人口100万人の都市で、1日平均1人の交通事故死亡事故が発生する。保険会社が、1日10円の保険料で、交通事故死の場合1000万円を支払う保険を提供した。全市民が加入した場合、会社が3日間で夜逃げしたという。以下の問いに答える。 (1) 会社が儲けた確率を求めよ。 (2) 会社が損得なしだった確率を求めよ。 (3) 会社が損をした確率を求めよ。 ただし、$e \approx 2.72$ とする。

確率論・統計学確率ポアソン分布統計期待値リスク
2025/7/17

1. 問題の内容

人口100万人の都市で、1日平均1人の交通事故死亡事故が発生する。保険会社が、1日10円の保険料で、交通事故死の場合1000万円を支払う保険を提供した。全市民が加入した場合、会社が3日間で夜逃げしたという。以下の問いに答える。
(1) 会社が儲けた確率を求めよ。
(2) 会社が損得なしだった確率を求めよ。
(3) 会社が損をした確率を求めよ。
ただし、e2.72e \approx 2.72 とする。

2. 解き方の手順

1日平均1人の死亡事故なので、3日間では平均3人の死亡事故が起こると考えられる。
ポアソン分布に従うと仮定する。
ポアソン分布の確率質量関数は、
P(X=k)=eλλkk!P(X=k) = \frac{e^{-\lambda} \lambda^k}{k!}
ここで、XXは事象の発生回数、kkは実際に発生した回数、λ\lambdaは平均発生回数である。
この問題の場合、λ=3\lambda = 3 である。
(1) 会社が儲ける場合、支払う保険金が、受け取る保険料より少ない場合である。
3日間で、受け取る保険料は 1000000×3×10=300000001000000 \times 3 \times 10 = 30000000 円である。
支払う保険金は、1人あたり1000万円なので、
0人の場合:0円
1人の場合:1000万円
2人の場合:2000万円
3人の場合:3000万円
儲けるのは、3人以下の死亡事故の場合である。
0人の場合、P(X=0)=e3300!=e3P(X=0) = \frac{e^{-3} 3^0}{0!} = e^{-3}
1人の場合、P(X=1)=e3311!=3e3P(X=1) = \frac{e^{-3} 3^1}{1!} = 3e^{-3}
2人の場合、P(X=2)=e3322!=92e3P(X=2) = \frac{e^{-3} 3^2}{2!} = \frac{9}{2} e^{-3}
3人の場合、P(X=3)=e3333!=276e3=92e3P(X=3) = \frac{e^{-3} 3^3}{3!} = \frac{27}{6} e^{-3} = \frac{9}{2} e^{-3}
P(X3)=P(X=0)+P(X=1)+P(X=2)+P(X=3)=e3+3e3+92e3+92e3=e3(1+3+92+92)=e3(4+9)=13e3P(X \leq 3) = P(X=0) + P(X=1) + P(X=2) + P(X=3) = e^{-3} + 3e^{-3} + \frac{9}{2}e^{-3} + \frac{9}{2}e^{-3} = e^{-3}(1+3+\frac{9}{2}+\frac{9}{2}) = e^{-3}(4+9) = 13e^{-3}
e2.72e \approx 2.72なので、e312.723120.050.0498e^{-3} \approx \frac{1}{2.72^3} \approx \frac{1}{20.05} \approx 0.0498
13e313×0.04980.647413e^{-3} \approx 13 \times 0.0498 \approx 0.6474
(2) 損得なしの場合、支払う保険金の合計が、受け取る保険料の合計と等しい場合である。
つまり、死亡事故が3件の場合である。
P(X=3)=e3333!=276e3=92e392×0.04980.2241P(X=3) = \frac{e^{-3} 3^3}{3!} = \frac{27}{6} e^{-3} = \frac{9}{2} e^{-3} \approx \frac{9}{2} \times 0.0498 \approx 0.2241
(3) 損をする場合、支払う保険金が、受け取る保険料より多い場合である。
これは、4人以上の死亡事故の場合である。
P(X>3)=1P(X3)=113e310.6474=0.3526P(X>3) = 1 - P(X \leq 3) = 1 - 13e^{-3} \approx 1 - 0.6474 = 0.3526

3. 最終的な答え

(1) 会社が儲けた確率は約0.6474
(2) 会社が損得なしだった確率は約0.2241
(3) 会社が損をした確率は約0.3526

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