写像 $f: X \rightarrow Y$ と、$A, B \subset X$, $C, D \subset Y$ に対して、以下の命題の逆が一般的に正しいかどうかを議論する。 (1) $A \subset B \Rightarrow f(A) \subset f(B)$ (2) $C \subset D \Rightarrow f^{-1}(C) \subset f^{-1}(D)$

1. 問題の内容

写像 $f: X \rightarrow Y$ と、$A, B \subset X$, $C, D \subset Y$ に対して、以下の命題の逆が一般的に正しいかどうかを議論する。

(1) $A \subset B \Rightarrow f(A) \subset f(B)$

(2) $C \subset D \Rightarrow f^{-1}(C) \subset f^{-1}(D)$

2. 解き方の手順

(1) $A \subset B \Rightarrow f(A) \subset f(B)$ の逆は $f(A) \subset f(B) \Rightarrow A \subset B$ となる。

これは一般的に正しくない。

例：$X = \{1, 2\}, Y = \{3\}$, $f(1) = 3, f(2) = 3$ とする。このとき、$f(A) = f(B) = \{3\}$ となるが、$A = \{1\}, B = \{2\}$ の場合、$A \not\subset B$ であり、$B \not\subset A$ である。

よって、逆は正しくない。

(2) $C \subset D \Rightarrow f^{-1}(C) \subset f^{-1}(D)$ の逆は $f^{-1}(C) \subset f^{-1}(D) \Rightarrow C \subset D$ となる。

これも一般的に正しくない。

例：$X = \{1\}, Y = \{2, 3\}$, $f(1) = 2$ とする。

$C = \{2\}, D = \{2, 3\}$ とすると、$f^{-1}(C) = \{1\}, f^{-1}(D) = \{1\}$ となり、$f^{-1}(C) \subset f^{-1}(D)$ は成り立つ。

しかし、$C \subset D$ は成り立つ。

$C = \{3\}, D = \{2, 3\}$ とすると、$f^{-1}(C) = \emptyset, f^{-1}(D) = \{1\}$ となり、$f^{-1}(C) \subset f^{-1}(D)$ は成り立つ。

しかし、$C \subset D$ は成り立つ。

逆像の定義より、$f^{-1}(C) = \{ x \in X \mid f(x) \in C \}, f^{-1}(D) = \{ x \in X \mid f(x) \in D \}$ である。

$f^{-1}(C) \subset f^{-1}(D)$ が成り立つとする。

このとき、$C \subset D$ が成り立つとは限らない。例えば、$f(x)$ が $C$ にも $D$ にも含まれない場合、$f^{-1}(C) = f^{-1}(D) = \emptyset$ となる。

例：$X = \{1\}, Y = \{2, 3\}$, $f(1) = 2$ とする。 $C = \{3\}, D = \{2\}$ とすると、$f^{-1}(C) = \emptyset, f^{-1}(D) = \{1\}$ となり、$f^{-1}(C) \subset f^{-1}(D)$ は成り立つ。しかし、$C \not\subset D$ である。

よって、逆は正しくない。

3. 最終的な答え

(1) $A \subset B \Rightarrow f(A) \subset f(B)$ の逆は一般的に正しくない。

(2) $C \subset D \Rightarrow f^{-1}(C) \subset f^{-1}(D)$ の逆は一般的に正しくない。