線形写像 $f: \mathbb{R}^n \to \mathbb{R}^m$ と $\mathbb{R}^m$ の基底 $\{b_1, \dots, b_m\}$ について、$f(a_i) = b_i$ となるベクトル $a_i \in \mathbb{R}^n$ ($i = 1, \dots, m$) が存在するとする。このとき、以下の3つのことを示す。 (1) $f$ は全射である。 (2) $\{a_1, \dots, a_m\}$ は1次独立である。 (3) $n \ge m$ となる。

代数学線形写像線形代数全射一次独立ベクトル空間
2025/7/16

1. 問題の内容

線形写像 f:RnRmf: \mathbb{R}^n \to \mathbb{R}^mRm\mathbb{R}^m の基底 {b1,,bm}\{b_1, \dots, b_m\} について、f(ai)=bif(a_i) = b_i となるベクトル aiRna_i \in \mathbb{R}^n (i=1,,mi = 1, \dots, m) が存在するとする。このとき、以下の3つのことを示す。
(1) ff は全射である。
(2) {a1,,am}\{a_1, \dots, a_m\} は1次独立である。
(3) nmn \ge m となる。

2. 解き方の手順

(1) ff が全射であることの証明:
Rm\mathbb{R}^m の任意のベクトル bb を考える。{b1,,bm}\{b_1, \dots, b_m\}Rm\mathbb{R}^m の基底なので、あるスカラー c1,,cmc_1, \dots, c_m が存在して、
b = c_1 b_1 + \dots + c_m b_m
と表せる。ここで、f(ai)=bif(a_i) = b_i であることから、
f(c_1 a_1 + \dots + c_m a_m) = c_1 f(a_1) + \dots + c_m f(a_m) = c_1 b_1 + \dots + c_m b_m = b
となる。したがって、a=c1a1++cmama = c_1 a_1 + \dots + c_m a_m とおくと、f(a)=bf(a) = b となる。これは、Rm\mathbb{R}^m の任意のベクトル bb に対して、ある aRna \in \mathbb{R}^n が存在し、f(a)=bf(a) = b となることを意味するので、ff は全射である。
(2) {a1,,am}\{a_1, \dots, a_m\} が1次独立であることの証明:
c1a1++cmam=0c_1 a_1 + \dots + c_m a_m = 0 となるスカラー c1,,cmc_1, \dots, c_m を考える。このとき、
f(c_1 a_1 + \dots + c_m a_m) = f(0) = 0
線形性より、
c_1 f(a_1) + \dots + c_m f(a_m) = 0
f(ai)=bif(a_i) = b_i であるから、
c_1 b_1 + \dots + c_m b_m = 0
{b1,,bm}\{b_1, \dots, b_m\}Rm\mathbb{R}^m の基底であるので、1次独立である。したがって、c1==cm=0c_1 = \dots = c_m = 0 となる。これは、c1a1++cmam=0c_1 a_1 + \dots + c_m a_m = 0 ならば c1==cm=0c_1 = \dots = c_m = 0 であることを意味するので、{a1,,am}\{a_1, \dots, a_m\} は1次独立である。
(3) nmn \ge m となることの証明:
{a1,,am}\{a_1, \dots, a_m\}Rn\mathbb{R}^n の1次独立なベクトルの集合である。Rn\mathbb{R}^n における1次独立なベクトルの最大個数は nn である。したがって、mnm \le n となる。つまり、nmn \ge m である。

3. 最終的な答え

(1) ff は全射である。
(2) {a1,,am}\{a_1, \dots, a_m\} は1次独立である。
(3) nmn \ge m となる。

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