与えられた問題は以下の通りです。 (1) 数ベクトル $\begin{bmatrix} 3 \\ 2 \end{bmatrix}$ と $\begin{bmatrix} 1 \\ a \end{bmatrix}$ が $\mathbb{R}^2$ の基底となるための $a$ の条件を求めよ。 (2) 行列 $A = \begin{bmatrix} 1 & 2 \\ 2 & 4 \end{bmatrix}$ の核 $\text{Ker} A$ の基底を一つ求めよ。 (3) 数ベクトル $\begin{bmatrix} 1 \\ 3 \\ 0 \end{bmatrix}$, $\begin{bmatrix} 2 \\ -1 \\ 1 \end{bmatrix}$, $\begin{bmatrix} 4 \\ 3 \\ 1 \end{bmatrix}$ は $\mathbb{R}^3$ の基底か。 (4) $\mathbb{R}^3$ 内の平面 $S = \{ \begin{bmatrix} x_1 \\ x_2 \\ x_3 \end{bmatrix} | x_1 - x_2 + x_3 = 0 \}$ について以下の問いに答えよ。 (1) $S$ は $\mathbb{R}^3$ の部分空間であることを示せ。 (2) $S$ の基底を二つ求めよ。 (3) $S$ の次元を答えよ。

1. 問題の内容

与えられた問題は以下の通りです。

(1) 数ベクトル $\begin{bmatrix} 3 \\ 2 \end{bmatrix}$ と $\begin{bmatrix} 1 \\ a \end{bmatrix}$ が $\mathbb{R}^2$ の基底となるための $a$ の条件を求めよ。

(2) 行列 $A = \begin{bmatrix} 1 & 2 \\ 2 & 4 \end{bmatrix}$ の核 $\text{Ker} A$ の基底を一つ求めよ。

(3) 数ベクトル $\begin{bmatrix} 1 \\ 3 \\ 0 \end{bmatrix}$, $\begin{bmatrix} 2 \\ -1 \\ 1 \end{bmatrix}$, $\begin{bmatrix} 4 \\ 3 \\ 1 \end{bmatrix}$ は $\mathbb{R}^3$ の基底か。

(4) $\mathbb{R}^3$ 内の平面 $S = \{ \begin{bmatrix} x_1 \\ x_2 \\ x_3 \end{bmatrix} | x_1 - x_2 + x_3 = 0 \}$ について以下の問いに答えよ。

(1) $S$ は $\mathbb{R}^3$ の部分空間であることを示せ。

(2) $S$ の基底を二つ求めよ。

(3) $S$ の次元を答えよ。

2. 解き方の手順

(1)

2つのベクトルが $\mathbb{R}^2$ の基底になるためには、線形独立である必要があります。つまり、

$c_1\begin{bmatrix} 3 \\ 2 \end{bmatrix} + c_2\begin{bmatrix} 1 \\ a \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} 0 \\ 0 \end{bmatrix}$

が $c_1 = c_2 = 0$ のときのみ成り立つ必要があります。

この式は以下のように書き換えられます。

$3c_1 + c_2 = 0$

$2c_1 + ac_2 = 0$

これを解くと、$c_2 = -3c_1$ となり、$2c_1 - 3ac_1 = 0$、つまり $c_1(2 - 3a) = 0$ となります。$c_1=0$のみが解となるためには、$2 - 3a \neq 0$ が必要です。よって、$a \neq \frac{2}{3}$。

(2)

$\text{Ker} A$ は、$A\mathbf{x} = \mathbf{0}$ を満たすベクトル $\mathbf{x}$ の集合です。つまり、

$\begin{bmatrix} 1 & 2 \\ 2 & 4 \end{bmatrix} \begin{bmatrix} x \\ y \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} 0 \\ 0 \end{bmatrix}$

この式は、$x + 2y = 0$ となり、$x = -2y$ となります。したがって、$\text{Ker} A$ は $\begin{bmatrix} -2y \\ y \end{bmatrix} = y \begin{bmatrix} -2 \\ 1 \end{bmatrix}$ と表されます。よって、$\text{Ker} A$ の基底は $\begin{bmatrix} -2 \\ 1 \end{bmatrix}$ です。

(3)

3つのベクトルが $\mathbb{R}^3$ の基底になるためには、線形独立である必要があります。つまり、

$c_1\begin{bmatrix} 1 \\ 3 \\ 0 \end{bmatrix} + c_2\begin{bmatrix} 2 \\ -1 \\ 1 \end{bmatrix} + c_3\begin{bmatrix} 4 \\ 3 \\ 1 \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} 0 \\ 0 \\ 0 \end{bmatrix}$

が $c_1 = c_2 = c_3 = 0$ のときのみ成り立つ必要があります。

この式は以下の連立方程式で表せます。

$c_1 + 2c_2 + 4c_3 = 0$

$3c_1 - c_2 + 3c_3 = 0$

$c_2 + c_3 = 0$

$c_2 = -c_3$ を最初の2つの式に代入すると、

$c_1 - 2c_3 + 4c_3 = 0 \Rightarrow c_1 + 2c_3 = 0$

$3c_1 + c_3 + 3c_3 = 0 \Rightarrow 3c_1 + 4c_3 = 0$

最初の式から $c_1 = -2c_3$ を得て、これを2番目の式に代入すると、$3(-2c_3) + 4c_3 = 0 \Rightarrow -6c_3 + 4c_3 = 0 \Rightarrow -2c_3 = 0$。

したがって、$c_3 = 0$。このとき、$c_1 = 0$ かつ $c_2 = 0$。

よって、これらのベクトルは線形独立であるため、$\mathbb{R}^3$ の基底です。

(4)

(1) $S$ が $\mathbb{R}^3$ の部分空間であることを示すには、以下の3つの条件を満たすことを示す必要があります。

(a) ゼロベクトル $\mathbf{0}$ が $S$ に含まれる。

(b) $S$ の任意の2つのベクトル $\mathbf{u}, \mathbf{v}$ について、$\mathbf{u} + \mathbf{v}$ が $S$ に含まれる。

(c) $S$ の任意のベクトル $\mathbf{u}$ と任意のスカラー $c$ について、$c\mathbf{u}$ が $S$ に含まれる。

(a) $\mathbf{0} = \begin{bmatrix} 0 \\ 0 \\ 0 \end{bmatrix}$ について、$0 - 0 + 0 = 0$ なので、$\mathbf{0} \in S$。

(b) $\mathbf{u} = \begin{bmatrix} u_1 \\ u_2 \\ u_3 \end{bmatrix} \in S$ と $\mathbf{v} = \begin{bmatrix} v_1 \\ v_2 \\ v_3 \end{bmatrix} \in S$ について、$u_1 - u_2 + u_3 = 0$ と $v_1 - v_2 + v_3 = 0$ が成り立ちます。$\mathbf{u} + \mathbf{v} = \begin{bmatrix} u_1 + v_1 \\ u_2 + v_2 \\ u_3 + v_3 \end{bmatrix}$ について、

$(u_1 + v_1) - (u_2 + v_2) + (u_3 + v_3) = (u_1 - u_2 + u_3) + (v_1 - v_2 + v_3) = 0 + 0 = 0$ なので、$\mathbf{u} + \mathbf{v} \in S$。

(c) $\mathbf{u} = \begin{bmatrix} u_1 \\ u_2 \\ u_3 \end{bmatrix} \in S$ と任意のスカラー $c$ について、$u_1 - u_2 + u_3 = 0$ が成り立ちます。$c\mathbf{u} = \begin{bmatrix} cu_1 \\ cu_2 \\ cu_3 \end{bmatrix}$ について、

$cu_1 - cu_2 + cu_3 = c(u_1 - u_2 + u_3) = c(0) = 0$ なので、$c\mathbf{u} \in S$。

よって、$S$ は $\mathbb{R}^3$ の部分空間です。

(2) $x_1 - x_2 + x_3 = 0$ から、$x_1 = x_2 - x_3$ となります。したがって、$S$ の任意のベクトルは $\begin{bmatrix} x_2 - x_3 \\ x_2 \\ x_3 \end{bmatrix} = x_2 \begin{bmatrix} 1 \\ 1 \\ 0 \end{bmatrix} + x_3 \begin{bmatrix} -1 \\ 0 \\ 1 \end{bmatrix}$ と表されます。

よって、$S$ の基底は $\begin{bmatrix} 1 \\ 1 \\ 0 \end{bmatrix}$ と $\begin{bmatrix} -1 \\ 0 \\ 1 \end{bmatrix}$ です。

(3) $S$ の基底は2つのベクトルから構成されているため、$S$ の次元は2です。

3. 最終的な答え

(1) $a \neq \frac{2}{3}$

(2) $\begin{bmatrix} -2 \\ 1 \end{bmatrix}$

(3) $\mathbb{R}^3$ の基底である。

(4)

(1) $S$ は $\mathbb{R}^3$ の部分空間である。(証明は上記参照)

(2) $\begin{bmatrix} 1 \\ 1 \\ 0 \end{bmatrix}$, $\begin{bmatrix} -1 \\ 0 \\ 1 \end{bmatrix}$

(3) 2