与えられた数列が単調増加することを示し、上に有界かどうかを調べる問題です。 (1) $\sum_{k=1}^{n} \frac{1}{k(k+1)}$ (2) $\sum_{k=1}^{n} \frac{1}{k^2}$ (3) $\sum_{k=1}^{n} \frac{1}{k}$

解析学数列単調増加有界性級数調和数列部分分数分解
2025/7/18

1. 問題の内容

与えられた数列が単調増加することを示し、上に有界かどうかを調べる問題です。
(1) k=1n1k(k+1)\sum_{k=1}^{n} \frac{1}{k(k+1)}
(2) k=1n1k2\sum_{k=1}^{n} \frac{1}{k^2}
(3) k=1n1k\sum_{k=1}^{n} \frac{1}{k}

2. 解き方の手順

(1)
数列のn項目を an=k=1n1k(k+1)a_n = \sum_{k=1}^{n} \frac{1}{k(k+1)} とします。
増加数列であることを示すには、an+1an>0a_{n+1} - a_n > 0 を示せば良いです。
an+1an=k=1n+11k(k+1)k=1n1k(k+1)=1(n+1)(n+2)>0a_{n+1} - a_n = \sum_{k=1}^{n+1} \frac{1}{k(k+1)} - \sum_{k=1}^{n} \frac{1}{k(k+1)} = \frac{1}{(n+1)(n+2)} > 0
したがって、数列は単調増加です。
次に、上に有界かどうかを調べます。部分分数分解を利用して、
1k(k+1)=1k1k+1\frac{1}{k(k+1)} = \frac{1}{k} - \frac{1}{k+1}
an=k=1n(1k1k+1)=(112)+(1213)++(1n1n+1)=11n+1a_n = \sum_{k=1}^{n} (\frac{1}{k} - \frac{1}{k+1}) = (1 - \frac{1}{2}) + (\frac{1}{2} - \frac{1}{3}) + \dots + (\frac{1}{n} - \frac{1}{n+1}) = 1 - \frac{1}{n+1}
limnan=limn(11n+1)=1\lim_{n \to \infty} a_n = \lim_{n \to \infty} (1 - \frac{1}{n+1}) = 1
したがって、数列は上に有界です。上限は1です。
(2)
数列のn項目を bn=k=1n1k2b_n = \sum_{k=1}^{n} \frac{1}{k^2} とします。
増加数列であることを示すには、bn+1bn>0b_{n+1} - b_n > 0 を示せば良いです。
bn+1bn=k=1n+11k2k=1n1k2=1(n+1)2>0b_{n+1} - b_n = \sum_{k=1}^{n+1} \frac{1}{k^2} - \sum_{k=1}^{n} \frac{1}{k^2} = \frac{1}{(n+1)^2} > 0
したがって、数列は単調増加です。
次に、上に有界かどうかを調べます。
k=11k2=π26\sum_{k=1}^{\infty} \frac{1}{k^2} = \frac{\pi^2}{6} であることが知られています。
または、1k2<1k(k1)=1k11k \frac{1}{k^2} < \frac{1}{k(k-1)} = \frac{1}{k-1}-\frac{1}{k} を利用して評価することも可能です。
したがって、数列は上に有界です。
(3)
数列のn項目を cn=k=1n1kc_n = \sum_{k=1}^{n} \frac{1}{k} とします。これは調和数列です。
増加数列であることを示すには、cn+1cn>0c_{n+1} - c_n > 0 を示せば良いです。
cn+1cn=k=1n+11kk=1n1k=1n+1>0c_{n+1} - c_n = \sum_{k=1}^{n+1} \frac{1}{k} - \sum_{k=1}^{n} \frac{1}{k} = \frac{1}{n+1} > 0
したがって、数列は単調増加です。
次に、上に有界かどうかを調べます。
調和数列は発散することが知られています。したがって、上に有界ではありません。
証明の概略:c2n=1+12+(13+14)+(15+16+17+18)+...>1+12+214+418+...=1+n2c_{2^n} = 1 + \frac{1}{2} + (\frac{1}{3}+\frac{1}{4}) + (\frac{1}{5}+\frac{1}{6}+\frac{1}{7}+\frac{1}{8})+...>1+\frac{1}{2}+2\cdot\frac{1}{4}+4\cdot\frac{1}{8}+...=1+\frac{n}{2}
nを大きくするといくらでも大きくなるので、上に有界ではない。

3. 最終的な答え

(1) 増加数列であり、上に有界である。上限は1。
(2) 増加数列であり、上に有界である。
(3) 増加数列であり、上に有界ではない。

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