。なぜならば、$x \in A$ ならば $f(x) \in f(A)$ であり、$f(A) \subset f(B)$ より $f(x) \in f(B)$ である。よって、$f(x) = f(y)$ となる $y \in B$ が存在する。$f$ が単射であることから、$x = y$ となり、$x \in B$ が言える。したがって、$A \subset B$ である。

(2) $C \subset D \Rightarrow f^{-1}(C) \subset f^{-1}(D)$ の逆は、$f^{-1}(C) \subset f^{-1}(D) \Rightarrow C \subset D$ である。

この逆が一般的に正しいかどうかを考える。

$f^{-1}(C) \subset f^{-1}(D)$ が成り立つとき、$C \subset D$ が成り立たない例を挙げれば、この逆は正しくないことが示せる。

ただし、$f$ が全射である場合、$f^{-1}(C) \subset f^{-1}(D) \Rightarrow C \subset D$ が成り立つ。なぜならば、$y \in C$ とすると、$f$ は全射より、$f(x) = y$ となる $x \in X$ が存在する。このとき、$x \in f^{-1}(C)$ であり、$f^{-1}(C) \subset f^{-1}(D)$ より、$x \in f^{-1}(D)$ である。よって、$f(x) \in D$ となり、$y \in D$ が言える。したがって、$C \subset D$ である。

一般には、$f^{-1}(C) \subset f^{-1}(D) \Rightarrow C \subset D$ は成り立たない。例えば、$f(x) = 1$、$C = \{0\}$、$D = \{1\}$ とすると、$f^{-1}(C) = \emptyset$、$f^{-1}(D) = X$ となり、$f^{-1}(C) \subset f^{-1}(D)$ は成り立つが、$C \subset D$ は成り立たない。

(1)について、元の命題 $A \subset B \Rightarrow f(A) \subset f(B)$ は常に正しい。

$A \subset B$のとき、$y \in f(A)$ ならば、$f(x)=y$ となる $x \in A$ が存在する。$A \subset B$より、$x \in B$ となり、$y = f(x) \in f(B)$ である。したがって、$f(A) \subset f(B)$ が成り立つ。

(2)について、元の命題 $C \subset D \Rightarrow f^{-1}(C) \subset f^{-1}(D)$ は常に正しい。

$C \subset D$のとき、$x \in f^{-1}(C)$ ならば、$f(x) \in C$ である。$C \subset D$より、$f(x) \in D$ となり、$x \in f^{-1}(D)$ である。したがって、$f^{-1}(C) \subset f^{-1}(D)$ が成り立つ。

3. 最終的な答え

(1) $A \subset B \Rightarrow f(A) \subset f(B)$ は常に正しい。その逆 $f(A) \subset f(B) \Rightarrow A \subset B$ は一般には正しくない。ただし、$f$ が単射であれば正しい。

(2) $C \subset D \Rightarrow f^{-1}(C) \subset f^{-1}(D)$ は常に正しい。その逆 $f^{-1}(C) \subset f^{-1}(D) \Rightarrow C \subset D$ は一般には正しくない。ただし、$f$ が全射であれば正しい。