問題5: $A$を$n$次正方行列とする。$A^t A = E$となるとき、$|A| = \pm 1$であることを示す。 問題6: $A, B$を$n$次正方行列とする。 (1) $AB = O$のとき、$A = O$または$B = O$となるかどうか調べよ。 (2) $A$は正則とする。このとき、$AB = O$のとき、$B = O$となるかどうか調べよ。

1. 問題の内容

問題5: $A$を$n$次正方行列とする。$A^t A = E$となるとき、$|A| = \pm 1$であることを示す。

問題6: $A, B$を$n$次正方行列とする。

(1) $AB = O$のとき、$A = O$または$B = O$となるかどうか調べよ。

(2) $A$は正則とする。このとき、$AB = O$のとき、$B = O$となるかどうか調べよ。

2. 解き方の手順

問題5:

$A^t A = E$の両辺の行列式をとる。行列式の性質より、$|AB| = |A||B|$であるから、

$|A^t A| = |A^t| |A|$

転置行列の行列式は元の行列の行列式と等しいので、$|A^t| = |A|$。したがって、

$|A^t| |A| = |A||A| = |A|^2$

また、$|E| = 1$である。よって、

$|A^t A| = |E|$

$|A|^2 = 1$

$|A| = \pm 1$

問題6:

(1) $AB = O$のとき、$A = O$または$B = O$とは限らない。反例として、

$A = \begin{pmatrix} 0 & 1 \\ 0 & 0 \end{pmatrix}$, $B = \begin{pmatrix} 1 & 0 \\ 0 & 0 \end{pmatrix}$

とすると、$AB = \begin{pmatrix} 0 & 0 \\ 0 & 0 \end{pmatrix} = O$であるが、$A \neq O$かつ$B \neq O$である。

(2) $A$が正則であるとする。$AB = O$のとき、$B = O$となることを示す。

$AB = O$の両辺に左から$A^{-1}$をかけると、

$A^{-1} (AB) = A^{-1} O$

$(A^{-1} A) B = O$

$EB = O$

$B = O$

3. 最終的な答え

問題5: $|A| = \pm 1$

問題6:

(1) $AB = O$のとき、$A = O$または$B = O$とは限らない。

(2) $A$が正則のとき、$AB = O$ならば$B = O$である。